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猪木武徳さん『社会思想としてのクラシック音楽』発売!(No. 915)

考える人 メールマガジン
2021年5月27日号(No. 915)

猪木武徳さん『社会思想としてのクラシック音楽』発売!

 先日終了した経済学者・猪木武徳さんの連載「デモクラシーと芸術」が、『社会思想としてのクラシック音楽』と改題し、大幅な加筆修正のうえ、新潮選書から発売されました。

(本書概要)
 近代の歩みは音楽が雄弁に語っている。バッハは誰に向けて曲を書き、どうやって収入を得たのか。ハイドンの曲が徐々にオペラ化し、モーツァルトがパトロンを失ってから傑作を連発したのはなぜか。ショスタコーヴィチは独裁体制下でいかにして名曲を生み出したのか。音楽と政治経済の深い結びつきを、社会科学の視点で描く。

 猪木さんが新たに書き下ろした「まえがき」をこちらから試し読みできます。

新連載! 南直哉「お坊さんらしく、ない。」


「私はどこにいても、何をしてもズレているのだろう」――。出家から27年。日本有数の霊場の住職代理をつとめ、多くの著書で「仏教とはなにか」を問い続けてきた禅僧は、それでも自らを「お坊さんらしくない」と語る。
 20代でその身を投じた仏教のこと、「死者に出会う場所」恐山のこと、これまで公にしなかった自身の生活について。禅僧の眼に、この国や世界はどう映るのか――。ズレているからこそ刺激的な「恐山の禅僧」によるエッセイの連載が始まりました。

初回はお坊さんの呼び方について。「お坊さん」? 「和尚さん」? それとも「老師」? いざ呼びかけようとすると、なんと声をかけたらよいのか意外と戸惑ってしまいますよね。

一、「老師」はつらいよ


仏教を「信じる」のではなく、「考える」ために。
「考える仏教」特集オープン!

 南直哉さんの新連載と同時に、新コーナーを開設しました。
 その名も「考える仏教」。
 五木寛之氏と中島岳志氏の親鸞をめぐる対談、釈徹宗師の著書『天才 富永仲基』の試し読み、みうらじゅんさんのインタビューなど、約20本の仏教関連記事がまとめて読めるようにサイトをリデザインしました。
 仏教を「信じる」ではなく、「考える」。その智慧や思想のエッセンスがわかりやすく伝わるような記事を随時アップしていく予定です。

アクセスランキング

■第1位 村井理子「村井さんちの生活」
義父、ワクチンを接種する

タイムリーな話題もあいまって初登場1位! 予約を取るのも大変、付き添うのも一苦労……。

■第2位 南直哉「お坊さんらしく、ない。」
一.「老師」はつらいよ

新連載が2位にランクイン。親しみやすい文体で評判です。


■第3位 吉川トリコ「おんなのじかん」
15.流産あるあるすごく言いたい

連載終了後も根強い人気です。

最新記事一覧

■大高郁子「考える猫のその日暮らし」(5/24)
それが猫

今回で100回目! そして最終回です(涙)。人見知りで隅っこが好きな子猫だったスミチ、こんなに大きくなって……最終回でもやっぱりスミチはスミチでした。

「考える人」と私(15) 金寿煥

 2週にわたって考察してきたインタビューのスタイル、とりわけインタビューイ(語り手)の語りだけで進行する「問わず語り方式」。季刊誌時代の「考える人」のインタビューは、この方式を採用することが多く、今回は、その書き出しをいくつかご紹介したいと思います。
 まずは創刊号より。養老孟司さんのインタビューです。

〈私の記憶は四歳のとき、親父が死んだときから始まるんです。親父の記憶っていうのは二つしかない。(「考える人」2002年夏号「挨拶のできない子供」)〉

 次は何度も引用している創刊第2号の橋本治さんのインタビュー。

〈一頃は、女性誌に原稿を書くとか取材を受けるというのを、結構やってたとは思うんですね。でも、昭和が終わったらピタッとやめちゃった。(同2002年秋号「橋本治と考える『女って何だ?』」)〉

 実は、同じ号にもうひとつ橋本治さんのインタビューが掲載されています。「考える人」創刊と同時に小林秀雄賞という賞が創設され、「考える人」はその発表媒体でした。橋本さんは『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』でその第1回目を受賞し、記念インタビューが掲載されています。

〈思想する三島由紀夫には、ぜんぜん関心がなかった。(同上「『始まり』のための『鎮魂』」)〉

 著書『文章読本さん江』で第1回小林秀雄賞を同時受賞された、文芸評論家の斎藤美奈子さんのインタビューも掲載されています。

〈ちょ、ちょっとそれは、まずいんじゃないの?――受賞の連絡を受けたときの、それが率直な感想でした。(同上「夏休みの自由研究みたいなものですから」)〉

 続いて、創刊第3号。特集は「エッセイスト伊丹十三がのこしたもの」です。この号にも多くの「問わず語り方式」を採用したインタビューが掲載され、それぞれが伊丹十三さんの思い出を語っています。

〈中央公論社の編集者になって一年経ったかどうかという頃、伊丹一三の名前で書いていた『ヨーロッパ退屈日記』を読んで、面白いと思って電話をしたんです。(「考える人」2003年冬号、村松友視インタビュー「何かポッカリその部分に穴があいたっていう感じ」)〉

 同コーナーでは、テレビマンユニオン時代に伊丹さんと多くの番組を作った、プロデューサー・佐藤利明さんのインタビューも。

〈昔の旅番組っていうのは、旅の美しい風景が映って「何とか山の麓では、もみじがいま紅葉真っ盛り……」なんてナレーションがかぶるもんでした。(同上「やっぱり才人っていうしかないですよね。」)〉

 最後は、創刊第4号の特集「からだに訊く」より、「名助産婦」で知られた神谷整子さんのインタビュー。

〈釣り人が使う潮時表ってご存知ですか? 満潮、干潮、大潮、小潮が何時何分に来るか一覧できる小さな手帳があるんです。(「考える人」2003年春号「出産は『海と呼吸のリズム』で」)〉

 どうでしょうか。キリがないのでこの辺りでやめておきますが、その書き出しはどれも単刀直入で、かつ続きを読みたくなるようなものばかりです。もちろん、すべて読まれることを前提に記事はまとめられているので、書き出しだけでは要領がつかみにくい部分もあります。ではありますが、特に「問わず語り方式」の場合、書き出しで読者の首根っこを掴まえ、インタビューイの語りの世界へ誘わなければいけない。今振り返ってみても、そうした編集部側の意志が、「問わず語り方式」を採用したどのインタビュー記事にも込められているように思うのです。
 他の雑誌や媒体と定量的に比較したわけではありませんが、このインタビューにおける「問わず語り方式」の多用が、「考える人」という雑誌のひとつ特徴であったと言えるのではないでしょうか。

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