見出し画像

編集者と、ライター。

こんばんは。今日は少し、私の仕事について書こうと思っています。少し長くなりそうです。その前に、ちょっとだけ自己紹介をさせてください。

名前は、たつたかんなです。北海道出身で、血液型はB型。小学校の卒業文集に書いた将来の夢は、小説家。中学生の頃、通訳士に憧れて英語に力を入れている高校へ進学しましたが、修学旅行先の京都で「森が好きだ」と気づき、自然環境系の分野へ。農学部を卒業した後、ネイチャーセンターで働きました。そして今は、編集者として北海道の雑誌「northern style スロウ」をつくっています。次の春で、編集歴6年目を迎えます。

10代のころは、自分がネイチャーセンターで働いたり、編集者になるなんて想像もしていませんでした。でもこうして振り返ってみると、私はずっと、伝えることに興味があったんだなと思います。小説家も、通訳士も、ネイチャーセンターのスタッフも、編集者も、全然違う職業だけど、私の中ではそれぞれ大きく離れていません(なれるかなれないかは、また別の話)。

私の周りには、大きく分けると2パターンの編集者がいます。まず、元々出版や編集の仕事に憧れていた人。それから、何かすごく好きなものがあって、その魅力を伝えるために編集者になった人。共通しているのは、読者としてスロウが好きだったこと。もちろん、私もその一人です。

私が編集者になった理由は、スロウをつくりたかったから。スロウで書いてみたかったから。ほとんどそれだけです。

そんなわけで、就職先として他の出版社を探したこともないですし、良くも悪くもほぼ知識のない状態で出版の世界に入りました。なので、ここで見たこと聞いたことが、私の中にある編集のすべてです。この世界については、知らないことのほうが多いかもしれません。それでも今、私は、編集者であり、ライターでいられることがうれしいなと思っています。その気持ちを残しておきたくて、この日記を書いています。

***

この仕事を始めるまで知らなかったのですが、編集者とライターは、同じようで違う職業です。どういう本にするか、企画や構成、全体の段取りをするのが編集者。企画に合わせて記事を書くのがライター。他にも、カメラマンや校閲、デザイナーなど、一冊の本をつくるには、たくさんの人の力が必要です。その力を、集めて編む。それが、編集の仕事だと思っています。

スロウの場合は、編集部みんなが編集者でありライターです。どんな本も、自分たちで企画して、自分たちで書いています。もちろん校正も、みんなで見ています。必ず相談してはいますが、取材先の決定から記事の内容、レイアウトの方向性まで、ほとんどそれぞれの編集者に委ねられています。

5年前、何も知らずに飛び込んだこの世界は、思っていたよりずっとずっと自由なところでした。一人ひとりを信じて、のびのびやらせてもらえる環境があってこそなので、本当にありがたいなと思っています。この世界がもっと狭かったなら、今こんな風に、書くことを楽しめていないでしょう。

***

一年前の今日、こんな日記を書いていました。「やっと、自分の文章が好きだと思った。好きだと思っていいんだとわかった」という話です。

この時の気持ちは、ちっとも、ちょっと笑っちゃうくらいに変わっていません。少しだけ変わったのは、ひとさじの覚悟が加わったこと。

私が書き手でいられるのは、一人ひとりを信じて委ねてくれるあたたかい場所があるからだって思っていました。もちろんそれは正しいし、大事なことです。でも、ここじゃなきゃ書けないって思うのは、自分の気持ちもちょっとつらかったし、誰に対しても誠実じゃなかったかもしれません。委ねてもらえる分、もっと自分で自分を信じなくちゃいけないなと思えるようになりました。

最近、ある企画に編集者として関わっています。最初はよくわからないまま参加することになったのですが、皆さんのお話を聞くうちに「ここにこういうストーリーができたらいいな」とか「こうしたらもっと楽しくなるな」というのが見えて、ある程度、文章として形にまとめることができました。それを喜んでもらえたとき、私がやってきたことは、外の世界でもちゃんと通じるんだなとうれしい気持ちになりました。

そして、編集者とライターの仕事って、こういうことだって思ったんです。自分の伝えたいことを伝えるだけじゃなくて、誰かの伝えたいこと、伝えたいけどまとまらないときに、集めては編んで、時々は、絡まった糸を解いて。光のほうへそっと手を引くような、一緒に探していくようなことを、これからもずっとやっていきたい。そんな、ひとさじの覚悟ができました。

***

今はもう少し、外の世界を歩いてみたいなと思っています。もし何か、編集やライティングの力が必要になったとき、思い出してもらえたらうれしいです。いつも、悩んだり、回復したり、ぼんやりしたりする日記を読んでくださってありがとうございます。良ければこれからも、一緒にいてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?