たったひとつの「正しい」を追い求めないで、遊ぼう

小学2年生の子どもに聞いた事。

クラスの子と、トランプをする。しりとりをする。

その時に、自分が知っているルールを正しいやり方だと思っていて、他の子のやり方を受け入れない子が結構多いらしい。他の子が言っているやり方は「間違っている」と思ってしまうようだ。そんなことで、すぐけんかになってしまうという。なぜそんなことになってしまうのだろう。

子どもの遊びは地域によってルールが様々

トランプやしりとり、あやとりや手遊びなど、子どもの遊びは地域性が強い。

極端なところでは「だるまさんがころんだ」は、関西では「ぼんさんが屁こいた」というのが有名だ(私は関西出身ではないので、間違っていたらすみません)。警察と泥棒に分かれてやる、鬼ごっこの一種は「けいどろ」と呼ぶ地域もあれば「どろけい」と呼ぶ地域もある。

一方、名前やある程度のルールは同じだけど、細かいところが地域によって違うものも多い。トランプやしりとりなど。今回問題になっているのは、どうやらこちらのようだ。


子どもにプログラミングする大人

「正しいこと(自分の常識)」を教える大人、がいる。

まず、世の中には「いいこと」と「悪いこと」がある。そして、子どもの目の前に現れた事象について、「これはいいこと」「これは悪いこと」と教える。自分の常識を、正しいこととして刷り込む。そしてそのうえで、パターンで行動をすることを教える。

<例>
● いいことをしてもらったら → 「ありがとう」
● 悪いことをしたら → 「ごめんなさい」

私はこれを、「子どもへのプログラミング」だと思っているのだが、条件反射でいつもできるようになるまで教え込む。これをすると、とても大人受けする子どもができあがる。「おりこうさんね~」とどこでも言われるので、「自分はいい子で、正しいことをしている」という自信がつく(子どもへのプログラミングについては、また書きたいと思う)。

そういう教育をされた子が、突然、多様性の塊のような公立小学校に入学する。そうすると、自分が信じてきたことが「それは唯一の正解ではない」と言われてしまう。そうすると、今まで一生懸命に親の言うとおりにやってきた自分の人生(そんなに長い人生でなかったとしても)が否定されたように感じて、頑なに「自分は間違っていない、みんながおかしいんだ」というようになってしまうのではないか。


「常識」はもうない

かつて子育てとは、世間から大きく外れないで生きていくための「常識」を子どもに教えてやることだったのかもしれない。

しかし、今の小学校を見ていると、少なくとも低学年には「常識」はもう無いように感じる。子ども達は、先生や「常識」ではなく、自分の親の価値観をしるべに生きている。

なぜなら、それぞれの親の価値観が、バラバラだからだ。出身地も違う。お母さんが専業主婦もいればパートタイムで働く人もいる。フルタイムで働く人もいる。お父さんが毎日会社に行く人もいれば、ほとんど家にいる人もいる。

子どもに道徳的なことを教えるときに、よく「相手の気持ちを考えなさい」と言われるのだが、おそらく個々人のバックグラウンドが違いすぎて、相手の気持ちがさっぱりわからないのだと思う。

もう、「同じ日本人だからわかるはず」という考えは捨てて、「違う神様を信じている人」と思って、相手と向かい合っていく必要があると思う。同じクラスに、違う神を信じている子が本当にいる彼らなら、そう考えていけば、仲良くはできなかったとしても、諍いは減らしていけるのではないかと思う。


余談だが、我が子が低学年だから、これはまだ想像でしかないのだが、高学年に行くと「常識」の代わりとなる「空気」が支配し始めるのだと思う。その空気を作るのは、おそらく、クラスで力を持っている子だ。人気のある子、強い子、いじめる子。その子を敵に回したくないと、その子に気に入られるようにしようとし始める。力のある子の常識に合わせる。それが「空気」なのではないかと思う。


みんなで「じゃあ、どういうルールにしようか」と相談できるといい

話が逸れたが、「常識的に言ってどちらが正しいか」でけんかをするのは、「どちらの宗教が正しいか」と言っているようなもので、平行線のまま、どうすることもできない。

「どっちもあり」

まずはそれを受け入れるところからがスタートなのではないか。「正しいこと」なんかほとんどない。

オリンピックにあるスポーツだって、ルールをどんどん変えながらここまで来ている。今現在「正しい」とされているルールがあるだけだ。そのルールだって、どこかの国が一人勝ちしないように、試合が白熱するように考えられているのではないか。

「今日はどういうルールで遊ぶ?」

楽しむために遊ぶのだ。正しさを証明するために遊ぶのではない。それぞれの地域のルールの中から面白そうなものを集めたり、「今日は○○ちゃんのおうちのルールでやろう」とかでもいい。色々試してみればいい。

子ども達がみんなで話し合って、考えて、自分達だけの楽しいルールを作って遊んでくれたらいいな、と母は思っている。





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