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環境大善の「魂を伝える絵本」コンセプトブックの制作秘話に迫る!〈善玉菌を探す旅 #6〉

これまで善玉菌を探す旅では、バイオ消臭液「きえ〜る」(以下、きえ〜る)や液体たい肥「土いきかえる」(以下、土いきかえる)などの商品に注目し、各商品のユーザーの皆様を取材、その効果や思いをお伝えしてきました。一方で、商品を製造している「環境大善株式会社」についてはどのくらいご存知でしょうか?「牛のおしっこから消臭液や土壌改良材を作っている会社」という印象があるかもしれませんが、それは1つの側面に過ぎません。

2018年から環境大善株式会社はリブランディングを開始し、自社の存在意義を徹底的に見直してきました。社名の変更、コーポレートアイデンティティやパッケージの刷新と様々な取り組みを進める姿は、各方面から注目をいただいています。

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牛の尿で作った消臭液バカ売れ 裏に「3年間のリブランディング」(「日経クロストレンド」2022年8月23日)

今回は、環境大善が目指す事業の姿を皆さんにお伝えしていきたいと思います。
それを紐解く鍵が「コンセプトブック」です

「これは、環境大善株式会社の魂が詰まった”絵本”なんです」。
そう語るのは、4年に渡り窪之内さんとリブランディングを進めてきた、アートディレクターの鎌田さん。コンセプトブックに込めた思いについて伺いました。

クリエイティブディレクター/アートディレクター
鎌田順也さん
1976年生まれ。東海大学卒業。KD主宰。
北海道札幌を拠点に活動。北海道は日本の中でも四季の変化が豊かな土地で、この場所だからこそ捉えられるインスピレーションを大切にしている。主な活動として「きのとや」「松尾ジンギスカン」「トモエ 福山醸造」など北海道の老舗企業、横浜の和雑貨ブランド「濱文様」、東京でも「東京ミッドタウン デザインタッチ」、「チーズのこえ」など全国規模の企業ブランディングを多く手がける。食品関係のパッケージデザインの依頼も多く、商品開発からネーミングまで深く携わる。近年では企業理念や地域活性化のコンセプトワークなどコミュニケーションデザインの分野まで活動領域を広めている。

――コンセプトブックを制作するに至った経緯について教えてください。

窪之内さん:リブランディングを始めて4年が経過しましたが、「コンセプトブックを作る」という話をしたのが、パッケージリニューアルが終わる頃でした。それまで私達が何を目指すのか、何年もかけて鎌田さんと議論を進めてきて、その形として新聞広告を作った辺りですよね。

2ヶ月に1回、1年かけて北海道新聞に、環境大善のリブランディングを伝える6回の広告掲載を行いました。

鎌田さん:新聞広告は本当に不特定多数のユーザーの方が見るものなので、環境大善さんの思いを詳細に伝えるものにしたいと思いました。だからこそ、ディスカッションを重ねることは大変な作業でしたね。

窪之内さん:この広告からコンセプトブックの原案ができたのかなと思います。そもそも、コンセプトブックってどんなものなのなのでしょうか。

鎌田さん:「企業全体としての取り組みを伝える本」です。各商品や、震災支援などの様々な活動などこれまでバラバラに情報として出ていたものが、どのような企業のミッションから生まれているのか一冊にまとめたいと思いました。

窪之内さん:鎌田さんがディレクションを担当される他の企業さんでも作っているのですか?

鎌田さん:はい。私の中では「作らなければいけないもの」なんですね。環境大善さんの思いや活動については最終的にはWEBを通して発信をしていくことは決めていましたが、その骨子になるものはコンセプトブックとして作っておく必要があるという考えなのです。

もちろんコンセプトブックの内容を本にせずに、WEBサイトに記載しておくだけでもよいのかもしれません。ですが、デジタル化されることで全ての情報は均一化され、どの情報もフラットに見えてしまいます。契約書や賞状などがデジタルが発達した現状でも使用されているのは、「紙に書く」という行為が特別な意味合いを持ち得ているということに他なりません。

このコンセプトブックの内容は、リニューアルを進めている環境大善さんのWEBサイトに掲載される予定ですが、「本」となっていることで、環境大善の「土、水、空気を考える」という情報が、1ランク特別なものになっています。

――コンセプトブックをのぞいてみましょう。

コンセプトブック(PDF)は下記よりダウンロードいただけます。

窪之内さん:本をめくってみると、「土、水、空気を考える本」というタイトルからはじまり、優しいイラストと文章がとても印象的です。「土、水、空気」というキーワードを軸にして内容が進んでいきますね。

新聞広告やコンセプトブックのイラストはキットカットの広告やWIREDの表紙などで活躍する小川雄太郎さんを起用しました。その後リニューアルした商品パッケージにもイラストは引き継がれていきます。

鎌田さん:環境大善のミッションは、牛の尿を元に作った善玉活性水を用いて「土、水、空気」をよりよい状態にする=環境を整えることですよね。その効果として「消臭」があったり「植物がよく育つ」ことに繋がったりするわけですが、そのことをお客様に向けて、これまで直接言う機会ってなかったんです。だから、ユーザーの皆様にとって環境大善の印象は「消臭や土壌改良材の会社」なのです。このイメージを変えていくためにも、ミッションについて伝えていくべきだと考えました。

新聞広告とは異なり、コンセプトブックの意図としては、「読まなくても成り立つもの、伝わるもの」です。最初の方に、「土」、「水」、「空気」という、人にとって無くてはならないものが出てきて、なんだか、気になりませんか?

ここから始まって、小川さんの絵が展開していく。パラパラめくるだけで、「素敵なものを見たな」っていう気分になる。そして、「環境大善が土、水、空気の話をしているな」っていう印象が残る。それだけでいいんです。コンセプトブックは一文字も読まなくても、捨てたくならないものを目指しました。だから「絵本」と表現しました。

――制作にあたって苦労した点を教えてください。

鎌田さん:苦労した点はあまり無かった印象です。それまで何年もかけて積み重ねてきたものがありましたから。

窪之内さん:提案を受けてからコンセプトブックが形になるのに半年かかりませんでしたね。それにしても、この内容って、ちょいちょいネタにあふれていますよね。例えばこのページ。善玉菌の大善君のこの線の端が微妙に繋がっていないところとか、本当に顕微鏡で見たときのバクテリアというか微生物っぽい。

あと、この土、水、空気の線とかも人が書いたような崩れがあったりしてすごく親近感が湧きます。

完成したものをまじまじと見るまで実は気が付かなかったですもん。手にとった人が「こんなに細かいところまで気を使っているんだな」と思ってもらえると嬉しいですね。ちなみに、「土、水、空気」を表したこのメインビジュアルは、どういうイメージから生まれたんですか?

鎌田さん:土、水、空気という3つの要素を全部同じもので表現したかったんですよね。だから全部、一本の線でできているんです。つまり、全部同じということは、この三要素が「地球」ということなんです。って、こういう、デザインの話ってあんまりしてなかったですよね(笑)

窪之内さん:確かに。できたものをどう使っていくのかの話は結構しましたが、初めから原案の完成度が高くて、納得感があったので、気になりませんでした。手にとって頂いた方からのリアクションがすごいいいんです。内容はもちろん、紙厚とかもいい

鎌田さん:実はこの紙、名刺のような厚みで、しっかりとした印象を与えるんですが、こういった本を作るには、厚手すぎるんです。…苦労した点、ありましたね。印刷です。他の企業さんでコンセプトブックを作るときって、豪華な印象をつけるためにハードカバーにすることもあるんです。でも、この本は、一見パンフレットのような体裁で、綴じ方も週刊誌と同じ「中綴じ」です。

32ページあるから「無線綴じ」でハードカバーにすることもできました。でもそうするとなんだか豪華すぎだなぁって。だからあえて親しみ感のある中綴じにして、厚手紙を使った絵本の印象とかけ合わせることで、より多くの人に手にとってもらいやすいものにしたんです。でもこれって、印刷と製本がものすごく大変で(笑)、紙が厚いので、折り曲げると絵がずれたりするんです。だから、印刷会社の方には「1冊1冊宝石を作るつもりでやってほしい」とお願いして、ものすごい高い精度で作ってもらっています。

他にも、最初のページと綴じの最後のページ(真ん中のページ)、実は紙の長さが全然違うんですよ。厚手紙なので、折り込むと、中のページほど紙の長さが短くなっていくんですね。入稿した後にトリミングの位置を何ミリ短くなるかってのを計算して0.735mm短くなりますとか、だったら、この絵は0.73mm右に行っちゃうから、0.25mm左にしようとか、そういうやり取りを印刷会社の方としています。結構、苦労したポイントですね。

窪之内さん:そうだったんですね〜。実際に手にとって、内容を見ていただいて、この一冊に我々がかなり魂を込めたということを感じていただければ嬉しいですね。

――コンセプトブックを今後どのように使っていきたいですか。

鎌田さん:環境大善さんのミッションをユーザーの皆様に伝える上でのハードルって「商品を使っても企業の取り組みを感じることが難しい点」なんですよ。例えば、きえ〜るを使うことで消臭効果は実感できるけど、「この製品を使うことによって、牛の尿が循環して地球に戻っていっているんだな」ということは説明しないと分からないんです。だからこの本ではそれを伝えたいと考えています。

もちろん、この1冊で全てが解決しないので、今後のブランディングでは「土、水、空気」というキーワードをユーザーの皆様にどうやってお伝えしていくかを考えることが重要なんですね。同じくらいの消臭効果、土壌改善効果をもつ商品がこの先溢れないとも限らない。その時に「こういう企業を応援したい」という思いをもったお客様たちとと一緒に歩んでいくことが、この先、環境大善さんの道だと思うんですよ。

窪之内さん:そうですね。ユーザーの皆様の満足度につなげることはもちろん、例えば、原材料を提供していただいている酪農家さんに「牛の尿が資源として循環している」ということをお伝えすることにも活用できるんじゃないかなと感じています。

鎌田さん:そのとおりで「土、水、空気」って言い続けることで、お客さんだけではなく、他の企業の方も理解しやすいと思うんですよね。。社長同士の関係性だけではなく、社員さんたちも「環境大善さんってすごいね!」と理解することで、会社とのつながりもより強固になると思うし、そういうBtoBの効果も狙っていきたいですね。

環境大善さんの取り組みを応援してもらうためのきっかけになる本として使っていきたいです。今、サスティナブルって言葉を言ってもだれも感動しないんでね(笑)。どんな言葉を発信するかと考えた時に、「土、水、空気」っていうのは重要なキーワードだと思います。

窪之内さん:そうですね。コンセプトブックを通して、「環境大善ってこういう志があるんだ」ということを伝えて、これからの仲間を増やしていきたいですね。
鎌田さんありがとうございました!

今回は、4年に渡りリブランディングを一緒に進めてきた、アートディレクターの鎌田さんに、コンセプトブックの制作に込めた思いについて伺いました。環境大善の思いをより多くの皆様にお伝えし続けられるよう、今後ともよろしくお願いします!

ライター:吉田(百目木)幸枝/https://twitter.com/domeky


コンセプトブックの入手方法
公式オンラインストアでご購入時に、下記の商品をいっしょにご注文くださいませ。商品と合わせてお届けいたします。

※お一人様一冊まで
※コンセプトブックのみのご注文は承りかねます。他商品を1点以上、ご注文くださいませ。

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