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#29...読書習慣 眠れなくなるほど面白い社会心理学①

組織を率いる、プロジェクトを動かす、そういったリーダーシップを発揮する時に、メンバーはどんな心理状態なのかを理解してみるために、この本を手に取ってみました。

また何回かに分けて、理解したこと、印象に残ったことをメモしていこうと思います。

本書の基本情報

著者 亀田達也さん
Wikipediaによれば、ご経歴は以下の通り。

日本の心理学者。東京大学大学院人文社会系研究科教授。実験社会科学、社会心理学、行動生態学を専門とする。

Wikipediaより


社会現象と心理学

見て見ぬふりが起きるのはなぜか?というテーマを取り扱っているセクションがありました。
仕事をする中でも、新しいことへのチャレンジが必要になる時があります。
そんな時に、「やってみたい人がいれば教えてほしい(挙手してほしい)」と聞いても、ほぼ100%の確率で誰も立候補はしないです。
自分の経験上ですが。

見て見ぬふりとは少し違うかもしれないですが、同じ心理の動きなのかも?と思ったので読み進めてみました。

この本では見て見ぬふりが発生する条件を明らかにするために、過去に行われた「傍観者実験」を取り上げています。
実験では緊急事態が発生した時に、そこに居合わせた人の人数と、対処への時間との関係性を調べたそうです。

実験のシチュエーションは、私が解決したいこととは合っていないものの、実験で導き出された理論は、何となく肌で感じることと同じでした。

自分以外に人が多ければ多いほど、人は傍観者になり意見や行動をしなくなる。

言い換えれば、何かしてほしいことがある場合には、少人数の時に依頼するのが良いということでしょう。
営業を生業としてる人は、商談をうまく進めるために、その辺を意識しながら行動しておられるのだろうな、と想像すると流石だな、と尊敬します。

組織・集団の心理学

このセクションは、企業に所属する方には非常に共感できる内容だと思います。

集団規範

これは、集団の中で共有されている価値判断や行動判断の基準のことだそうです。

この言葉だけで受け止めた場合、ポジティブな印象を受けましたが、この理論の実証のための実験内容を読むと、企業内で起きていることにつながる印象を持ちました。

全く動かない光の点を見て、どれだけの距離を動いたか答える実験。
サクラが、あたかも動いたとして数値を回答すると、本当は動いてないのに、他の人も動いたとして近しい距離を回答してしまう。
他の人の回答に引き寄せられる、というもの。
※個人的な解釈をしているので、本来の理論とは異なるかもしれません。

企業内の会議でも、そのイシューに対してこの施策が適切なのか?という疑問が浮かんでも、誰かが一歩踏み込んでしまうとそこから抜け出しにくくなるような状況に似ていると思います。

心理的拘泥現象

間違って出してしまった答えを、すぐに撤回できるか?という問いに対して、答えはNOとのことでした。
その理由が心理的拘泥現象が生じるから、ということ。

これは、決定までにかかった労力を無駄にしたくないという気持ちや、自分たちの判断が間違っていたと認めることへの抵抗からくる心理状態だそうです。

形骸化してるとしか思えないルーチン業務や、これって何の意味がある資料なの?というものなど、企業内にはこういう無駄があるとわかりながら、無くせないということと同じ心理状態だと思われます。

この本では、決まってしまったらやめられないから、決まる前によく考えることを提案しています。

その手法として、悪魔の擁護者(悪魔の代弁者というほうが個人的には耳にします)を会議の場に入れるというもの。
最低、一人のメンバーが常に反対の意見を表明し続けるというもの。
この反対意見を論破してこそ、アイデアは磨かれみんなに受け入れられるものになるという話。
これはとても共感します。ただ、企業内でこの役割をすることはかなり高度なことのように思います。
雇用契約という関係から、集団の意見に反対することが自分の処遇に影響しないか、といった懸念はあると思います。
だからこそ、自分の生活基盤になるものを、一つの企業に頼るのではなく、複業などで複数持つことが求められるのだと思います。
そうなると、メンバーの企業へのロイヤリティが自ずと下がるので、企業側はパーパスで魅力づけをして、より高い次元を目指すのだろうな、と思いました。


今日のまとめはここまでにします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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