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断捨離して一つだけ後悔しているもの

 たまに朝(朝でもない時間帯のときもある…)起きたとき、「あの話が読みたい」と思うことがある。
 それはたいてい、私が持っている漫画や小説や同人誌であり、家の中に存在する。存在しないものは、ネットのブクマにあるため、ある意味存在している。
 そのため、読みたいというよりは、「読み返したい」と言ったほうが正しい。
 ところが、なかった。
 その日、目覚めた私が読み返したいと思ったのは大学生同士のBLで、色々あってロリコン攻が華奢な受をロリと思いながらそういう対象にする、という概念ロリの実念BLである。人によっては気持ち悪い話をしてすみません。だがこれは攻がロリに手を出さないための合法なのだ。何を言ってるんだと思うかもしれないけど本当に存在した同人誌の話です。
 とにかく、そのような同人誌を私は持っていて、どこで買ったかも記憶しているし表紙も覚えているのだから、持っているのは間違いない。はずだった。
 ところが、探しても出てこなかった。仕舞ってある場所は確実に自分が同人誌を仕舞う四カ所のどこかで、四カ所のどこかと言っても、三段組のメタルラックから探すだけである。そこ以外に同人誌を仕舞っている場所はない。
「まさか、断捨離した……?」
 そんなはずはない、と思っていた。だってあの書き手さんはもう話を書いてない、というか遠い遠い昔のサイト時代に買った同人誌であり、もはやサイトは閉鎖されており存在しない。ブクマも消したが、探したところで「404エラー」が出るに決まっているし、そもそもサイト名を忘れた。
 そしてイベントにも、もう出ていないはずの方で、つまり二度と手に入れることはできない。

 私はあの書き手さんの話が好きだった。
 それに、表紙と内容を完全に覚えている、愛着のある同人誌を捨てるか……???
 イカれているのか???????

 ところが探してもなかった。ということはつまり、断捨離中にあの同人誌ともさようならしてしまったということである。

 そして数日後にまた私は同じ気分で目が覚めた。
「あの同人誌が読みたい」
 けれど手元にない。

 そんなこんなで、断捨離して一冊だけ後悔している同人誌がある。逆に言えば何百冊とお別れしてきたなかで、たった一冊しか後悔していない。そのため、あの一冊を除けば自分の断捨離は失敗していないとも言える。
 今後も断捨離をしていくことは予想されるが、そのときには「読み返したくなる小説や漫画だけは絶対に捨てない。特に同人誌は」と決めた。

 みなさんもご注意ください。

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