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カニを求めて徳之島 #4

朝起きたら身体がガチガチだ。
長時間の運転と
慣れぬクーラーの影響だろう。

しかし旅は残り半日。
疲れたなど言っていられない!

果たしてカニの屋敷神さまには
出会えるのだろうか。
カニのことを思い
横ばいで布団から這い出る。

松原で出会ったTさんによると
区長をしていたかもしれないMさんは
まだ何人かいるらしい。

昨日の電話では
心当たりのMさんを調べてくれていたようだ。

せめてどのMさんなのか特定できれば
カニの屋敷神さまがいるお宅が絞られてくる。

屋敷神の写真が載っていた本は
1975年の1月1日に出版されている。

そこに【松原地区の区長Mさん】
と書かれているのだ。

と言うことは、
1974年あたりに区長をされていたMさんのお屋敷で
この写真が撮影されたということになる。

Tさんとの待ち合わせの前に、
役場に行って、
1974年あたりの区長さんが誰であったか
記録が残っていないだろうか
調べてみることにした。

役場では、結局、記録が残っているわけではなく、
松原の現区長さんに電話をして聞いていただくことになった。
公民館には歴代区長の写真があるので
辿っていけば正確なことはわかるかもしれないとのこと。

そしてわかったことは、
その当時区長をされた方はもう亡くなられているということ。
そして、正確な時期はわからないが、
その頃区長だったMさんの心当たりはおふたり。

ひとりは、昨日お邪魔した長老Mさんのさらにお父様。
もうひとりはM(K)さんという方がいらしたと。

ひとまず、
その情報を得て、Tさんとの待ち合わせ場所へ。

Tさんがまず、
案内してくれたのは最初のMさんのお家。
庭石はたくさんあるが、どれもあたらしい感じで
カニの形のものは見当たらない。
住んでいる方も見たことがないという。

役場で聞いたM(K)さんのお宅にも行ってみた。
今はM Kさんの息子さんが住んでおり、
その方はTさんの同窓で親しい仲らしい。

息子さんも、カニの石はみたことがないとのことだが
Tさんと共に興味深そうに
いろいろ相談に乗ってくれた。

そこででた結論は、
やはり、長老のMさんのお宅ではないかということ。

長老の古いお屋敷は火事で無くなってしまったとのこと。
今のおうちは、そのそばに新しく建てたものだそうだ。
そんなことがあったのか、、、、。
だから、火事の片付けの際に
屋敷神もどこかへ行ってしまったのではないかと
そんな話が出てきた。

その仮説はかなり当たっているような気がした。

「やっぱり、長老だ!」
Tさんが膝を打つ。

カニの石はもうなくても、
長老の記憶には残っているかもしれない。
話が聞けるかもしれない。

「わたしも興味持ってね〜。
 この石をみてみたくなってね〜。
 この石があったらすごいと思うよ〜」

Tさんが言う。
この方にであえたことが
本当にありがたい。

ひとまず、
長老が元気に退院されることを
みんなで祈ろう!

そういうことになった。

カニの話はここでおしまい。

旅の最後は
大好きな場所ウンブキに立ち寄る。

きょうは
強烈な夏の光が
木漏れ陽となって踊っていて
とても美しかった。

光に魅入っていた薫ちゃん

さあ、船の時間。

宿題を残して
ひとまず
奄美に帰ろう。

徳之島
ありがとう!
カニガトウ!

宿題
・カニの石の話を松原の長老さまにお聴きする
・母間のカニのうたのことを調べる
・徳和瀬のカニ占いについて調べる
・かつての人々にとってカニはどんな存在だったのだろうか

(カニを求めて徳之島 第1章 完)

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