仕事は好き。これからも続けたい。だけど今日は、へとへとだ。働くことに疲れた心を休めたいあなたへ『仕事帰りの心 私が私らしく働き続けるために』
ゴールデンウイークがあっという間に過ぎ、遊んだ人も、仕事だった人も、「五月病」の文字が心をよぎる頃ではないでしょうか。
仕事にやる気が出ない、職場に行くのが辛い、でも、それをSNSや友達に愚痴るのもイヤだし……
そんなふうに悩んでいるあなたにオススメの、韓国発のエッセイです。
筆者のイ・ダヘ氏は、作家・記者・ラジオパーソナリティなどでパラレルキャリアを積む女性です。
韓国では「この人が読んでいない本、観ていない映画はない」といわれるほどの、リアル〝働きマン〟。でも、「他人に対して一番羨ましく思うのは社交性かもしれない」と語る内向型タイプでもあります。
そんな著者が綴ったこの本の一番のポイントは、押しつけがましくないところ。
「仕事」とタイトルに入っていると、こういうときはこうしろ、ああいうときはああしろ、と耳に痛いアドバイスが満載なのではないかと身構えますよね。
ところがこのエッセイは、そんな言葉がひとつもありません。
多忙の筆者が働く中で、考えたこと、感じたことが淡々とつづられ、一応の結論はあるものの、それを読者もやるべきという雰囲気が全くないのです。
それはまるで、仕事帰りに待ち合わせた友人が、「この間こんなことがあってね、こういうふうに思ったんだ」と語っているような穏やかさ。
それに「そうなんだ」と共感するか、それとも「私はこう思うよ」と自分の意見を言うかは、読者の私たちに任されています。
つまりこのエッセイには、筆者の哲学が散りばめられた文章から、私たちがそれぞれ、拾いたい言葉を拾う自由があるんです。
具体的にどんな感じなのか、文章に滲み出るイ・ダヘ氏の哲学について、3つにまとめてご紹介します。
ひとつは、社会人として生きること。
働くことをキラキラと楽しむよりも、誠実にひとつひとつ仕事をこなしていくのが筆者の姿勢です。
ふたつめに、しっかり休むこと。
燃え尽き症候群という言葉が、本書の中には何度も出てきます。体を壊して入院をも経験した筆者が、フィジカル・メンタルの両方に気を遣っていることが文章からうかがわれます。
みっつめは、成長を続けること。
20年以上のキャリアを持つ筆者ですが、周囲から学ぶマインドを持ち続けています。
このどれかが心の琴線に触れたら、ぜひ本書を手に取ってみてください。
きっと、イ・ダヘ氏の言葉で引き出された自分自身との、穏やかな対話ができるはずです。
(文=安岐はづき)
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