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トラウマ治療としてのヨガ

私はトラウマ治療を受けてるんだけど、それが「じっくり話を聞く」みたいな方法ではなくて、身体的アプローチだけなのね。

最初は「こんなことして意味あるのか?」と思ったけど、たしかに、段々フラッシュバックが起きにくくなった。

で、その原理が知りたくなって『身体はトラウマを記録する』っていう本を読んだ(トラウマ克服の一助になる名著)。

この本をものすご〜くざっくり要約すると、

心理的にトラウマを抱えているとき、体もそのトラウマを受けた時の状態を保持している。だから、体をトラウマ状態から解き放てば、心もトラウマから脱することができる。

みたいな感じで、エビデンスもちゃんとある(正確で詳細な情報が知りたい方は、原著にあたってください)。

その「体をトラウマから解き放つ方法」のひとつとして、ヨガが有効らしいんだよね。

なのでヨガをしに行ってきた。


初めてのヨガ体験

「岩盤ヨガ」という、岩盤浴場の中でヨガをするというやつをやってきた。

これが結構キツイ。
「ポーズとるだけでしょ?」と思って舐めていたが、運動不足の私は、関節がガチガチに固まっている。
なので、まず指定されたポーズができない。一瞬できたとしても、数秒間キープすることができない。

20代の私より、50代のおばさまたちの方が、はるかに綺麗にポーズをとっている。

普段いかに運動していないかが露呈する。トラウマとか以前に、そもそも身体がガタガタすぎる……。

やっている最中はキツイが、1時間経過後は疲れが残っているということもなく、体がほぐれて心地よかった。


ヨガの何がトラウマに効くのか

トラウマを受けると、身体の感覚が弱くなる。
トラウマ持ちは「今ここに自分の身体がある」という感覚が薄い。なので、しばしば自傷行為に走ったり、自分をわざと危険な目にあわせて身体感覚を確かめることをする。

ヨガは「今この瞬間の、身体の感覚」に集中する。
足が伸びている感覚。地に足がついている感覚。痛気持ちいい部分。

つまり、トラウマ持ちの身体感覚の薄さを改善する訓練となる。

やがて身体感覚が回復して、「身体がここにある」感覚を得られるようになると、自傷行為や危険な行為が減る、という理屈だ。

また、トラウマ持ちは過去に囚われ、未来を不安がる。現在のことを考えられないため、現在の楽しみや、今やるべきことなどがわからなくなる。

過去や未来ではなく、「今この瞬間」に集中するヨガは、現在のことを考える訓練にもなるだろう。

このように、ヨガの「今この瞬間」を意識すること、それに合わせて体を動かすことが、身体に刻まれたトラウマを解除する一助になる。

私の体験としては、ヨガをやる以前より身体感覚が少し戻り、自傷行為が減った。
継続的に続けていれば、身体感覚がますます回復していくのではないかと思っている。

「今この瞬間」を意識することはまだ難しくてできない。ヨガの最中も色々考えてしまう。それでも回数を重ねるにつれ、少しずつ集中できるようになってきた。


トラウマと特定のポーズの関係

また、ある種のトラウマと、ある特定のヨガのポーズの間には深い関連がある。

例えば、子供の頃暴力を受けていたというトラウマがあったとする。その人がいつもうずくまって暴力を耐えていた場合、同じようにうずくまるようなポーズをとることが、精神的に耐え難く辛い。
逆に言えば、そのポーズがとれるようになってくると、トラウマが寛解してきたといえる

あと、レイプされた経験がある女性は、股間を外に曝け出すようなポーズをとることに苦痛を感じる。

こういうのとか。これは「ハッピーベイビー」というらしい


これについて思ったことがある。

岩盤ヨガは男女混合で行われる。
とはいってもほとんどが女性で、男性は50〜60代ほどの、夫婦で来ているおじさんだけだった。

このおじさんが、なぜか私をずっとガン見してくる。

浴場に入った瞬間からずーーーーっと見てきて、気持ち悪くてたまらなかった。
目を合わせて、「気づいてるんですが?」という意思を込めて睨みつけても、そのまま延々と見つめてくる。

もしかして知り合いか?と思って記憶を探るも、少なくとも私の記憶にはいない。

しかも、ヨガをする際におじさんの隣の席になってしまった。

後ろから視線を感じながらするヨガは気持ち悪く、前述した「ハッピーベイビー」ができなかった。そのポーズをとるのが精神的にかなりの苦痛だった。

しかし、2回目の参加時に女性のみだったときは、何の抵抗もなくこのポーズをとることができた。

私は幸いにもレイプされた経験はないが、「あ、本に書いてあったのってこういうことか」と体感した経験だった。

このおじさんが何者だったのかはわからないが、用事があってヨガに参加できなかったとき、私の母に「あの女の人はなぜ今日いないのか」と聞きにきたらしく、気持ち悪くてヨガに行くのはやめた。


おわり

おじさん事件によりヨガに行くのはやめてしまったが、ヨガ自体はとてもよかった。

運動はトラウマ以外に鬱にもよく効くので、何らかの運動習慣をつけるのは良いと思う。

もちろん、自分の体調と相談しながらになりますが。

医療的な行為ではないが、トラウマに悩んでいる人に、ヨガという選択肢もあるのかもしれない、と伝われば嬉しい。

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