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カトクデアイマショウカニ

人工物が一切ない
太古のままの浜がある。
そこに立つと
川が生きていることがわかる。

深い森に覆われた山の中
水は落ちたり流れたりしながら
集まって太い川になる。

川は蛇行しながら海につながり
海は芸術家が吹いたガラスのような波を巻く。

川は動く。

風や水の量
太陽の熱によって
土砂が影響を受けるのだろうか。

赤ちゃんが
寝返りを打つように。

猫が
伸びをするように。

あなたが
あくびをするように。

川は動く。

生きているのは川だけではない。
一時も休むことなく呼吸している海。
木の根が絡まる大きな岩。
背骨を丸め黙ってうずくまる山。

この浜に立つと
わたしたちの住んでいる地球が
ひとつの大きな生き物だということが
感じられる。

わたしたちの身体に
無数の常在菌が住んでいるように

地球の表面には
わたしたちをはじめ
鳥や獣
草木やカニたち
いろんな生き物が住んでいる。

人間は特別ではない。
みんなおんなじ仲間なのだ。

この浜は嘉徳浜という。
奄美大島で唯一の
集落にある自然のままの浜だ。

嘉徳には珍しいカニがいるときいた。
よくみかけるベンケイガニや
スナガニだけでなく
わたしがみたことのないカニたちが
住んでいるそうだ。

いつか会ってみたい
嘉徳に住む珍しいカニたちの
Tシャツを描いた。

ツノメガニ
ミナミスナホリガニ
リュウキュウコメツキガニ
ヤエヤマヒメオカガニ
ヒメヒライソモドキ

なんてユニークなカニたち。

このカニたちは
地球の肌の表面に
小さな穴を掘って住んでいる。

人間のように
コンクリのカサブタで
地球の肌を傷つけたりはしない。

わたしたちは
自然のものを
都合の良いようにコントロールしてきた。

川は動かぬように縛りつけられ
海は埋め立てられ
山は削られる。

地球が生き物であることがわかる場所は
人間のそばにはほとんどなくなり
動かない川があたりまえになった。

でも
ほんとうは
川は動くものなのだ。

実際に行ってみると
わかるだろう。

地球が
川が山が海が
自分と同じように
命あるものなのだと。

この微かな感覚に。
小さな声に。
ちゃんと耳をすませますように。

どうか人間が
地球という生き物と共に生きる道を
選べますように。

カニたちも
ただただそこにいてくれる。

あたたかくなったら
嘉徳のカニたちに会いにいくよ。

「カトクデアイマショウカニ」

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「カトクデアイマショウカニ」グッズの売上げは
自然保護野生生物保護活動をしている団体に寄付します。

嘉徳の紹介動画です。ぜひご覧ください。↓


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