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大臺 序乃壱

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此のお話は日本が嫌いな日本人へ…。  日本を愚かと思う日本人へ…。  日本が貧しい国であったと思う日本人へ…。  日本人として誇りを持てぬ日本人へ届ける物語。  此れは我等が…
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2021年6月の記事一覧

大臺神楽闇夜 1章 倭 2襲来3

大臺神楽闇夜 1章 倭 2襲来3

 けたたましく銅鐸の音が鳴り響く。歩いている者は歩みを止め、作業をしている者は其れを止め、建物の中にいる者は外に出て皆が皆南の空を見やった。
 立ち登る赤粉、染まる赤い空、その空を茫然と見やり香久耶は震えた。神楽は香久耶の手を強く握り赤い空を睨め付ける。
「お姉ちゃん…。」
「大丈夫じゃ。我がおる。兎に角今は伊都瀬と合流じゃ。」
 と、神楽は手を握ったまま第二城門に向かって走り出し、ふと、思い出し

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大臺神楽闇夜 1章 倭 2襲来2

大臺神楽闇夜 1章 倭 2襲来2

 波に揺られ既に何日が経過したのだろうか ? 時には雨が降り波が荒れ死にかけた事もあった…。だが、幸いにも今は穏やかな波である。蘭泓穎(らんおうえい)は何度も欠伸をした後大きな伸びをした。
 真夏の船室は蒸し風呂の様に温度が上昇する。窓を全て開け放っても其れは殆ど変わらない。心地の良い風が入って来るだけ幾分はマシとは言えるが、其れで船室の温度が画期的に下がる事はないし暑さが無くなるでも無い。
 既

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