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賭場で食える寿司グランプリ2022

さぁ今年もやって参りました、賭場で食える寿司グランプリ2022!!
吞む、食う、打つ クズ人間3冠の第二戦を決める重要な戦いです。

・・・と、まぁいい加減高級寿司を食うのも飽きた(というかコロナ前から倍近い値段になってきて、もはや趣味として皆様と嗜むレベルじゃない)ので今年は趣向を変えまして、公営競技場で食べられるお寿司を簡単なランク付きで紹介したいと思います。

選考条件として
・助六や出来合いのちらし寿司は除外(要はお弁当みたいに外注から完成品を仕入れられるものは×)
・品目は特に限定されなければお決まり(上にぎりみたいにセット)
・寿司単体だけでなく、店や雰囲気などの総合得点で決める
・本場に足を運んで実際に食べたものが採点対象

それでは、入ります。

1.川崎競輪場 三岩

西スタンドの3階に位置。今年の秋よりバンクを含めた大規模改修が入っている川崎競輪場だが、場外売りでも普通にやっている。ただ各店舗で営業日が異なる点に注意。

まず一発目は川崎競輪場のこのお店。素材の収集を始めたのが7月半ばなので、既に中央競馬はローカル開催に移っている。賭場で寿司食うのかよwwwと思う諸兄もいるかもしれないが、関東在住でそこそこのギャンブル中毒者ならば、後述する中山競馬場の和可奈か川崎競輪のここをまず思い起こす。いかんせん検証1店舗目なので、若干手厳しくなるが、そこはあくまでも公正を保持する側面があるので、お手柔らかに。

初夏の競輪場。暑い
マグロが多めなのが賭場寿司の特徴か

特上にぎり 1,500円を注文する。
ラインナップとしては手堅いネタが中心。一応酢飯を使用しているんだね。残念ながら醤油皿はなし。そのまま直に醤油を垂らす。
中〜大トロだが、海苔巻きや鉄火丼に使っていない余った部分をそのまま乗せている感が満載。おばちゃんがそのまま調理しているので、こればかりは仕方ないかな。わさび巻?はシャリぱさぱさ、結構時間経ってる気がするなぁ。手巻きのトロは出来合い品っぽい。鉄火細巻やマグロ丼とは別な個体な気がする。ヤッコが付くので定食みがある。
生酒は日本盛の生原酒缶。先にビール行ったとはいえ、握りにお茶が付かないのはマイナス。言えば出してくれるのかもしれないけど。
結局細巻きが一番美味いかな。これは鮮度の問題もあるかもしれない。常時お店で生産しているので。

明太子をはじめ、色んな細巻きが売られている
やっぱりこういうジャンクな揚げ物が良いよね

出だしからダメ出し満載ですが、まぁここのお店は公営競技によくある、いわゆる酒のつまみを出す系売店の延長みたいなもんですね。トロ握りもトロ自体はそこそこ美味しいですが、やはり揚げ物や多彩な細巻き(しかも安い)を片手にビールでよろしくやる的な店なので、単純に握り寿司を店舗内で頼む方が頭おかしいのかもしれませんね。(採点:B)

2.大井競馬場 築地食堂 源ちゃん

お次は大井競馬場。L-WINGの3階にある。指定席券が無くても利用できるので、気ままにエスカレーターを登る。中央と同じく、適当に買ってそのへんで食えがデフォの競馬場売店だが、L-WINGの食い物屋はちゃんと席が用意されている。
まぁ、あっしは指定席でコソコソと食べるんですが…。

ちょっと想像とは違うラインナップ。やはり海鮮丼向けか。

特選にぎり 1,780円
持ち帰りで注文し、指定席で食べる。調理時間があったので、その合間に酒を席に運んで出来上がりのベルを待つ。
プラではあるが醤油皿あり。えらいっ!
シャリは一応酢飯ではあるが、味わい的には握りというよりは海鮮丼ですね。恐らくマシーン形成のシャリに寿司種乗せただけのものなので、正直握りそのものはパック寿司に毛が生えたレベル。けれど、生エビと軍艦(しかもいくらと松前漬け)がしっかりあるのでそこは素直に評価したい。海鮮丼屋なので、品質はそれなりに良いものが出てきたなと。意外とコハダってこの手の寿司にはついてこないんですよね。握り寿司という観点であればひとまず及第点は出せるレベルかと思います。
ただ、的中したところでわざわざ食うレベルではないかな・・・という印象も受けました。だってこれなら普通に海鮮丼を食べれば良いじゃないか、同じ金額で1番上のランクの海鮮丼が出てきますから笑 (採点:B+)


上からパドック。馬鹿は高いことから見下す構図が好き。

3.浜松オートレース場グリーンスタンド2F食堂

グリーンスタンド2階の食堂にあるグランドメニュー、清水港特製鉄火丼を食べに浜松までやってくる。超絶久々にやってきたが、めちゃくちゃ綺麗で現代的なスタンドが完成していてビビる。公営競技も次世代に生き残りを賭けてみな必死だね。食堂の営業は11時から。

どこもかしこも建て替えブーム
清水港特製じゃない!!(血涙)

特盛鉄火丼 1,080円
いや~ビンチョウかよ〜、いくら原材料高騰が叫ばれてネタが入ってこないからといってこれは無い。写真だと普通に赤身の鮪だったやん涙。俺はこれを食いに浜松まで来たのか・・・笑。これも一応酢飯だけど、ちょっと砂糖効きすぎかなって印象でした。東海のこの辺りから、甘めの味付けが好まれるようになるんですかね?名古屋とか詳しく知らんけど。
ただ擁護するなれば、たくあん盛り放題という初めて見る形式のバイキングが存在していて新鮮でしたね。他の定食はどれも美味そうだったので、ここは寿司以外のもの食った方が幸せになれるかなと。揚げ物も当然ある。実際西スタンドのうどんはダシが美味かったし、パフォーマンスも高かった。来年はうどん選手権やるか・・・って完全に寿司から脱線してしまったね。(採点:C)

浜松オートのうどんは美味しい。ほっとする。

4.静岡競輪場 寿し政

静岡競輪場。通常入場口から離れた南側売店というエリアに位置している。競輪界における寿司屋の総大将?といえばこの店だ。漁港に近いのも去ることながら、ダンスや音楽、酒屋のイベントをやったりと異色な企画を数多く展開する当地なだけあって、食い物屋も個性派が揃っている。

開催は無いが競技会の真っ最中。場外の客もぼーっと見学している
ようやく寿司屋らしい佇まい。ラーメンまで売るとかくら寿司かよ
カウンターにネタケース、酒を頼んでもちゃんとお茶が出る。寿司屋はこうでなきゃ
見るからに今までの寿司とは異なる。握りは大きくいかにも江戸前な感じ

上寿司 1,500円
おっ、初めてまともな握りが出てきた(めちゃくちゃ失礼)。カウンターが味わいあって良いですね。やはり寿司はカウンターで食ってこそ。ゲタ盛りでネタもしっかり品質が担保されております。大将は常連と競輪談義を咲かせており、基本握らないようだ。若い男の人が握ってくれた。仕事もちゃんと出来そう。酒飲みに卵焼きは嬉しいが、残念ながらこれは冷凍もの。でもまぁ、それを差し引いても充分お寿司のライブ感を体験できます。味噌汁がアラ汁なので寿司屋に来たなって感じがする。
それにしても、ちゃんとしたマグロを出すってなかなか難しいんだね。当たり前かもしれないですが。
このレベルが出せないなら寿司を提供する意味がないってことで賭場の寿司も減っていったのかな。いつまでも続いてほしいですね。(採点:A)

5.閑話休題~かつて存在した寿司屋たち~

遙か昔に存在していたものから、最近惜しくも閉店してしまったもの。公営競技場には過去ひっそりと営業していた形跡が至る所に残されています。なにせ鉄火巻きの語源がそもそも博打由来ですから、昭和の人間ならそこそこ好き好んで寿司を食っていたはずなんですよね。勝って食いたいよね寿司。
ネットで事前リサーチし、そういえばあったあった阪神競馬場の回転寿司。コロナで撤退しちゃったっぽく、既に場内に存在していませんでした。残念。仁川行った時に入っておけば良かったなぁ…。
佐賀競馬場も食堂の一角で営業していた記憶があったのですが、こちらもやはり閉業?したようで。残念無念。なんかこの数年で色んなものが変わっちゃいましたね。
金沢競馬場といえば、おそらく世界で唯一、寿司屋が2店舗営業している競馬場なのですが、今回は運悪く金澤玉寿司を食べ比べすることは叶いませんでした。非常に悔しい。開催日だからといって確実に営業している保証がないのも賭場の寿司屋って感じ。職人、ネタ、客の3つが揃ってはじめてお寿司屋さんが成立するのです。

競馬開催日でも金澤玉寿司はやっていなかった、この辺は生ものを取り扱う難しさか

今年行ってみて初めて気づいた、小田原競輪場奥に現存する建物。果たしていつまで営業していたのか皆目つかないのだが、そこには確実にあったであろう看板「みどり寿し」の文字。平塚競輪場にも昔は寿司屋があった(ググると2ちゃんの投稿が引っかかる)らしく、案外南関東エリアは賭場寿司のメッカであった可能性もある。寿司を提供するところは、海が近く、また食文化として肉よりは魚が好まれる地域に存在する傾向にあるので、北陸や瀬戸内あたりの場で営業していたなんて話、あるかもしれませんね。
この辺の事情、詳しい方いたら今度教えてください。特に競艇は海苔巻きはともかく、握りは全くと言っていいほど話が出てこなくて。
もし営業しているのにスルーされているところがあったら、そちらも情報お待ちしています。必ず行きますから。

真夏の小田原けいりん。反対側にそれはある
記念のお祭り騒ぎの傍ら、ひっそりと佇む寿司屋?跡

6.取手競輪場 七富来や

元々は競馬場があった地で有名な取手けいりん。ミッ○ィーちゃんみたいなゆるキャラがマスコットをしているくせに、競輪グランプリで1億1000万円当てた穴場を売りにするなど、まさに砦の名に相応しいロックな競輪場だ。そんな競輪場にも寿司を出す店が営業している。

まぐろ握り、これ以外にも1本300円の手巻き鮪がある(撮り忘れた)

まぐろ握り 800円
ゲタに乗って参りましたまぐろ握り。鉄火丼みたいなものを提供する店は他所でもちょくちょくあるのですが、ここはしっかり握りも置いてあります。7カンあるので、汁を100円としても1カンあたり100円ですよ?めっちゃ安い。ちゃんとガリも付いているし。手巻き鮪は若干割高ですが、それでもこの価格帯は相当勉強しています。この時の取手はまだ酒提供なしでした。とても悔しい。味に関してはまぁこんなもんですが、それでも急に鉄分が不足した時、マグロ補給するにはちょうど良いかもしれないね。味噌汁が美味しいなぁ。すごい元気なおばちゃんがいるので、仮に車券負けが込んでいてもパワー貰える感じですね。(採点:B+)

まったく、どういう買い方したらそんな当て方できるねん

7.中山競馬場 和可奈

大昔は知らないが、やはり中央競馬で寿司を食うと言ったら真っ先に思い浮かばれるであろう店。ここの出自は分からないですが、この和可奈とか奈可田とか金太楼だとか、漢字に当てを使う系は元をたどると戦前から名前が継承されているパターン多いです。寿司食いならばそこそこの歴史を感じさせる名前ですな。

やはり天気の良い土曜日がいいね
コロナを経て随分と綺麗になっていた。食券売り場が恋しい
酒を呑み完成を待つ朝の10時
う、美しい…
絵になりますなぁ、食べるの勿体ない

上寿司 1,200円
物価高騰の波には抗えず、こちらのお店も若干ですが値上げしておりました。ただ、このラインナップで1200円は相当努力されている印象です。それにしても大変綺麗に盛り付けが為されており、渡された瞬間思わず背筋が伸びましたね。さすが中央競馬。ネタの中身はオーソドックスですが、江戸前寿司に備わるべき美しさを兼ね備えています。他にも鮪握りや鉄火の細巻きが提供されているので、賭場で食う寿司としては全てを満たしていると言えます。まさにお手本のようなお店。この食堂街、前は食いもしないでテーブルに酒と新聞を広げているどっちがゴミだか分からないジジイ軍団が大量にいたのですが、コロナを機に一斉清掃されたらしく非常に快適でしたね。いやー美味しかった。(採点:A+)

知らぬ間に中山競馬場の食堂街もめっちゃ綺麗になっていた

8.東京競馬場 京樽

秋も真っ盛りの東京競馬場。ついに天皇賞(にちじょう)が帰ってきた。先輩に先行発売で取って頂いたスマシのチケット片手に、俺はひたすら飲み食いにふける。競馬なんてお金賭けなくても楽しめるんよ。
今を思えば、初めて東京競馬場訪れてから四半世紀近く経過しているくせに、ここで昼飯を買ったことは一度もなかったな。歳を重ねるとどんどん視野が狭くなり偏食にもなるので、この機会にチャレンジしてみる。

カップ酒のつまみには玉子焼きが良いね

江戸前にぎり 700円 +玉子焼き200円
俺の知るかぎり2度ほど経営危機が起きていた気がする京樽。飲食、特に寿司を提供するチェーン店はいかに長期で経営するのが難しいのかを教えてくれる生の素材。この寿司も恐らくセントラルキッチンから送られてきたものだろうけど、自社工場生産の握り寿司をいちいち賭場に運んでこれるだけの資本力はここしか存在しないので、一応選考の対象とした。うんうん、普通に美味い。まぁパック寿司とほぼ変わらんのですが、当のパック寿司自体、ここ20年で飛躍的に品質が向上した分野なので安心して食べられるよね。スタンディングのイートインがとにかく人が多すぎなので、サクっと呑んで食って退散する。このしぐさこそザ・寿司。(採点:B)

あの頃の競馬に戻ってきた。人がゴミのようだ
鳥千も良いが、東京競馬場といえばこっち。特製は速攻で売切れ

9.金沢競馬場 宇ノ気玉寿司

冬期休業がある地域の競馬場に年の瀬で訪れるのは気が引ける(昨年はおもいっきり水沢で雪害を食らった笑)のだが、今年は運よく天気の合間を縫って開催を見物することができた。前日まで雪が降り、金沢の街も雪景色が為されていた。関東の人間からしてみれば、雪のある日常なんて想像も付かないが、寿司を食いたい気持ちは皆一緒だ。いよいよ賭博寿司のメッカとも言うべき金沢競馬場へ吶喊(とっかん)する。

既に王者の風格
湯呑も醤油皿も陶器。普通につよい
アナゴはちゃんと炙ってあるんですよ

にぎり 1,200円 +松前 600円
もう出てきた時から色々と強い。とにかく鮮度が良く、仕事もしっかり為されているのが口に入ればすぐに脳が理解する。北陸や九州あたりのお寿司の特徴として、鮪みたいな分かりやすい魚よりも、地で獲れたネタで勝負する傾向にあって、その文化に準じている雰囲気がありますね。他場と同様、江戸前寿司ではあるんですが。この厚切りの鯛はマジで美味い。季節によって若干ネタのラインナップが異なるようで、この辺は鮪一辺倒とは違う、ちゃんと考えられた8貫だなと思います。松前ってなんのこっちゃ、と思い注文しましたが、関西風の鯖の押し寿司を地元でそう呼んでいるだけみたいですね。歴史的には鯖を昆布に巻いたものらしく、廻船ルートの金沢らしい名称ですが。
それにしても、ここの大将もワンオペの合間に常連さんに馬券買わせたりと、基本賭場のお寿司屋さんって本人が博打好きじゃないと絶対に続かない職業だよなと感じますね。俺も失業したら賭場寿司の大将を目指すか・・・笑。(採点:S)

噂の松前。ここのは鯖の押し寿司なのだが、厳密にいえば棒寿司を昆布で巻いたものらしい
前日は雪が降り開催延期、運良く天気の合間を縫って観戦が叶う。雪かきご苦労様です。

10.最後にランキングと感想を発表

既に結果が見えてしまっていますが、まとめておかないと締まりがないので、とりあえずトップ3を発表したいと思います。

第一位 金沢競馬場 宇ノ気玉寿司
第二位 中山競馬場 和可奈
第三位 静岡競輪場 寿し政

以上のように確定しました。

どのお店も令和まで生き残っているだけあって、それなりに特色と工夫はありますが、特にこの上位3傑は寿司を食わせるという気概を持って営業されている感じがしましたね。中山の和可奈は、寿司桶に盛られた、いわゆる王道なお寿司を極限まで安く出しているので、単純なコスパで目算するならばここが一番手軽に良いものが食えます。手間と技術が要求され、最近では手巻きに逃げがちな風潮がありますが、ここはしっかり細巻の鉄火をつまみに日本酒が呑めるのが良いね。静岡の寿し政は、握り寿司はもちろんですが、結構いろんなサイドメニューが用意されていて、どちらかといえば寿司居酒屋みたいな系統ですね。静岡らしく鰻丼をはじめ、カツ丼やらカレーライスやら一通り何でも作ってくれます。酒の種類も豊富なので、訪問するたびに色んなものを食べられる楽しさがあります。そしてやはり王者・金沢の宇ノ気玉寿司。中央はともかく、公営場で明確に寿司一本でやっているところは、ここ金沢の2店舗だけなので、いかに他所と比較したら仕入れやお客さんのアドバンテージがあるのか実感していただけるかと思います。前にも書いたかもしれないが、寿司はお客さん、寿司ネタ、そして職人さんの3つが揃ってようやく成立する食べ物なので、どれか1つでも欠いてしまうとたちまち運営できなくなってしまう。競馬開催そのものは、どちらかと言えばあまり良いイメージを持たない金沢ではあるが、食べ物類に関しては全国でもトップクラスのクオリティなので、まだ訪問したことのない諸兄は、是非とも本場に訪れて食い倒れを体感して頂きたいですね。
最後になりますが、飲酒運転だけは絶対ダメですので、公共交通機関+無料バスもしくはお友達の車に同乗のうえ、ご来場ください。たとえ私有地でもお酒を呑んでいたらアウトですよ!! それではエンジョイ!!

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