見出し画像

ああカニがたい日々よ!

うちの五右衛門風呂づくりを監督してくれた
ご近所の89歳の五右衛門風呂師匠が、
ねずみとりの網を一生懸命改造していた。
聞いてみると、カニをとるというのだ。

畑を荒らす猪を獲ろうと、罠を仕掛けているが、
仕掛けの餌である芋をカニたちが先に食べてしまって
猪がかからないのだそう。

「まずはカニをとらな、猪はこん!」

ということで、
カニをとることにしたらしい。

カニ好きなわたしは、
「カニ、好きなんです。すごい好きなんです。」
と思わず師匠に熱弁。

すると、今朝のこと。

「カニ」

と一言いいながら、師匠が持ってきた籠には
立派なカッコいいカニがかかっているではないか。
師匠、、、わざわざ持ってきてくれるなんて、
やさしい、、、、。

画像1

カニは、罠から離れたところで逃がすことを約束して、
ボウルに引き取ることにした。

画像3

この方は、ちょっとひょうきんで気が強いカニだ。
かわいい。。。。
カニを愛でていると、あっという間に時が過ぎる。

先日、山の中腹に家を持っている方と
カニの話をする機会があった。

数年前までは、しょっちゅう家に
たくさんのカニが入ってきたらしい。
トイレにもしばらく隠れて住んでるやつがいた、
と、懐かしそうに話す。
まさに今の我が家の状態だ。

ところが、その山の川の上流に、マンゴーハウスが出来てから、
一切カニが来なくなったという。

除草剤とか農薬とか使うからかね、、、
という話であったが。

ふと、気がついた。
我が家にはカニが来るのが当たり前だと思っているが、
うちだって何かの拍子でカニが来なくなるかもしれないのだ。

よく考えたら、
こんなにカニが入ってくる家はそう多くはないだろう。
この家の裏には、昔水田だった湿地が広がり、
そのまま山につながる。
今は自然のままカニがのびのび生きられる
綺麗な場所なのだろう。

わたしが、こうして、毎日カニカニ言って
カニを愛でるしあわせを感じられることは
ありがたい、いや、カニがたいことなのかもしれない。

そして、考えるのも恐ろしいし、絶対嫌だが、
カニが来なくなる可能性だってあるのだ。

ご近所に89歳の師匠がいて、
獲ったカニを持ってきてくれて
そのカニがとってもカッコよくて
カニーカニーといいながら、
絵を描くわたしのカニ暮らしは、
とてもとても貴重な時間なのだ。

時折、ふと、
なぜわたしはこんなにカニを描くことに夢中なのだろう?
と不思議な気持ちになる。

もしかすると、わたしの魂は、
このカニがたい毎日の暮らしを
味わって刻みたいのではないか。

生まれてきて、死ぬまでの、
このきっと終わってしまったらあっという間の人生の中で
カニと暮らしている今の生活は
とってもおもしろいよ。

画像3

カニを置いて立ち去る師匠の後ろ姿。
(実は師匠のファンなのです)

あおきさとみ
https://kani-uchu.webnode.jp/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?