2023年 岐阜市議会 11月定例会(12月5日) 代表質問「市立大学及び専門学校の授業料無償化と奨学金返還支援制度の創設について」

○議長
2番、可児隆君。

○可児隆 岐阜市議会議員
 議長より、質問の許可を頂きましたので、健やか緑政を代表致しまして、れいわ新選組 可児隆、3つの質問をさせて頂きます。
 よろしくお願い申し上げます。
 まず、1つ目、市立大学及び専門学校の授業料無償化と奨学金返還支援制度の創設について市長に2点、質問致します。
 2020年、日本学生支援機構が行った、「学生生活調査」によると、奨学金制度を利用している学生の割合は、大学の昼間部が49.6%、短期大学の昼間部が56.9%、大学院修士課程が49.5%、約半数の大学生、大学院生が奨学金制度を利用しております。
 また、2022年9月、労働者福祉中央協議会が公表した、「奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書」によると、貸与型奨学金の平均借入金額は310万円、返済期間は14.5年、奨学金返済が結婚、出産、子育てだけでなく、日常的な食事や医療機関の受診など健康面にまで影響が及んでいるとのことで、高過ぎる学費や貸与型奨学金が若年者の貧困、非婚化、少子化の原因を作り出す社会問題となっていることが明らかになりました。
 実際の例として、私の知人の息子さんも31歳ですでに結婚し、子供さんも2人いますが、未だに奨学金を返済されており、子育てにかかる費用を考えると、大きな負担になっていると、現状を話されます。
 日本学生支援機構の貸与型奨学金に関し、市の運営する大学等に在学する市内生の昨年度の利用状況について、担当課に確認したところ、岐阜薬科大学は15名、岐阜市立女子短期大学は12名、岐阜市立看護学校は1名が利用とのことです。
 また、国に於いては、進学意欲があれば、家庭の経済状況にかかわらず、大学、短期大学に進学できるよう、2020年4月に高等教育の修学支援新制度が創設され、授業料免除と給付型奨学金からなる支援を始めました。
 市の運営する大学等も実施校として同年から支援を始め、昨年度は、市内生としては、岐阜薬科大学は9名、岐阜市立女子短期大学は13名、岐阜市立看護専門学校では3名の学生を支援したとのことです。
 本来なら、日本国政府が新規国債発行により充分な財源を確保し、大学などの高等教育の学費無償化、給付型奨学金の拡充、貸与型奨学金の返還免除を速やかに行い、解決すべき社会問題であると思います。
 国も企業と連携し、返済支援を制度化していますが、その制度に対する開示も充分ではなく、すべての奨学金制度利用者の救済にはなっていない現状と認識しております。
 そこで、自治体でも実施できる政策について紹介し、質問致します。
 例えば、学費に関しては、2023年10月13日、東京都が2024年度から都内の世帯年収910万円未満世帯の東京都立大学の学部生、博士前記課程、法科大学院及び助産学専攻科の学生、東京都立産業技術大学院大学の専門職学位課程の学生、東京都立産業技術高等専門学校の本科4、5年生及び専校科生を対象とする授業料無償化を実施することを公表致しました。
 この東京都立の授業料無償化は、子育て世代、学生、若年者の負担を軽減する画期的な政策です。
 そもそも、大学授業料が無償であれば、貸与型奨学金を利用する必要が無い訳であり、この東京都の政策は、前述の若年層の貧困、非婚化、少子化という現状を改善するには的を得た政策と評価できます。
 そこで、市長に1つ目の質問を致します。
 市長は、岐阜市立の岐阜薬科大学や、岐阜市立女子短期大学または岐阜市立看護専門学校に通う市内生の授業料無償化の実施について、その考えがあるかどうか、お答えお願いします。
 次に、奨学金返還支援制度について貸与型奨学金に関しては、近年、卒業後に特定業種への就職やU・I・Jターンによる地元への一定期間の居住など、自治体ごとに定められた用件を満たす方々に対して自治体が奨学金返還支援をする、奨学金返還支援制度の導入例が増えております。
 内閣府地方創生推進事務局によると、2022年6月1日時点で、36都府県615市町村が奨学金返還支援制度を導入済みであります。
 岐阜県内では、大垣市、高山市、恵那市、飛騨市、郡上市、下呂市、白川町、東白川村がすでに導入しております。
 現在の制度では、政府からの財政支援は、20歳から24歳の若年層人口が流出超過の都道府県の区域内にある市町村が、奨学金返還支援制度を導入した場合、上限1億円、措置率50%となっております。
 2023年3月28日にリクルートワークス研究所が公表した報告書「未来予想2040 労働供給制約社会がやってくる」によると、日本は、2030年には341万5千人、2040年には1100万4千人の労働供給が不足し、岐阜県では、2030年には10万9700人の労働人口が不足、さらに、2040年には29万2100人の人が不足すると試算されております。
 また、総務省の住民基本台帳人口移動報告書によりますと、岐阜市に於きましては2019年から2022年の期間で、20歳から24歳の若年層人口が1065人の流出超過となっており、将来的な人手不足は必然と考えられます。
 人工知能やロボットの台頭により、この研究通りの数字にはならないと思われますが、今後、自治体間で若年層の争奪戦が繰り広げられることが予想され、いかに若年層の流出を防ぎ、都市部に流出した若年者に戻って頂くための政策を充実させることができるかが、自治体の政治に於ける重要なテーマとなります。
 そこで、市長に2つ目の質問をお願いします。
 都市部に流出した若者に対して、岐阜市への一定期間の在住、または岐阜市内の企業に就職することを要件として、岐阜市が奨学金返還支援をすることは、若年者を救済しながら、岐阜市内の若年層人口の増加、出生数の増加、労働者確保の期待できる一石二鳥の政策でありますので、奨学金返還支援制度の創設が今後の岐阜市の発展に有効な政策と考えます。
 この奨学金返還支援制度の創設について、検討の余地があるかどうか、市長、教えて下さい。
 内閣支持率が30%を下回り、国民から信用を無くした国に対して、重要なのは地方からの発信や行動です。
 これは、各自治体の首長が訴え、色々な報道もされています。
 岐阜市立大学授業料の無償化は、国立大学や私立大学との兼ね合いなど実施には多くのハードルがあることが想像できます。
 しかし、地方からの発信や行動が無ければ、改革はできません。
 本来、教育に多額の費用を要してならず、学びたいという意欲のある子供の学ぶ機会は大切に守るべきと私は考えます。
 岐阜市の将来のためにも、岐阜市立の大学、専門学校の授業料無償化及び奨学金返還支援制度について前向きな検討を頂けるようお願いし、最初の質問を終わります。

○議長
市長、柴橋正直君。

○柴橋正直 岐阜市長
 市立大学及び専門学校の授業料無償化と奨学金返還支援制度の創設に関するご質問については、関連がありますので、併せてお答え致します。
 人口減少、労働力不足は、全国的に深刻であり、本市としても、これらへの対応は、重要な課題であると認識しております。
 こうした中、議員ご指摘の授業料無償化や奨学金返還支援など、高等教育に関する負担軽減の仕組みに関しては、本来、学生の住んでいる地域にかかわらず、経済状況に応じて必要な支援が応じられるべきと考えております。
 現在、国の修学支援新制度の下で本市の市立大学の学生に対しても、授業料や入学金に対する支援や、返済の必要が無い奨学金の給付が行われておりますが、令和6年度から、大学院生や多子世帯を対象とする支援策などの拡充が予定されており、引き続き、国の制度の動向を踏まえ、適切に対応して参ります。
 一方、本市に於きましては、まちなか居住を推進する再開発事業のほか、子育て世代、働き盛りの世代の方へのシティ・プロモーションなど選ばれるまちを目指した多様な施策を展開しております。
 その結果、総務省の住民基本台帳人口移動報告によりますと、本市の30歳代や40歳代の子育て世代は転入超過の状況にございます。
 20歳代前半は、一般的に、大学を卒業し、就職する年代ですが、県の調査によりますと、県内出身者が県外の大学に進学した場合、Uターン就職する割合は3割程度であるのに対し、県内の大学に進学した学生がそのまま県内に就職する割合は約7割との結果が出ております。
 こうしたことからも、若い世代が地元に住み続け、働いてもらうためには、高等教育の質的な充実をはかることが重要と考えており、現在、本市が設置する2つの大学では、将来に向けた取り組みを鋭意、進めているところであります。
 今後も引き続き、若年層人口の増加をはかるなど、持続可能なまちを実現するため、必要な施策を展開して参ります。

○議長
2番、可児隆君。

○可児隆 岐阜市議会議員
 丁寧なご回答、本当にありがとうございます。
 ご回答頂いた点につき、数項目、意見、要望を述べさせて頂きます。
 まず、高等教育の授業料無償化と奨学金返還支援制度についてです。
 私としては学生が教育を受ける環境、制度について、現状では、支援が不充分ではないかと考えております。
 貸与型奨学金制度を利用する学生達全ての家庭環境が貧困家庭ではないという現実があります。
 中流家庭でも、高校生や大学生の子供を複数人抱えれば、その家庭の中で教育費を全額賄えることなどは現実的ではなく、進学のためには貸与型奨学金を利用するしかない家庭がほどんどという現状です。
 国は、修学支援新制度の創設だけで、それを有効な方策としていますが、回答の中で紹介された2020年4月の創設された高等教育の修学支援新制度の支援対象となる目安の世帯年収は、380万円未満です。
 年収380万円未満ということは、所得の概算では、300万円、月額では手取り25万円ほどです。
 進学希望及び学びの意欲のある学生の何%が該当すると思いますか?
 私は、「それ以上の世帯年収があるが、色々な家庭環境で支援を受けられない」比率の方が、圧倒的に多く、その学生達が貸与型奨学金を利用して、就職後に苦労している現状を訴えています。
 国が細やかな点に手が届かず、不都合な点が生まれているのであれば、その点に手を差し伸べ改善していくことが地方行政の役割だと考えます。
 岐阜市が、子供達が安心して学べることができる自治体であるために、まず市が運営する岐阜薬科大学、岐阜市立女子短期大学、岐阜市立看護専門学校の授業料無償化を実現し、地方から教育無償化の発信をすべきと思います。
 また、岐阜市の若年層人口比率を改善するためにも、岐阜市による、奨学金返還支援制度の創設のご検討をお願い致します。
 これを、一般質問を書いた後に、新聞の発表があったので、紹介させて下さい。
 「美濃市の奨学金拡充」という題で、11月28日、まだ、1週間前ですけども、新聞発表がありました。
 細かい数字は読みませんが、「美濃市は来年度、低所得世帯を対象にした給付型奨学金と奨学金返済補助金を大幅に拡充させる。市の将来を担う若者を経済的に支援するのが狙い。市教育委員会によると、県内21市では、いずれも、最も手厚い支援となる。」と書かれております。
 そして、奨学金返済補助金は市内に居住し、県内で就職している大学などの卒業生が対象となっており、年18万円を上限に、10年間、支給し、奨学金の返済をサポートする。
 学生の、授業のある4年間だけではなく、その後も支給し、サポートすると書いてあります。
 是非ね、岐阜市も、これを参考に、新しい政策で、一歩、リードしていって欲しいと思います。
 よろしくお願いします。