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さよならの十二月

2022年、大晦日。
クリスマスイブに、友達が息をひきとった、という知らせを聞き、そこから世界が変わりました。
自分が仕事の次に、いや仕事以上に心を寄せるライブや美術の世界、それを同じように理解してくれる方でした。
応援するミュージシャンの健康にも心を砕いていました。

すでに家庭をもつお二人のお子さんがいらっしゃるのですが、長い闘病生活をされていたご主人を亡くされたばかり、コロナで外出を控えられている時に病に捕まってしまったのだと思います。

寂しい。
ご家族の悲しみはどれ程のものか、と思います。
しかし、自分がどれだけ彼女のことを心の支えにしていたのか、いなくなってその空白に涙が止まりません。
自分には家族がいない、その自由とひきかえに彼女のような素敵な方と純粋に交流できたのだ、と思います。
仕事の愚痴から切り離され、美しい音楽、現代美術、旅の話をする喜び。
もう彼女と話すことができないなんて。

彼女が好きだった人たち、彼女のことを愛していた人たちののために、自分は何ができるんだろう。

彼女が聴いてくれた3回の自分の池袋でのライブで毎回やっていた思い出の曲、ジョビンの「白い道」、涙で弾けなくなってしまった。

やっぱり、自分の曲をつくらないと。
曲をかくことだけが、いま自分を表現できることなんだな。

若く美しい才能あふれる同門のピアニストさんが、「自分は作曲もできる、という特徴をもったピアニストになりたい」とおっしゃっていた。

でも自分は曲をつくることでしか自分が表現できないんだわ。


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