三浦佑之×安藤礼二が語る、『「海の民」の日本神話』刊行記念対談(No. 940)
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三浦佑之×安藤礼二が語る、『「海の民」の日本神話』刊行記念対談(No. 940)

考える人|新潮社

考える人 メールマガジン
2021年12月2日号(No. 940)

対談 三浦佑之×安藤礼二「海の民、まつろわぬ人々――。」

出雲と筑紫、そして若狭、能登、糸魚川から諏訪まで続く「海の道」――古代日本、「表通り」は日本海側だったことを、『古事記』等の文献はもちろん、考古学や人類学も含めた最新研究から丹念に追った『「海の民」の日本神話 古代ヤポネシア表通りをゆく』(新潮選書)。

著者の三浦佑之氏(千葉大学名誉教授)と安藤礼二氏(多摩美術大学教授)による、古今東西を自由に駆け巡る、刊行記念対談をお届けします。

「後篇 国家に対する違和感を持ち続けて」は明日12月3日(金)公開予定です。

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「考える人」と私(40) 金寿煥

 先週ご紹介した「考える人」2005年夏号の特集「『心と脳』をおさらいする」で見逃してはいけないのが、長崎訓子さんによるイラストレーションです。長崎さんは、脳研究者・池谷裕二さんのロングセラー『単純な脳、複雑な「私」』や、ベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』などの装画で知られ、2000年代以降の出版文化には欠かせない存在。画像検索をしていただき、その画をご覧になっていただければ、「ああ、あのテイストの画を描く人か」とみなさんすぐにおわかりになることかと思います。
「考える人」でも、創刊号から橋本治さんの連載「いま私たちが考えるべきこと」のイラストレーションを担当。スクリューコースターのように論理がぐるぐると巡る橋本さんの文章にどのようなイラストレーションを描くか――なかなかの難題ではありますが、長崎さんは毎回見事にそれに応えていらっしゃいました。うまく言葉で表現できませんが、橋本さんの文章に負けず劣らずの批評性がその画にはあった、とひとまず言うことができるでしょうか。
 その長崎さんによる新連載「イラスト・ルポ」が、同じ2005年夏号からスタートしています。ちょうど前年に、イラストレーターの小林泰彦さん(兄は小林信彦さん)が『イラスト・ルポの時代』(文藝春秋、現在はヤマケイ文庫)を刊行。同書は1967~1971年に「平凡パンチ」に連載していたイラスト・ルポをまとめたもので、それを読み感銘を受けた私は「『考える人』でもイラスト・ルポをやりたい!」と長崎さんに依頼。幸いご快諾をいただき、連載がスタートしました。
 第1回は、「北欧はさみしいところでした」。長崎さん本人によるリード文です。

 金髪の子どもとトンガリ屋根の家が見たい! そんなお気軽な理由で北欧に行ってきました。3月中旬、まだまだ寒いデンマークのコペンハーゲンに1週間。世の北欧ブームの印象とは少し違う地味なお国柄。人の表情は硬く、子どもは無駄に笑顔をみせない。テレビからは暗くマジメなオーラが……って、まるで楽しくなかったかのようですが、とんでもない。疲れきった「文系オトナ」にはどうやら大変に居心地のよい場所でありました。

 この文面からも「北欧ブームに便乗したミーハーな旅行」という感じが全くしないように、長崎さんが画にするのは、湖にいた水鳥、地元郵便局のエンブレム、ドーム型のチョコレート、風力発電所、日本上陸直前のIKEAなど、観光ガイドには決して載らないようなものばかり。しかし不思議なもので長崎さんの手にかかると、どれも魅力的に映るのです。中でも、色とりどりのスキーウェアを着て街を歩く幼稚園児たちの画は、モコモコしていて超かわいい。
 以降2010年冬号まで、約5年にわたって連載は続きました。どのような場所やシチュエーションを描いたのか、記録をきちんと残す意味でも、そのタイトルを列記したいと思います。

1.北欧はさみしいところでした。
2.人生初万博に愛はあるのか!?(2005年に愛知で開催された万博)
3.古本なんて大っ嫌い!!…?(京都の古本屋めぐり)
4.寒い奄美へようこそ。
5.幻想と斜陽のウィーン
6.誰も知らないベオグラード
7.東京の水族館
8.東京まんがロード
9.テーマパーク「おそれざん」に行きました。
10.猫をえがく
11.西へ。教会を巡る旅(長崎県の福江島の教会群)
12.サーカスは人生劇場
13.夏だ、家族だ、鉄道博物館。
14.ニーハオ!台湾(前編)
15.ニーハオ!台湾(後編)
16.馬をえがく
17. かもめ舞う、小さな港町(再びの北欧。フィンランド)
18. ストックホルムから、さようなら

 全18回。担当していて実に楽しい連載でした。時に取材にもご一緒し、その道中で長崎さんといろいろな話をしたのもいい思い出です。
 その時代の風景や風俗を、イラストレーションと手書き文字で描写する「イラスト・ルポ」という形式自体が、雑誌でしかできないことであり、雑誌文化の象徴でもあると思います。雑誌の力が弱まってきた昨今、再び同じようなことができるかというと、難しいなあというのが率直なところ。そう考えると、「考える人」でイラスト・ルポの連載ができたことは、「ギリギリ間に合った!」という感慨とともに寂しさを覚える次第です。

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