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「できる」ことを「やりきる」

今日は、最近気になる小ネタをいくつか紹介してみます。

パラグライダーを使ったRedBull X-Alpsレースを取り上げたTV番組「風をつかめ2023」が15分番組x10回シリーズとして再編集されて放送されたのを受けて、友人がこんなnoteを書いているのを読みました。

↑はRedBull X-Alpsとはどんなレースなのか、見どころも含めて詳しい紹介と女性初の完走者エリザベス・エッガー(Elizabeth/Eli Egger)による手記を翻訳して紹介しています。足とパラグライダーだけでアルプスを縦断する過酷なレースにおいて、小柄な女性であるハンデを乗り越え自らの特性を生かしてゴールまで辿り着いたエッガーの活躍は「風をつかめ」でも取り上げられていましたが、↑で紹介されている手記もすてきでした。

「風をつかめ2023」といえば、個人的には中国人選手ソン・ジュンミン選手の夜通し走って足切りを回避したエピソードも面白くてお気に入りです。X-Alps公式サイトでも紹介されていました。

X-Alpsレースでは3日目以降、2日ごとに最下位の選手が足切り=失格になってしまうルールがあります。そのルールが最初に適用されるのは4日目の朝。ソンは3日目が終わった時点で最下位、つまり最初の足切り犠牲者になりそうでした。3日目午後にあまり良くない場所に降りてしまい、あきらめかけていたソンに、サポートチームの一人が言います。「レース中に一度だけ夜間も活動できる権利『ナイトパス』を活用して一晩走れば、約40km先にいる前の選手を追い抜かすことができるかもしれない」と。前の選手はどうやら、その夜にナイトパスを活用する意思がないようだ…という事実が明らかになると、ソン・チームはナイト・パス行使を決めて行動開始。ソンは一晩中、アルプス山脈沿いの真っ暗闇の中を歩き、走りました。サポートチームも彼に伴走して補給食や飲み物を渡します。一睡もせず一晩中動き続けた彼が立ち止まったのはたった一度、妻が作った温かい手料理を食べるときだけでした。そして夜が明けるころ、事態に気付いた前の選手が慌てて動き始めました。そこから1時間半はアスリート二人のランニング・レース。走って走って・・・足切りが決まる時間まで走り続けた結果、最下位の選手よりも5km前の地点にいたソンは、無事に足切りを回避しました。

理論上は「できる」ことも、それを「やりきる」ことは簡単ではありません。私はどちらかというと理論先行型&根性なしで「やりきる」のが苦手なタイプです。その2つを兼ね備えて、冷静に考えて熱いハートで実践に移し成果を出しているひとを見ると圧倒されるし、私も爪の垢を煎じて飲みたいなぁと思います。

「やりきる」人といえば、パラグライダーの先輩である空飛ぶ写真家・前島聡夫さんもすごい。彼は昨年パラグライダーの国内大会中に事故に遭って大きな怪我を負いましたが、その経緯、そして入院・手術・リハビリの様子などをマガジン「パラグライダーで墜落。そして入院」でまとめています。怪我の話も多く痛々しい描写が苦手な自分は読むのがちと辛いこともありましたが、自身に起きた事故を振り返って冷静に考察を続ける姿勢と、それを言語化して情報発信する様子、そしてプロの仕事を垣間見ることのできるInstagramの作品たちには圧倒され続けています。

彼が先月はじめに書いていたこの↓noteは仕事ができるほどに回復して、社会復帰を果たしての復活宣言。それに添えられた河津桜と戯れる鳥の写真は春の訪れを告げるようで、見ているとこちらまで胸躍るような気分になります。まだリハビリは継続中で「空飛ぶ」写真家としての復活はまだこれからとのことですが、この人なら最後までやり切るんだろう!という力強さを感じます。

すごい人の活躍を見ていると自分はあそこまで「やりきる」ことができるだろうか?と考えるキッカケになります。「できる」ことが分かっただけで満足してしまいがちな私ですが、少しずつでいいから前に進んでいくことを重ねて「やりきる」経験を増やしていきたいものです。別に表彰台に乗らなくてもいい、自分なりのチャレンジでいいのだから。


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