妊婦マークが目に染みる。熟女法廷1月(マスカットの場合)
インフルエンザ、流行ってますね。
今の若い子は、
小学校でインフルエンザの予防接種を受けさせられていた時代を知らんでしょ。
名字順の出席番号で並ぶことが多くて、わたしは列の後半だったんですよ。
あだちさんとか、いのうえさんが注射打たれてるのをずっと眺めてるんです。
後ろのほうで。
もうずっと怖いんですよ。ドキドキするんですよ。
なーんてことを思い出しました。
1月のお悩み、ラストバッターは新参者のマスカットです。
では、本題です。
ーーーー1月のお悩みーーーー
7歳の娘をもつ40歳主婦です。
4年前から二人目の子供を希望して妊活を始めました。1年前からは不妊治療も始めましたが、先日4回目の流産となりました。
流産の手術もこの4年間で4回目となり、身体的にも精神的にも限界かと思い妊活をやめようかと考えました。
主人は同じ年で、妊活を始めるときも私が希望するならという感じで、二人目はどちらでもよいと思っているようでした。
娘はきょうだいをとても欲しがっていました。
私は今、もう限界かなと思いながらも諦めきれずつらいです。
街中の妊婦マークがどうも目に飛び込んできてしまい落ち込みます。
あーくやしい。やっぱりほしかった!
どうにもならないけど、この気持ち、どこにぶつけたらいいんだー。と思ってます。
まずは熟女法廷さんにぶつけてみます!
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7歳の娘さんを育てながらの妊活。
心身ともに大変な4年間だったと思います。
まずは「おつかれさまです!」とお伝えしたい。
不妊治療については、何人かのママ友から苦悩を聞いておりました。
授かった人も授からなかった人もいました。
わたしも二人目が欲しくなかったわけではないですが、
瞬く間に夫が浮気しまして……。
悩む以前に撃沈しました。
とはいえ、
「妊婦マークがどうも目に飛び込んでくる気持ち」
ちょっとわかる気がするのです。
現在40代後半のわたしには、妊婦マークを付けて歩く未来は存在しません。
ジャネット・ジャクソンは50歳で出産してますし、医学的には可能性はある。
でも、また離婚する羽目になったら?
わたしはベストアルバムを出す持ち歌がないので、
母子ともに路頭に迷うでしょう。
一度離婚してますからね……。リアルに惨状が目に浮かぶんですよ……。
総合的に考えて、やっぱりわたしは妊娠できない女です。
それはこの先どんなに誰かを好きになっても、
その人の子どもを産めないことを意味しています。
産みたいなぁも、産んで欲しいなぁも叶わないのです。
赤ちゃんという幸せを、大切な人に贈ることが出来ないという悲しさ。
相談者さまの「娘はきょうだいをとても欲しがっていました」というお気持ち。
根っこは同じなのではと思いました。
と同時に、ご主人も「二人目欲しい!」だったらもっと苦しかったかもしれない、とも。
愛する人から何かを望まれれば嬉しくもあり、逆に重荷でもあり。
愛とは誠に難しいものですね。
話が少し外れましたが。
街中の妊婦マークは「私は赤ちゃんという幸せを生み出せます!」
というマークでもあります。
そりゃ目に飛び込んできますよ。
眩しいです。
思えば、世界は大なり小なりそういうことで溢れてます。
SNSをひらけば、
自分が持っていないものをみんなが持っているのが目に飛び込んでくる。
キラキラ光る南国の海とか、ピカピカ光る寿司屋のウニとか。
「私はめちゃくちゃ努力してコレを手に入れた!」なんて報告まで次々と!
その度にみんな少なからず思うのではないでしょうか。
わたしも欲しい。
そのために、もっとやれるんじゃないか、やらなきゃいけないんじゃないか。
二人目を授かる可能性が残されている相談者さま。
「限界かなと思いながらも諦めきれずつらい」って、当然そうなりますよね。
とてもつらいと思います。
街の妊婦マークなんて気にしなきゃいい、
と言うのは簡単です。
そりゃそうでしょうよと思うけど、実際は簡単じゃない。
でも気にしてもなお、スッキリする方法があるとわたしは考えます。
二十数年まえのわたしは、赤ちゃんという幸せを生み出せる存在でした。
(妊婦マークはこの世にまだ存在してなかったけど……)
妊娠という価値基準で勝負すると、今のわたしは完敗です。
一方であの頃は、自分本位の愛を振りかざすいやーな女でもありました。
長い年月が過ぎ、わたしは世間の荒波にもまれまくりました。
そしてわたしの愛は、熟成されてまろやかになった。
それはたぶん20代の自分はもちろん、
現役妊婦マークのみなさんにも勝るとも劣らない品質、のはず。
だとすれば、
赤ちゃんという幸せは生み出せないけど、
負けないくらいの違う何かを生み出すことができる、かも。
大切な人にそういう幸せを贈れたらいいなぁ、なんて。
相談者さまも4年の月日で、熟成が進んだのではないでしょうか。
ご主人や娘さんと出会えたことは、かけがえのない奇跡ですよね。
でもこれ、のほほんと過ごしてたら、
今と同じ熱量で実感できない感覚かもしれません。
悔しさや苦しさを乗り越えた者だけが、手に入れられるものがあります。
それらは間違いなくご家族だけでなく、ご自身をも幸せにすることでしょう。
既にご相談者さま一家は、すれ違った妊婦マークさんから
「こんな家族になりたいなぁ」と羨ましがられているかもしれません。
少なくともわたしは羨ましいと思いました。
というわけで、
「この気持ち、どこにぶつけたらいいんだー」
と、熟女法廷で暴れる相談者さまに判決を言い渡します。
判決。
罪はないけどあえて有罪。
執行猶予100年。
執行猶予中は「この気持ち」を愛情に変え、
ご主人と娘さんに正しいタイミングと用量でぶつけつづけてください。
末長くお幸せに。
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