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リモートワークは自由・・・?

#はたらくを自由に  良いお題だなぁと思って、ちょっと書いてみる。

私は、あるサービスのマーケティングや企画運用の仕事をしている。ざっくりいうとPC作業中心の企画運用の仕事だが、ちょっと変わっているのは、日本チームが一人ということ。

どんな仕事でリモートワークしてるの?

グローバル展開しているこのオンラインサービス、開発チームは東欧に、マーケ・企画運用チーム本体はマレーシア、イギリス、アメリカにある。私のチームメイトはほぼ全員、アジア本社であるマレーシアにいる。日本は「リモートチーム」という位置付け。他にオーストラリアにも同僚が一人いて、同様にリモートチームとして動いている。

こんな体制で、世界各地にいる同僚と連絡をとりながら、日々仕事をしている。「グローバルな環境で、様々なバックグラウンドを持つ人と協力して働きたい」という私の仕事像の1つは叶えられているので、その面ではけっこう充足している。

いっぽう日本国内での活動は、お客さんも取引先もほぼすべて日本人で、日本市場にどうやってサービスを広めるかを考えて、手を動かして・・・という状態。日本チームは私だけなので、カバー業務が広い。いつも時間が足りない。勉強時間も足りない。業務を回す時間も足りない。適宜アウトソースしながら回しているものの予算も限られている。上司や同僚に説明するときはすべて英訳・・・という事情もある。オージー同僚が「メルマガ送信やっといてあげるよ!」って言うから頼んだら、件名「Hi! $Firstname 〜」 になってて「やはり、自分でやらなきゃならん」・・・と思ったこともある。

リモートワークのつらいところ

一人リモートチームというのは、色々「制約」がある。

1. わからないことがあったときに「ちょっと教えて」と対面で気軽に話しかけられない
2. 困ったときは積極的に「XXXで困っている」と言語化して伝えないと、チームメイトには永遠に伝わらない
3. つらいときや嬉しいときに、分かち合う相手がいない。打ち上げや反省会を対面でできない
4. 日本は他国とは違う状況である……ということを、全て言語化して伝えないと、理解してもらえない。これをさぼると「他の国と同じ」と思われてしまい、残念なアウトプットが出来上がる
5. 参加するべき会議があっても、何らかの手違いで招待メールが届いていないと会議の存在に気づくことができない。後になって「なんで出なかったの?」と言われることも・・・

例えるなら、遠距離恋愛レベル並のコミュニケーションスキルと気遣いと忍耐強さが求められる(私はあまり遠距離経験ないので、想像です・・・)。

特に4.=「日本は他国とは違う状況である……ということを、全て言語化して伝えないと、理解してもらえない」 が象徴的。「伝える」を面倒がると、仕事が宙で止まってしまったり、見当はずれのものを開発されてしまったり、ろくなことがない。

「なんでこんな入力形式になってるの?」

「これがグローバルスタンダード。違うならチケットあげといて。対応は、リソース割く価値があるか確認してからね」

という会話を、何度したことか・・・。

地味につらいのは、3.=「つらいときや嬉しいときに分かち合う相手がいない」。リモートワークのストレスについて解説した英文記事の中でも、こんな文章がある(意味を取るためのざっくり訳)。

オンライン通信でつながるバーチャルな環境下では、タスクに集中しすぎて、関係性への気配りを怠りがち。タスク完遂や〆切管理などを重視しすぎると、リモートワーカーは、自身がチームの重要な一員ではなく、ただの歯車として扱われているように感じてしまう。パフォーマンス重視型のリーダーシップスタイル(transactional leadership)は、リモートで働くことによって自然と生じる孤独感を助長し、リモートワークやバーチャル職場におけるストレスへとつながる。(原文:“In a virtual environment there is a tendency to focus too much on tasks and too little on relationships. This kind of transactional leadership can be the route taken by leaders who want to get the job done but fail to recognize how important the people are who are completing these tasks. With more emphasis on deadlines and routine information, virtual workers can feel treated as a cog in a machine, rather than an essential part of the team. Such a leadership approach can worsen the sense of isolation that naturally comes with working remotely and can contribute to virtual workplace stress.“)


マレーシアにいる上司はそこらへんを配慮してくれる人で、毎週1-on-1の時間以外にも、チャットでちょこちょこ雑談する。親日的な人なので、話しやすい。私も、良いニュースも残念な出来事も、できるだけリアルタイムで報告共有するようにしているし、旅先で撮った写真を交換することもある。けっこううまくやってると思う。

しかし、5人程度のオンライン会議を2時間やった後に「疲れた・・・誰かと話したい」と思う感覚は、リモートならではと思う。「疲れたね」って言い合う人がいない。チームワークしてるのに、一人。

会議といえば、ふとしたときに5. =「参加するべき会議があっても、何らかの手違いで招待メールが届いていないと会議の存在に気づくことができない」ことが発生すると、「私もチームの一員なんだから、忘れないでよ。゚(゚´Д`゚)゚。」という気分になる。会議が始まった後に「あれ? かには?」となって、声をかけてもらえることが大半とはいえ。

リモートワークの良いところ

とはいえ、リモートワークには良いことも色々ある。

A. 時間的拘束が少ない。約束がある時間以外、いつ何をするかは自分の意思で決められる
B. 場所的拘束が少ない。パソコンとセキュアなインターネット環境があればどこでも働ける
C. 肉体的負担が少ない。混雑する通勤電車を避けられる、体調がイマイチのときは休み休み働ける
D. 無駄な時間・会議・気遣いが減る 

私はちょっと特殊ケースなので通勤先が一応あるが、一般的には「どこでも」「いつでも」働けるのがリモートの良さ(A, B)。(自分のシチュエーションは、週2〜3リモートで働いたり、在宅勤務を併用したりする「パーシャルリモート」に近いと思う。)

個人的には、Cの恩恵も見逃せない。私はもともと体力がなく病気がち+根性なしなので、しばしば体調を崩して会社に行けなくなる。体調は悪いが家で資料を読んだり文章を書ける程度には元気・・・というとき、今までは仕事を休むという選択肢しかなかった。それが、リモートでも働けるようになっていれば「今日は50%働こう」みたいに、できる範囲で仕事を進められるようになる。

D=「 無駄な時間・会議・気遣いが減る」はA〜Cすべてと関連する話。日本の会社はまだまだ会議が多いようなので、これの恩恵が大きい人は多いのでは。仕事を休んで旅行したときに「お土産買わなきゃいけないかな?」と考えなくて良いのも、個人的には気楽でいい。逆にお土産を買いたい気分のときは、ちょっと寂しい(ショッピングって楽しいよねー)。

まとめらしきもの

リモートワークは「自由」なはたらき方だ。自分がするべきこととタスクを把握していれば、どこで、いつ、取り組んでもOK。

でもその反面、チームワークや所属感の醸成が難しいし、リモートワーカーのメンタル管理には特有の配慮が求められる。お土産を買う気配りは必要ないけれど、心のリソースと言う意味では、対面のとき以上の気配りが必要かもしれない。今回はあまり触れなかったが、リモートワークの業務管理もけっこう難しい(ひとりで卒業論文を書くのが難しいのと同じ)。

でも、それでも、日本において圧倒的に不足している「自由なはたらき方」の1つとして、リモートワーク、もっと広まってほしい。

満員電車に乗って通勤して、インフルエンザをもらって帰る。そんな無駄は、何もうまない。 #はたらくを自由に  

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