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松山一族物語―大衆プロレス松山座・幻想異世界譚―

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語り:松山勘十郎、構成:佐野和哉 座長・松山勘十郎が率いる大衆プロレス松山座。その源流となった異世界の存在「松山家」。松山座を彩る怪優奇優達、松山勘十郎の思想世界のルーツに初めて… もっと読む
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「松山家」~第四章~終(松山一族物語)

「松山家」~第四章~終(松山一族物語)

絶え間なき芸能への愛一時は枯れ果ててしまったと思われた幸乃の妖力も
長い年月をかけて再び蓄えられていったが、
それを争いの為に使う事は滅多に無かった。

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「松山家」~第三章~(松山一族物語)

「松山家」~第三章~(松山一族物語)

幸乃の変身そしてもう一人。
今や墨辰の最愛の女・幸乃は醜い巨体にみるみる変化した。
谷底より這い上がったその姿は、鳥にあらず魚にあらず獣のようでもなく。
真におぞましい未知なる生物となった。
燃え盛る炎に照らされて粘液に覆われた銀の鱗が光る。
真っ赤に引き裂けた口から無数の牙が並び、
爛々と輝く瞳が宝玉のように輝く。
これこそが幸乃の持つ力の一つ、妖魔の姿だった。
「化け物め!!」
同じくその場に

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「松山家」~第一章~(松山一族物語)

「松山家」~第一章~(松山一族物語)

「拙者自身も知らなかった事、知っているつもりでしかなかった事、
 知ろうとすらしていなかった事。
 思わぬ時に訪れる新たな発見、繰り返す歴史の積重と修正、
 それに伴う記憶の再構築。
 虚構と夢、現実と真、鏡合わせ、隣り合わせ。
 二面性の狭間にある異世界は拙者の存在自体がその証明。
 その中でまた分裂と結合が繰り返され幾層にも成る。
 夢幻は即ち無限なのだ」
大衆プロレス松山座・座長
松山勘十郎

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