☆試し読み☆1か月で短期集中攻略!『大学入学共通テスト 古文・漢文が1冊でしっかりわかる本』
「古文・漢文を今から勉強して間に合うのかな…」
「いつも試験時間が足りなくて焦ってしまう…」
「複数資料や会話文などの新傾向問題にはどう対応したらいいんだろう…」
などなど、共通テストの古文・漢文対策に不安を抱える受験生のために、河合塾の太田善之先生とスタディサプリの岡本梨奈先生がタッグを組みました。
「共通テスト 古文・漢文」対策はこの1冊でOK!
『大学入学共通テスト 古文・漢文が1冊でしっかりわかる本』から、「大学入学共通テスト 古文・漢文 傾向と対策」部分の試し読みをお届けします。
ラスト1か月のラストスパートに最適!古文・漢文で高得点を狙いましょう!
大学入学共通テスト 古文・漢文 傾向と対策
[古文]
――共通テスト「試行調査(プレテスト)」から見る出題傾向
第1回 試行調査(2018年実施)
出典 『源氏物語』同一箇所別本文2種類+その状況を説明した文(全体で約1150字)
設問数 6問(解答数も6問)
出題内容 脱文挿入・和歌の説明・短文解釈・内容説明・表現とその効果の説明・内容合致
第2回 試行調査(2019年実施)
出典 『源氏物語』「手習」巻 約1000字 『遍昭集』約180字(和歌を含む)(全体で約1200字)
設問数 5問(解答数は8問)
出題内容 心情説明・短語句解釈・内容説明・内容説明・生徒と教師の対話内の内容合致
第1回試行調査は、古文を書き写す中で生まれた同一箇所の本文の違いが話題となっています。さらに、その片方の本文を作った人が、書き変えるに至った事情について書いたものが並べられます。それによって、どうして本文を変えたのか、についてわかるわけです。都合、3つの古文を読むことになります。
第2回試行調査は、1つの本文が長めに載せられ、そこに引用された「引き歌」(有名な古歌の一部を引用して表現をふくらませる技法)を話題としています。『源氏物語』の本文の表現と、その元となった『遍昭集』を並べて、さらにそれを議論する教師と生徒のやりとりを載せています。この部分は現代語ではありますが、その議論のやりとりを読まなければならないため、結局、3つの文章を渡り歩かなければなりません。
出題内容については、第1回は、傍線部の内容や和歌、あるいは表現の効果の説明といった「説明問題」がほとんどで、文法的理解や語彙力を元にして問う、いわゆる「解釈問題」は1問でした。第2回は、心情や内容の「説明問題」が中心ではありますが、短語句の「解釈問題」が3問あり、語彙力が生かせる余地が多くなっています。
第1回と第2回を比べると、難易度も設問形式もずいぶん異なっているので、なかなか確定的なことを言いがたいのですが、それでもいくつかのことが見えてきます。
まずは、かつての「センター試験」の問2によく見られたような「文法問題」が、2回とも見られないことです。古文を読解するにあたって、文法は必須の知識ですからもちろん必要とはされているのですが、それでも、直接に問われていないことは、基礎的な文法力で得点できるチャンスを失った
ということにもなります。
もう1つは、複数資料を読ませる形式を2回とも出題していることです。これは、高等学校において「主体的・対話的で深い学び」の実現が目指されていることに対応したものでしょう。複数の資料の違いに気づく能力、あるいは、設問の指示等の補足に基づいてその違いを理解できる能力が問われています。
――受験生に求められているもの
複数資料を読むことは、たとえそれぞれの話の分量が短くなり、全体として今まであったセンター試験より分量が減ったとしても、20分強で読むことを考えれば、かなり大変な作業になります。1つの文章を読み終えてリセットし、また新たな文章の世界をゼロから読んで構築しなければならないからです。
ですから、最も必要な能力とは、「速読力」ということに尽きます。さらに、「速解力」とも言うべき、解答をより速く見つけ出す能力が備わっていればなおよいということになります。
速読力を鍛えるとは、「言うは易く行うは難し」の典型ですが、できないことではありません。ただ、よくある古文の勉強法のままでは難しいでしょう。いつも、本文を品詞分解して、「文法的な説明」をきちんと立て、「正しい直訳」を作る、といった読み方をしていませんか? これでは間に合いません。しかも、この方法は、書かれていない主語や目的語を意識しないまま読む悪癖を生むのです。オススメするのは、品詞分解でなく、文の構造を意識する論理的な読解です。「誰が、何をした。だから、アレがこうなっ
た。」というストーリーをしっかり押さえることです。そのためには、省略のされやすい主語を意識して読むクセをつけることが一番大事です。もちろん、要所要所で品詞分解的理解は必要ですが、それは「要所要所」だけであるべきです。
速解力とは、選択肢を見てから解答を選ぶまでのスピードのことですから、一番速いのは、自力で解答をイメージしてそこに近いものを探すという方法です。実は、できる生徒はみなこれをやっています。
記述式の答案を求められているのではありませんから、全てを自分の言葉で作り上げる必要はありません。それでも、「この解答は短く言えば、《○○したから》だな」などと思い浮かべ、それと類似したものを探せばいいのです。また、共通テストで問われる形式や解答の作りかたの傾向を知っておくことで、即応性を上げればよいわけです。
1つひとつの文を丁寧に現代語に訳すイメージで読むのではなく、できれば古文を古文のまま読むようなイメージで読みましょう。ストーリーをつかむことに重点を置きましょう。そういった読み方をクセにしてしまいましょう。
こうまとめてしまうと、元も子もない感じにはなりますが、結局のところ、古文です。
古文が読めるようになること、より速く読めるようになること、これが共通テストへの最高の対策なのです。
[漢文]
――共通テスト「試行調査(プレテスト)」から見る出題傾向
第1回 試行調査(2018年実施)
出典 『史記』問題文+それに関する漢詩のレポート
設問数 7問(解答数10問)
出題内容 訓読・語意・返り点と書き下し文・解釈・日本における漢詩の文学史的内容・内容説明
第2回 試行調査(2019年実施)
出典 『郁離子』問題文+『荘子』の似たエピソードを現代文で数行
設問数 5問(解答数は8問)
出題内容 語意・訓点と書き下し文・解釈・故事成語・内容説明(会話文の空欄補充)
第1回試行調査は、【文章Ⅰ】は『史記』から西伯と呂尚(太公望)の出会いの場面を、【文章Ⅱ】は太公望に関連した漢詩のレポートを題材としています。【文章Ⅱ】のレポートには、漢詩だけではなく、現代語訳、解説、イラスト、コラムなど、盛りだくさんの情報が掲載されています。複数の情報の中から、必要な箇所を読み取る力が求められています。
第2回試行調査も、【文章Ⅰ】と【文章Ⅱ】の2つの題材が提示されてはいますが、【文章Ⅰ】は現代語で数行程度でしたので、メインは【文章Ⅱ】です(従来の「少し長めの前書き」と「本文」と同じような配分といってもよいくらいです)。新傾向の1つとされている、生徒同士の会話を読んだうえで解く問題が出題されていますが、実は、センター試験でも過去に教師と生徒の会話文が出題された年もあり、第2回の試行調査は、従来のセンター試験と同じと見なしてよいでしょう。
出題内容について。第1回・第2回ともに、訓読、語意、返り点と書き下し文、解釈、内容説明など、従来通りの問題が出題されています。第1回で漢詩の形式や、日本における漢詩の文学史的問題、第2回で故事成語の意味が問われており、このような知識問題も問われることも念頭に置いておきましょう。
第1回の選択形式に、「正しいものをすべて選ぶ」設問と、「誤った選択肢と、それを正しく改めた選択肢を選ぶ」設問があり、これらはセンター試験では無かった形式ですが、第2回では従来の形式に戻っていました。
第1回と第2回を比べると、第2回のほうが、より従来のセンター試験に近い形に戻ったと言えるでしょう。複数資料を読み取るものや、会話文を読んで解く設問など、新傾向の出題もされるでしょうから、それらの対策も必要ですが、全体の難易度はセンター試験よりも易化しました。ですが、従来の標準レベルが出題される可能性の方が高いと思われますので、漢文を正しく読み解くための学習はきちんとして、手を抜かないようにしましょう。
――受験生に求められているもの
ここまで見てきたように、漢文に関して言えば、従来のセンター試験と大きく変わらないので、漢文を読み解くために必要なことを、きちんと学習しましょう。
語順、訓読法、書き下し文、漢字の読み・意味などの基礎事項や、再読文字・使役・受身・否定・疑問・反語などの重要句法を学習した上で、頻出の出題形式(解釈、心情説明、理由説明、空欄補充、内容説明など)の解き方を身につけることが必要です。
漢詩が出題された際に、おそらく問われるであろう「形式」や「押韻」などの知識も不可欠です。
さらに、新傾向の「複数資料」と「会話文」の対策も必要です。
「複数資料」は、共通点と相違点を意識しながら読むことと、何が問われているのかを把握した上で、必要な箇所を素早く見つけ出すことが重要ですので、現代日本語の資料や会話などは、ある程度の「速読」もできるようにならなければいけません。資料のすべてを一字一句丁寧に読んでいると、時間不足になることは間違いないでしょう。
たくさんの情報の中から、大事なものを読み取れる能力、つまり、「情報処理能力」が問われています。
重要な箇所は精読が必要ですが、重要度の高くない箇所はある程度流し読みをするなど、強弱をつけた読み方が必要になります。本書の中では、そのための着眼点や具体的な手順について解説しています。たくさんの情報に翻弄されることなく、取捨選択しながら読む力を身につけていきましょう。
そして、「漢文」にとどまらず、「国語」として一番大事なのは「戦略」です。
決められた試験時間内で解ききらなければいけませんので、「いかに戦うか」という作戦を自分なりに立てられることが大事です。各大問の時間配分と解く順番を自分で確定したら、過去問演習でも、その順番の通りに解くようにしましょう。
「どの問題からやるか」に正解はありません。個人の得意分野や性格にもよります。時間配分も、現代文・古文・漢文のどれが得意かによって、それぞれ違ってくるでしょう。
ただし、一般的には「漢文」が一番短い時間で解くことが可能とされており、私もそのように思います。
まだ戦略を立てていない人は、これらを踏まえて、自分で何パターンか試してみて、一番よい順番と時間配分を決めてください。
最終的には「決められた時間で正しく解ききる力」が求められていますので、自分の勝てる「戦略」を立てて「合格」を勝ち取りましょう。
『大学入学共通テスト 古文・漢文が1冊でしっかりわかる本』もくじ
第1部【古文編】
序章 古文を読むためのストレッチ
1 助詞に意識を向けるだけでよい2「ぬ」「ね」だけは、きっちり読もう
3「や」「か」は、疑問か反語
4「た」ですまそう、「だ」ですまそう
5「む」とその周辺
6「べし」は簡単
第1章 素早く読解するためのトレーニング
1 述語をつかめ
2 述語をつなげ
3 主語を補え
4 心内語をくくれ
5 引用句をはさめ
6 逆接は切るな
7 原因句を捉えろ
8 感嘆文で感じろ
第2章 きちんと得点するためのトレーニング
1 実戦的な読み方
2 解釈問題
3 説明問題
4 和歌の解釈
5 複数資料読解への構え その1
6 複数資料読解への構え その2
7 演習問題
第2部【漢文編】
序章 漢文を読むためのストレッチ
1 構造(語順)は読解の要
2 送り仮名/返り点/書き下し文
3 置き字/「也」の読み方
4 頻出の「読み」と「意味」
第1章 正しく読解するためのトレーニング
1 再読文字
2 使役/受身
3 否定1
4 否定2
5 疑問/反語
6 その他の重要句法
7 「以」の字を用いた句法
8 「対」の視点
9 あらゆるものから情報収集
第2章 きちんと得点するためのトレーニング
1 語句問題は仲間外れor二字熟語or品詞確認
2 書き下し問題は、絞ったあとに直訳確認
3 解釈問題は、重要句法や語順確認
4 心情・理由説明問題は、傍線部の前後が重要
5 指示語の指示内容は、直前が多い
6 内容合致問題は、本文のテーマを俯瞰する
7 漢詩のお決まり問題は、必ずゲット
8 複数資料読解への構え
9 会話文を素材にした問題への構え
10 演習問題
お読みいただき、ありがとうございました!
かんき出版の参考書が受験生の皆様のお役に立ちますように。
ではまた!
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