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ここのところ安定していたのに、母から父の報告を聞いて、本音に気づいた話。

地元では、すき焼きは豚肉。
そして、最初から全部乗せ状態で煮込む母の味を真似しようと、作り方を電話で聞いた。

勇み足に作り方を話し、私が理解したことを確認すると、

この前の日曜にね・・・

と、ついでの報告があるのはいつものこと。

母はいつも出来事の始まりから事細かに説明してくれる。だから、途中でオチに気づいた私に話を乗っ取られることは珍しくない。

だけど、どうやら今回はいつもと声色が違う。ただのグチや失敗談ではなさそうだ。鼓動が大きくなりつつ、冷静を装って最後まで聞いた。

父はロードレース用の自転車に乗るのが趣味で、体力が落ちた最近は、近所を乗る程度だが、楽しみの一つにしていた。

いつものようにその自転車に乗って出かけたところ、どこかで転んだらしい。当日は脇腹が腫れ上がり、足には擦り傷をつくったようだ。2日経った今も痛みがあるらしく、明日も痛むようなら病院に連れて行ってほしいとのことだった。

だけど、骨折だったら晩酌などしていられないし、普段通りの生活はできないだろうから、重く見積もってもヒビ程度だろう。

だから、身体的な心配はない。
でも、胸がモヤモヤ、湧き上がる感情を見ないふりをしている自分に気づいた。

おそらく父は自分で転んだのだけど、時間が経過するうちに、車にひかれて3メートル飛ばされたことになっているらしい。そして、もう自転車に乗るのはやめると。

気落ちしてるだろうな。
好きな自転車にも乗らなくなっちゃったら、生きる気力をまたなくしてしまうだろうな。
この先どうなるんだろ・・・ポロリ

父を不憫に思う気持ちと、認知が進んでいること、いずれは私のこともわからなくなっちゃうんだよな、とか一気に頭を駆け巡り、冷静の堤防が崩壊した。

そうだ、そうだ、私は悲しいんだ。
憎たらしい時もたくさんある父だけど、大事に思ってるんだな。
ありのままの気持ちをごまかす必要ないんだ。

だけど、何で車にひかれたことになっちゃうんだろうな。育てた野菜が傷んでダメになった時も最終的には盗まれたことになってたな。

うーん・・・

うーむ・・・

はっ!!

父は元々自分の非を認められないタイプ。
頭ん中の自己防衛システムが作動したんだ!
誰かのせいにして自分を守ってるんだ!
妄想入るのってそーゆーシステムなんだ!
じゃあ、転がったことで自信無くしてないわな!

すげー!
頭のメカニズム!
これが認知症の妄想の真実!

なーんてな(笑)

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