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「皆様が自分が自分にくつろぐ大切さを伝えたい。」 ホテルシャヴァーサナ支配人 安 心太郎(あん・しんたろう) --歓喜人002--

ホテルシャヴァーサナは「シャヴァーサナ」だけで利用できる珍しいホテルだ。コンセプトは「24時間いつでも自分の本質にくつろげる」こと。

現支配人、安心太郎(あん・しんたろう)はホテル開業当初からの立ち上げメンバー。幼少の頃から寝ることが好きで、3秒で寝れるタイプだったという。そんな安がシャヴァーサナの魅力に出会ったのが24歳の時。「友人に誘われて、あるヨガスタジオの体験コースに参加したんです。そこで初めてシャヴァーサナを体験したのですが、ただ眠るのとは違うあの不思議な感覚が衝撃的で、それから、とにかく隙があればシャヴァーサナをするようになりました。」

「数年前、歓喜町をくつろぎの交流拠点とし、魅力的なまちづくりを進めようということで、“歓喜町基本構想”が策定されたんです。そこで、くつろぎの創出を期待して町の住民を対象に幅広いアイデアの募集が行わ…れ……………………」

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「……した。そこで究極のくつろぎを提供できるホテルシャヴァーサナ計画を提案したところ、町から採択されて、数人のメンバーとホテルシャヴァーサナを立ち上げました。まずはホテルの認知度を上げていくために、人脈を広げる努力もしました。具体的には名刺交換代わりにシャヴァーサナをしていましたね。何ごともチャレンジすることが大切だと思っているので、自分ができる方法を考えて、積極的に取り組みました。段々と町の人も利用するようになって。今は当ホテルを利用するのに町の補助金も出ています。」

実際に10分のシャヴァーサナは、1時間の睡眠に匹敵すると言われる。町ではホテルシャヴァーサナのおかげで、シャヴァーサナの大切さが浸透しており、落ち着きたいときや、辛くなる前に住民はシャヴァーサナを行い、心と身体をリセットしている。

「シャヴァーサナは眠りとは違うんですが、私はすぐ寝てしまいます。」という安は、支配人になった現在も、くつろぎたくなると接客中だろうがいつでもシャヴァーサナをする。


「シャヴァーサナのおかげで私は支配人になれたと言っても過言ではありません。皆様が…自分が自分に……くつろぐ大切さを伝え……た…………………」

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【シャヴァーサナ  śavāsana 】
サンスクリット語で屍に由来する「Śava」とポーズを意味する「āsana」が組み合わさった言葉。日本では屍のポーズとも呼ばれ、ヨガのポーズの最後に行われる。リラックス効果を高め全身を休ませることができるため、究極のリラクゼーションとも言われている。

シャヴァーサナでは、単に身体を休めるだけでなく、心を休める効果も大きい。起きている状態と、眠っている状態の間の意識状態は、まるで夢や映画を見ているような感覚になる。この日常の考え事とは違う意識状態のリラックス効果は高く、10分のシャヴァーサナは、1時間の睡眠に匹敵すると言われる。

シャヴァーサナでは、日常の様々な役割から解放される。親役、子役、妻役、上司役、部下役、友達役、PTA役、自治会役など、たくさんの役を自動的に切り替えながら生きている。自分が役割に強く染まっているときに、ストレスや苦しみの中で自動思考が止まらず動き続けてしまう。

しかし、役割から解放された自分自身はリラックスでしかない。平穏や安心感は外から得るものではなく、私の中にすでに在るということをシャヴァーサナでは体験できる。

シャヴァーサナで体験する、言葉や思考を超え、体の感覚からも自由な状態は、思考が激しく動き、情報に心が踊らされる現代社会を、リラックスしながら乗り越えられるために最適だ。

シャヴァーサナの導入では、体の隅々までスキャンするように意識を中心から末端までに向ける。普段意識しない自分の身体を隅々まで意識することは、休まず働き続けてくれている身体への感謝に繋がる。

そして、普段頭の中でお喋りを続ける自動思考が凪の状態になると、意図的でない自動思考によって、日頃ストレスを生み出しているかに気づくことができる。


撮影協力:ryugon

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