目標はお守りにも、呪いにもなる。
目標設定がつらい。
今の職場は、やたらと高い目標を設定する。上司と1対1で行う目標設定会議では、できないことを「できる」と豪語するための議論をこねくり回しているように感じることもある。「目標は大きく。それに到達するために切磋琢磨することで不可能も可能になる」という信条もあることは理解してるが、今の環境では色々あって、私はそういう考え方をする元気がない。つらい。
趣味のパラグライダーでは、パイロット証(ライセンス)を取った後、なんとなく「パイロット証を取ったら次はクロスカントリー証を目指すんでしょ?」という流れがある。強制では全くないのに、変なところで生真面目な自分はその流れに乗らなきゃいけないような気がしてしまう。しかし今の私は、出来る限り遠くに飛ぶクロスカントリーという競技にあまり興味が湧かない。ワクワクしない。 でもじゃあ何を目標にしたいのか? 何を目指したいのか?と考えたところで、自分の中によい答えが見つからない。つらい。
なぜ目標設定するのだろう
べつに目標なんて、なくてもいいじゃないかとも思う。
でも、目標があったほうがモチベーションが高まる。具体的には、眠い朝に布団から出る原動力になる。それに仕事も趣味も、せっかくやるなら上達したい。経験則的に、目標があったほうが早く上達できる。早く上達したいなら、目標はあったほうが絶対にいい。
じゃあ「上達しなくていいい」と割り切るなら、目標はなくてもいいのかも。そもそも、趣味に目標設定なんているのか? 目標設定できなくても楽しければ、趣味なんだからそれでいいじゃないか?
そんな思考をグルグルしつつ、賢くもない自分がひとりで悩んでいてもしょうがないので、目標に関して書かれたものを漁ってみた。あれこれ読んだなかで、特に考えさせられた3つ資料のエッセンスを記録しておく。
目標をもつことのベネフィット
https://medium.com/@kelseycleveland/goal-pursuit-happiness-3efc50148cd8 (from "The How of Happiness" by Sonja Lyubomirsky)
目的意識を持つことができる (give sense of purpose)
自尊心を高めることができる(bolsters self-esteem.)
日々の暮らしに指針を与えてくれる (adds structure and meaning to our daily lives.)
優先順位をつけて時間を有効活用する助けになる (helps us learn to prioritize the use of our time.)
問題が生じた際に乗り越える力となる (Helps us cope with problems.)
他者とのつながりを深めるきっかけとなる (Often involves engaging with other people)
目標設定 3つのコツ
具体的にする (pick specific goals):何をすればよいかイメージできる目標にする
小さく分ける (break big goals into small ones):取り掛かりやすいサイズの目標にする
誰にも言わない (don't tell anyone your goals):目標は誰にも言わない!
WOOP:4つの質問に答える形で目標設定するメソッド
https://www.panoramaed.com/blog/setting-goals-woop
W: Wish 願い:自分が意義を感じられ、適度にチャレンジングな目標は?
O: Outcome 成果:目標達成できたときの理想的な状況や気分はどんなもの?
O: Obstacle 障害:目標達成を妨げるものは? 出来るだけ明確に想像する
P: Plan 対策:障害に対してどのように対応するか? 具体的な対応策を考える
調べつつ、考えた。
目標に関する記事や文献を調べつつ思った。よい目標は、肌身離さず身につけていたい「お守り」になるのだろう。そのお守りが手元にあると、やる気が湧いたり、思うようにいかず苦しいときに諦めないでチャレンジし続ける勇気を奮い立たせたり、そんなご利益がある「お守り」。
いっぽうで、目標は「呪い」にもなりかねない。誰かに宣言したがために「宣言したからやめられない」と無用なプレッシャーを感じたり、持っていることが苦痛になってしまったり。下手をすると、楽しかった趣味が苦痛になってしまうような「呪い」。
苦痛といえば…職場での目標設定に使われている「OKR」という手法についても調べたところ、いくつかの資料でこんなことが言われていた。
…うちの上司はOKRで高いレベルの目標を設定しつつ、部下が目標を100%達成することを期待しているし、それを人事評価にも使っている。部下(私)がつらくなるわけだ(やれやれ)。
閑話休題。
目標設定には良い点がたくさんある。職場はさておき、趣味の目標は自分自身のために設定するものなんだから、WOOPメソッドを使って、自分が意義を感じられることを目標にすればいい。そうすれば目標は呪いではなく「お守り」のような存在になって、自分を助けてくれるはず。だから具体的で、取り掛かりやすいサイズの、誰かに見せびらかすわけではない、自分のための目標を作ればいい。
そう決めたら、つらさがちょっと和らいだ。
サポートでいただいたご厚意は、「パラグライダーと私」インタビューで生じる諸経費や執筆環境の整備に使わせていただきます。