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#2 企業は投資家から評価されている?【温暖化対策・CDP】

前回の初回投稿から気づけば2ヶ月も経ってしまいました。
気張って書こうとすると筆が進まない、
結果何も書けない、というループにちゃんとハマりました^^;

前回の最後で、『次回は「どうやって温室効果ガスの排出を減らすのか」に焦点を当てて整理します。』なんて言いましたが、前言撤回です。
タイトルにもあるようにCDP(カーボンディスクロージャープロジェクト)について書いてみます。


企業に向けられる投資家の目

前回の記事で、地球温暖化とその原因である人間活動に触れました。

国単位で温室効果ガスの排出削減目標が設定され、それを後押しする法令の整備が進む中、企業に対する目も厳しくなっています。特に企業とって重要なステークホルダーの投資家も、企業の環境への影響を注視しています。

投資家にとって、投資先の企業が利益を生みお金が増えることが重要です。しかし、投資先の企業が環境破壊をしなければ利益を出せないようなビジネス構造であった場合どうでしょうか?
例えば、コピー用紙など消耗品を販売しており原材料確保のため多くの森林資源が必要で、利益を生むためには森林を少しずつ減ってしまう構造であったら。
その森林に住む動物や原住民が住み家を失う、二酸化炭素の吸収量が減り温暖化が進むといった問題は当然ですが、いつかなくなってしまう森林資源を使い利益を出している会社には "持続可能性がない" という評価にならないでしょうか。"今は利益を生むけど、長い目で見ると続かない企業" となってしまいます。
投資(お金を"長期的"に増やす)という観点からも、ただの綺麗事ではなく、環境と共存できるかというのは企業を評価する上で重要なポイントになります。

評価機関CDP

そんな投資家が、企業の持続可能性を評価する上で一役買っているのがCDPです。

2000年にイギリスで設立されたこのNPOは、世界中の企業に質問状を送り、年に1回の回答内容をもって企業をランク付けし評価しています。
回答を要請される企業はここ3年ほどで大幅に増え、2023年の回答では世界中で23,000社以上(日本では約2,000社)が回答し、世界の時価総額に占める60%以上をカバーするようになりました。

質問内容は、以下の3つのカテゴリに分類されており、企業の業態によって回答が求められるカテゴリが異なります。

  • 気候変動  ・・・気温上昇に伴うリスクと機会の把握、その対策の有無

  • 水セキュリティ・・水リスクの把握と対策の有無

  • フォレスト ・・・森林資源の利用に伴うリスクの把握と対策の有無

多くの企業に回答要請が送られるのは気候変動で、日本でも2023年の回答から東証プライム市場に上場する全企業が、気候変動の回答要請対象となりました。スコアは回答内容によってA〜D(各ランクにマイナス含む)の8段階でランキングされ、未回答の場合はF評価となります。

カバーする企業群が大きく、必要に応じて質問するカテゴリを使い分け、明確なスコア付けをする(スコアは業界、操業地域での比較もできる)ので、CDPは投資家にとっては非常にわかりやすい設計となっています。

評価されることのメリット・デメリット

投資家にとっては投資判断に非常に便利なCDPですが、評価される企業側はどういったメリットがあるのでしょうか。
一方的に評価され、活動が水準に及ばないと赤点が付けられる、というネガティブ要素しなないものではないと思います。

CDPスコアは投資家が参考にしているという性質上、そこでのスコアを上げることは、新しい資金調達や株価を上げることに繋がる可能性があります。また、RE100など企業の指針を表すイニシアチブと同様に、ブランディングにもなるでしょう。

まとめ 本当に大事なこと

今年、2024年のCDPの回答期間が6月に始まりました。
今年は例年からUIが少し変わり、質問の回答方法も少し変わりました。
回答方法に選択式が増え、これまで文章で補足できていた部分がなくなり、いいスコアを取るための誤魔化した回答ができなくなった印象です。
CDPで上位スコアを取ることは投資家へのアピールとして重要なのですが、本当に重要なのは、企業が環境問題を重要な課題と認識し、実態のある取り組みをしていることだと思います。その結果がCDPスコアに反映されるものかと。

https://japan.cdp.net/scores

2,000社近くの日本企業が回答した2023年のCDPでも、最高ランクとなるAスコアを獲得したのは100社余り。
この上位5%のトップ企業は経営層のリーダーシップのもと、企業方針に基づき自社のみならず、サプライチェーンを巻き込んで環境問題に取り組んでいる企業ばかりです。良いスコアをとっただけでなく、事業運営の中で環境問題に取り組んでいる企業だと思います。
一朝一夕でどうにかなるものではなく、長期的に会社を変えていく(それを通じて社会もよいものに変えていく)というプロセスが必要になりそうです。


以上、今回は投資家からの評価をCDPを軸に触れてみました。
次回はSBTについてまとめてみようかなと思います。

では。

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