マガジンのカバー画像

短歌

69
運営しているクリエイター

#記憶

Kくんのこと

Kくんのこと

白き顔埋める花は降り積もる雪になりけり君の記憶も

大学1年の5月。初めてのクラスコンパで仲良くなったKくん。眼鏡男子で色白で細くて吹奏楽部でドラムを叩いていた。私と誕生日が近かった。私がフュージョンを聴くよって言ったら、その日コンパの帰りすぐにCDを自宅アパートに取りに行ってくれて、即座に貸してくれた。T-SQUAREだった……と思う。

素朴な話ぶりの彼は山形出身だった。
誕生日が近い人達で合

もっとみる
短歌 #23 記憶

短歌 #23 記憶

あたし達こぼれたミルクみたいだねなかったことになんてならない

コーヒーが彫像のように冷めきった明日あたりには絵画になってる

今きみのペトリコールを感じつつハグする僕はゲオスミンなり

まさかねとよもや言うまいあわよくばあわや大惨事ほどで済みたい

私とていつかは誰かの過去になるそして誰かもいつかは消える
#短歌 #記憶