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【freeeの罠】"誰でも簡単に確定申告"は無理〜正しい使い方を理解しよう〜

こんにちは、税理士の金子尚弘(@innovator_nao)です。

私は2019年から「税理士に頼むほどの規模じゃない」というフリーランス向けに経理や確定申告の相談会をしています。

色々なフリーランスの方と話す中で感じるのは

会計ソフトを正しく使えているフリーランスが少ない

ということ。

freeeなどのクラウドソフトは「導入すれば楽々で確定申告」とアピールしていますが、全然そんなことはないんですよね。

「freeeを使えば誰でも簡単に確定申告できるんだよね?」

と思って、正しい使い方を知らないまま使ってしまうのは「freeeの罠」と言っても良いのかな、と思っています。

私も導入したばかりの頃はうまく使いこなせずに「逆に不便なんじゃない?」ぐらい思っていたぐらいです。当たり前ですが、間違った使い方をしていると、出来上がる確定申告の数字も間違ったものになってしまいます。

「自分でfreeeを使って確定申告をして来た」という方・・・

正しく確定申告ができていた自信はありますか?

明らかに間違っている確定申告をしたために青色申告を取り消されたという事例も聞いたことがあります。そうなると支払う税金も増えてしまいますし、目も当てられないです。

このnoteでは「freeeを使うなら最低限ここは覚えて欲しい」という内容に絞って解説をしています。ほとんどのフリーランスの方はこの内容さえ理解すれば十分経理は楽になるはずです。

こんな方はぜひ読んで下さい。

・自分で確定申告をしているフリーランスの方
・freeeを使い始めたけど、使い方がよく分からないという方

経理で無駄な時間を使わない、確定申告で損しないためにもしっかり内容を理解していきましょう!

■freeeを使う前の準備編

freeeの特徴は

・口座情報を同期することが出来る
・キーワードを設定して処理する科目を指定することが出来る

といったところです。

この2つの特徴を生かすためには

・ネットバンク、クレジットカードを活用する
・事業とプライベートのお金を切り分ける

ことが必要になります。

ここが出来ていないとfreeeのメリットを生かしきれず、もったいない使い方になってしまうんですよね。

freeeを使う目的は経理の効率化です。freeeを正しく使って、確定申告前に焦らないようにしましょう!

・コツ①仕事のお金はしっかり分ける

まず、大前提として仕事とプライべートのお金を分ける必要があります。

これは基本中の基本です。

具体的には

・事業専用の銀行口座を作る(屋号無しでもOK)
・事業専用のクレジットカードを作る

という2点は実行すべきです。

「freeeがグチャグチャになるんです」という方のほとんどは、事業とプライベートのお金の区別が曖昧です。

できれば、ETCカードも2枚持っておくのが良いと思います。(私はETCも事業用とプライベートの2枚持ちです)

当然ながら、プライベートの口座やカードも必要なので、銀行口座やクレジットカードは最低2つずつは作ることが必要になります。

・コツ②ネットバンク、クレジットカードを活用する

freeeの特徴である「口座情報を同期することが出来る」というメリットを生かすためにはネットバンクやクレジットカードを使うことが欠かせません。

理由は単純で、現金はデータとして残らないので同期することができないからです。

ネットバンクやクレジットカードをfreeeと連携すれば、明細のデータを自動で取得して登録をしてくれます。日付や金額をいちいち入力しなくて良いってことですね。

しかし、「銀行口座を開いたのにネットバンクの手続きをせずにfreeeに手入力していた」という人もけっこういます。

これはfreeeを使っている意味がないと言っていいレベルです。

これだけでかなりの効率化になるので、なるべくキャッシュレスで決済をして経理をスムーズにして行きましょう。

【おススメの組み合わせ】
①入金用の口座(メガバンク)

メガバンクなど取引先も口座を持っている可能性が高い銀行にするのが良いと思います。
ネットバンクに振り込むのに抵抗があるお客様もいると思うので、個人的にはメガバンク(地域密着の仕事なら地元の地銀もOK)がおススメです。
メガバンク、地銀でも個人口座であればネットバンキングを無料で開くことが出来る場合がほとんどなので、店舗がある銀行でもネットバンキングの申し込みも必ずしておきましょう。

②支払用の口座(ネットバンク)
ネットバンクは振込手数料が安いので、自分が支払う時には重宝します。売上金を月に1度ネットバンクに移して、そこから振り込めば手数料を節約することができます。

③クレジットカード(visaかmaster)
JCBやアメリカンエキスプレスだと利用できないお店がたまにあるので、visaかmasterで作るのがおススメです。

・コツ③交通系ICカードを利用する

都市部の方は移動に公共交通機関を使うことも多いと思います。その場合はfreeeに連携できる交通系ICカードを利用しましょう。

現在のところ、freeeに同期できるものは

・モバイルSuica
・PiTaPa
・スマートICOCA

です。

首都圏と関西圏が地盤のサービスになりますが、それ以外の地域の方でも公共交通機関を利用するならカードを作っておくべきです。

交通系ICカードは全国で相互利用が可能になっていますので、首都圏や関西圏以外でも利用できます。

私も名古屋在住ですが、仕事での移動の時はPiTaPaを使っています。

・コツ④POSレジを導入する

店舗で飲食や小売をされている方の場合、POSレジを導入することも必要です。

POSレジの場合、売上データがfreeeに連動するため、経理がとても楽になります。

昔ながらのこんなレジだと、Excelや手書きで集計をしてfreeeに入れ直す必要があるので、とても時間が掛かりますし、ミスも発生しやすくなります。

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POSレジでよく使われているのはAirレジですが、ユビレジsquareレジなどもfreeeと連携していますので、業種にマッチするものやサポート体制、費用などを考慮して決めて頂ければ良いと思います。

■freee活用ノウハウ編

続いては、freeeを実際に使う際のノウハウをお伝えします。銀行口座の整理など準備編の内容が整えば、freeeを使ってスムーズに経理を進めることができます。

ここからは、freeeを活用するノウハウを理解していきましょう。

・コツ⑤自動登録ルールを使いこなす

最初に言いますが、これをマスターすればfreeeをかなり効率的に使いこなすことが出来るようになります!

freeeの最大のメリットは通帳やクレジットカードのデータとfreeeが連携することですが、freeeも最初は「どの振り込みをどの経費にすれば良いか」は分かりません。

そのため、まずはfreeeに「この場合はこういう処理をする」ということを教えなければいけません。

自動登録ルールには「完全一致」と「部分一致」が存在します。

細かなルール設定をする場合にはそれぞれを使い分けることがありますが、基本は「部分一致」を活用する方が良いと思います。

例えば、ソフトバンクをクレジットカードで支払っている場合、次のような明細がfreeeに取り込まれます。

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完全一致の場合は、「ソフトバンクM(07ガツ)」と「ソフトバンクM(08ガツ)」は別物と認識されるので、7月分のルールには8月分は反応しないということが起きてしまいます。

そのため「ソフトバンクM」を条件にして部分一致でルール設定することで1月から12月まで全ての支払いを1つのルールで対応することができます。

部分一致で自動登録ルールを設定する方法は次の通りです。

携帯代や光熱費など毎月支払うものは「*月分」という情報も取り込まれる場合があるので、部分一致を活用した方がスムーズです。

また、チェーン店などでも「**店」という情報も取り込まれるお店もあるので、こちらもチェーン店の名前だけで部分一致のルールを作っておくべきでしょう。

「自動で経理」の明細の一覧で「自動登録ルールに合致」というメッセージが出ていれば、条件に合うルールが作られていることになります。

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定期的に発生する明細については、必ず自動登録ルールを設定するようにしてください。

・コツ⑥取引先と品目を使いこなす

freeeの特徴的な機能の一つに「取引先」と「品目」があります。(メモタグという機能もありますが、プロジェクトごとの採算を管理するなどという方以外は使わなくても大丈夫です)

①取引先の使い方

取引先の機能は主要な取引先のみ活用すればOKです。

几帳面な方だと全てのレシートに取引先を登録している方もいらっしゃいますが、そこまでは不要です。というか、逆に分かりにくくなるので止めた方が良いです。

主な取引先を活用する場面

・請求書発行(売上先や売掛金の管理)
・月に一度まとめて支払う仕入先(買掛金や未払金の管理)

これ以外の場合で取引先を使う必要はないかな、と思っています。

「取引先」を使う目的は
・取引先ごとの売上を管理する
・未入金、未払いの金額を取引先ごとに管理する

の2つです。

無暗に取引先を増やし続けると管理が大変になるし、見にくくなるだけです。必要なものにだけ取引先をつけるようにしましょう。

②品目の使い方

品目は取引先ではなく、定期的に支払うものの管理や、同じ科目の中で性質が違うものを区分する際に活用します。
例えば、

・定期的に発生する金額の管理
通信費に「携帯代」という品目を作る
事業主貸に「源泉所得税」という品目を作る
  
・同じ科目の中で性質が違うものを区分する
水道光熱費に「電気代」と「ガス代」の品目を作る

といった使い方があります。

品目を使う目的は「見返した時に分かりやすくするため」です。

例えば、毎月発生するはずの支払いがある月だけ登録がなければ、それは間違えて処理している可能性が高いことになります。

このように、ミスを発見するためにも活用できるので、品目は積極的に活用して行きましょう。

新しい品目の作り方はこちらをご覧ください。

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