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こどものSOSに『イマ』気付いて!


もう8年も前のこと。。。


私が保育士になって2年目のある日、

Yちゃんが指をお友だちに噛まれてしまった。

ちょうどYちゃんが1歳を過ぎたの夏の時期のこと。


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PM6:00  

Yちゃんのお迎えの時間


私たち保育士の仕事は、

子どもたちを朝来た時のままの姿で保護者に受け渡すこと。


私は、Yちゃんのママの顔色をうかがいながら

今日、Yちゃんの安全を守れなかったことを話さなくてはいけない。


「おかえりなさい。

 お母さん、すみません。

 今日Yちゃん噛まれちゃったんです。

 申し訳ありません。」

 のあとに状況説明をしっかり正確に。


Yちゃんの噛まれた傷は、皮がむけてしまうほどだった。。


お母さんはその傷をみてひと言。

「その噛んだ子がもし病気を持っていて

 傷口からうつったらどうするんですか?!」と。


もちもん私は「申し訳ありません」ともう一度誤った。

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でも、お母さんには言えない。


本当はYちゃんは頻繁にお友だちを噛んでしまうことを。

私たちはYちゃんを気にして見ていることを。

自分の髪の毛を泣きながらむしり取ってしまうことを。


お客サマのお母さんには言えないのだ。

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Yちゃんは、お母さんからとても愛情をもらって育っていることがわかる。

でも、どこか満たされないものがあるように感じていた。


Yちゃんのお母さんは、朝決まって私たちに言う。

「うちのYちゃんは人見知りだから。」

「遠慮しちゃうから」

「弱いから」と。


Yちゃんのお母さんが私に育児相談をしてきた時なんて、

「うちの子のことは、私が1番わかってますから。」と。


(だったらなんで相談してきたの?)

と心の中で言ってしまう。

だって、私も人間だから。


私は言いたかった。

「YちゃんSOS出してますよ」

「園ではものすご~くガンコで明るくて活発な子ですよ」

「お母さんが作った理想の枠にはめないで」

「まだこの世に生まれて1年なの。」


でもお母さんには言えない。

お客サマのお母さんには言えないのだ。


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ここで少し発達のお話をさせて頂きます。


ちょうど1歳児のお子さんは、

他児の存在を認識し、気になってきます。

と、同時に

すべての物を「自分の」とばかりに手に取ります。

お友だちのものを取ってしまうこともしばしば。


そんな姿の我が子を見て

「いじわるな子になるのでは」等の不安を抱き

相談してこられる方が多くいます。


ですが、

私は、発達する上でこの姿がとても大切だと思っています。


”自分のもの”の認識の後に

大好きな存在(お母さん)の物...と、少しずつ所有がわかってきます。

思う存分「自分の」を経験して欲しいのです。


だからと言って、

なんでもOKではありません。


その都度、「これはお友だちのだよ」と

根気よく伝えます。


とは言え、実際に我が子には難しいですよね。

(私は子どもがいないのですが、よく相談を受けるので。)


そういう時に私たち保育士の出番です。

初めて子どもが社会に出ていった時のサポートも

私たちの仕事です。

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Yちゃんの話に戻りますが、

私たちは、そりゃ親ではありません。

お母さんほどの愛は注げないかもしれません。


でも私たちは、

ひとりの人間として

『あなたのお子さんを愛しています』



子どものSOSには

大きいも小さいもないと思っています。


子どもは、友だちを噛んでしまったとしても

『イマ』自分にできる最善の方法で

自分を訴えているのだと思います。



ぜひ、保育士からお願いする

ご家庭での子どもとかかわり方のアドバイスに

耳を傾けてみてください。


あなたの子育てを否定したいのではないんです。


私たちは、

一緒にお子さんのSOSに一緒に気付いていきたいのです。


『イマ』という時間はかえってきません。

お子さんにも

あなたにも

わたしにも。


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私は、Yちゃんの成長を卒園までは見れませんでした。

でも誕生日も覚えています。

彼女はどんな10歳を迎えるのかな。

元気かな。



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