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趣味友がいないなら、英語で探せばいいじゃない ー 人生をもっと楽しいものにしよう

マイナーな趣味のはなし

昔々、ダイヤルアップ接続の時代に、私はインターネットにハマった。

きっかけは、音楽だった。思春期の私は、ヴィジュアル系バンドにハマっていた。LUNA SEAのようなメジャーどころだけでなく、まだインディーズのマイナー目なバンドもいろいろ聴いた。しかし特にジャンルにこだわりはなく、音源を聞いて「いい!」と思ったものは、なんでも聴いた。

2002年ごろ、COALTER OF THE DEEPERS (deepers)にハマった。ところが、私の周りにはdeepersを知ってるひとがいなかった。皆無だった。まだSNSもない時代、音楽好きのインターネット友達はいたが、deepersはそれまで属してたヴィジュアル系クラスタとはちょっとずれていた。話題に出しても「deepers? 何それ?」という反応が返ってきた。

2003年になって、SNSが出始めた。新しもの好きの私は、早速、英語SNS「orkut」にサインアップした。そこでコミュニティページを通して、ブラジル人のdeepersファンと仲良しになった。彼とは音楽の趣味が合った。カタコトの英語と日本語で、たくさんチャットした。最大128kbpsの遅いインターネット回線を使って、音源データを交換しあった。フィッシュマンズマイブラも、彼から教わった。

もともと英語は得意なほうだったが、orkutでの交流は、英語を使えると世界が広がって楽しい!という原体験になった。

趣味が合う友達は、日本人以外でもできる。いやむしろ、趣味の友達は、英語で探した方が効率的だ。母数となる話者人口がずっと多いのだから。

その後、大人になって、仕事で数学の論文誌出版に関わったり、趣味でパラグライダーにハマったりした。いずれもけっこうマイナーな分野なので、日本語だと購読者や競技者の数が、絶対的に少ない。

具体的な数を書いておくと、日本数学会の会員数は5000名程度。日本国内のパラグライダー競技者も、同じく5000人程度(アクティブ数)。日本人の人口は約1.3億人。このなかの5000人ということは、比率で計算してみると、数学好き/パラグライダーフライヤーは、日本人2.5万人に対して1人程度しかか存在しない。つまり東京ドーム満員の日本人がいて、2人いるかな……という程度だ。少ない!

仕事ではもちろん、趣味でも「同好の士が少ない」というのは不便だしさみしい。国内に5000人のコミュニティがあっても、5000人全員と気が合うわけじゃないし。できるだけ母数を増やして間口を広げておいたほうが、気が合う人との遭遇確率は上がるし、情報収拾がしやすくなる。

なぜ英語を勉強するのか

こんな文章を書いているのは、昨日こういうtweetを見かけたから。

そもそも「なぜ英語を勉強するのか」という根本的な問いに答えられる人はどれくらいいるだろうか……そういう教育をしているのか? という問題提起。

ぶっちゃけ、日本は大きな国だから、日本国内で働いて日本国内のコンテンツを消費しているだけなら、日本語だけでもいちおう事足りてしまう。「なぜ英語を勉強するのか」を考えても、そこに答えがないのなら、べつに英語なんて勉強しなくてもいいんじゃない? やっても身につかないだろうし……と、個人的には思う。

でも、世の中には「日本語だけだと友達をつくれない」という趣味嗜好をもつ人もいる。そういう人は、英語やそれ以外の言語を学ぶことによって、世界が広がり、人生がもっと楽しくなる。なにより、英語が使えた方が情報収拾も、コミュニケーションも、旅行計画も、便利だ。

アメリカ英語が世界標準、いやイギリス英語のほうが洗練されているし正統だ、オーストラリア英語は訛ってるからダメ、東南アジアで使われる英語はネイティブじゃないから邪道、etc. の自説を展開する人がたくさんいるのは知っている。私は、そういうのには興味がない。だって、英語は、世界と繋がるための道具だから。

道具はないよりも、あったほうがいい。ちょっとくらい隣の人と形が違っても、活用できるなら問題ない。どんなに小さな道具でも、手に入れたら使ってみよう。使っているうちに経験値が上がって、もっとうまく道具を使いこなせるようになる。

英語を母語としない私は、どんなに勉強しても「ノンネイティブの英語話者」にしかなれない。でも、それでも、英語という道具があれば、世界と繋がることができる。日本人以外のノンネイティブ話者との交流にも使うことができる、便利な道具だ。活用の幅は、果てしなく広い。

だから、私は英語を勉強している。英語という道具を使って、世界を広げて、人生をもっと楽しいものにしよう。

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