机上の九龍

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メソメソ感情の後処理

SNSの投稿に不躾なコメントがついた。 相手はきっと気軽に傷付けてやろうと無責任な憂さ晴らしのつもりで打ったであろう文章。 SNSとの付き合いは長いが、まったく顔も名前も知らない人物にそのようなことをされたのは初めてだった。 当たり屋のようなものだ、 そう自分に言い聞かせるが心臓が妙にドクドクと鳴って頭の一部が縛り付けられたようにひんやりとしてくる。 相手の思う壺だ、真面目に取り合うだけ無駄だ。 何度もそう思っても思考がそこから離れない。 何よりそのしょうもないハエのよ

    • ずっと終点まで行ってみたかった

      ベロアの靴で海に来てしまった。 会社員だった頃は某海水浴場が終点の電車で通勤していた。このまま電車を降りずに海まで行ってしまえたらどれほど良いかとよく想像していた。 休日の今日はこのまま街へ行き、買い物でもする予定だった。 某海水浴場行き。電車にはそう書いてあった。 いいなあ、このまま海へ行ってしまえたら。 いや行けるやん。 本来買い物をするはずだった駅を通り過ぎ、そのまま電車に揺られ続けた。 本当はうんざりしていた。 わざわざ欲しいモノを探しに街やネットショップに繰

      • 旗を立てれば見つけてもらえる

        同じようなチェーン店ばかりが並ぶ保守的な地方都市で、中学生の私は甲本ヒロトを愛するオタクだった。 保守的な地域だったので、当然周りの聴いている音楽はテレビの音楽チャートに入るものばかりで、ヒロトのカッコ良さを共有できる子など学校には皆無であった。 かっこいいとは甲本ヒロトのことだろ!!!(半ギレ)と常々思い、ブルーハーツを寝る間際に聞いて涙していた多感な当時の自分は、誰か一人でもこの気持ちを共有できる人はいないのか。。と悶々としていた。 そんなある時近所の本屋に行くと、

        • スピードとナイフ

          大きな流れによる避けられない別れって、いくら心で否定して繋ぎ止めようとしても関係は終息へと向かっていく他ない。 同じペースで同じような人生の課題を乗り越えてきた長い付き合いの親友と、ある時からペースが合わなくなってしまった。 色々揉めて、でもお互いに友達でいたいと思っていたから関係を立て直そうとしたけどやっぱり無理だった。 最後に会った時に、有線から流れてきた私の好きな曲を、彼女は全くそうとは知らず「私この曲嫌い」と言った。その出来事ほどこれから起きる避けられない別れを表

        メソメソ感情の後処理

          歳を取るのはいいもんだ

          日本では、歳をとることに割とネガティブなイメージが紐付いてるように思える。 しかし、自分は今のところ歳を取るほど生きやすくなっているなと思っている。 年齢を重ねることは自分の経験値も積まれていくことを示している。 それによって世界の解像度が上がっていき、色んなことが理解できるようになってきた。 例えば複雑な感情。 中1の時に、新劇場版エヴァ序がテレビで放映された。いざ観てみたけど、当時の理解力でははて?といった感じで終わってしまった。 ちょうど出先のレストランで隣に座

          歳を取るのはいいもんだ

          人がそこにいる意味

          いくらこれからAIやIT技術が発達したって、人がいる意味はとって代わることのできないものだと思う。 自分は決してレジの自動化はコミュニケーションが生まれないからけしからん!といった派閥ではないが、コンビニやドラストのレジの人の優しさに救われたことが何度もある。 妊娠で周りに頼れないどころか味方がいないように思えたナーバスな時期、いつも昼食を買うコンビニのレジの女性がおすすめの揚げ物を押し付ける訳ではなく、ただ美味しいからと勧めてくれたこと。 人となかなか会えないワンオペ育

          人がそこにいる意味

          父のアドバイス

          私の父に出会った人は、十割十分が彼のことを「あなたのパパって変わってるね!面白い人ね。」と言う。 娘である私はそれが父親として当たり前すぎて、未だにどこが変わってるのかイマイチ分からない。自分が父親似なのもあると思う。 外ではそんな面白人(おもしろんちゅ)である父だが、我が家では意外にも良いことを言ってくれることに定評がある。 そのエピソードの1つに、私が小学生の頃のものがある。 ある日、自分が住んでたマンションに同じ世代の女の子が引っ越してきた。しかし自分と彼女は気

          父のアドバイス