「旧車に乗っている障害者なんていませんから」 10年10万kmストーリー 第85回 フォルクスワーゲン・ビートル(1968年) 10年4万1000km
自分がクルマ椅子に乗る生活を送るようになった時に、クルマを運転する姿を想像することができるだろうか?
僕は入院中に2週間クルマ椅子に乗っていたことがあるけれども、退院後にはクルマ椅子は使わなかった。
ずいぶん以前に、この「10年10万kmストーリー」に登場いただいた、ホンダ・アコードエアロデッキのオーナー男性は、日常ではクルマ椅子を使っていた。
クルマ椅子からエアロデッキに乗り移るところを見せてもらったことがある。まず、運転席に移り座った後、クルマ椅子を畳んで自分の上半身とハンドルの間に引き上げた。次に運転席のシートの背もたれを倒し、同時に畳んだクルマ椅子を自分の身体の上を滑らせながら後席スペースに移し置き、背もたれを起こしてドアを閉め、シートベルトを閉めると運転準備が完了していた。
自分の身体の上を滑らせながらという方法の意外さと動作の淀みなさに驚かされたが、体幹と上腕がしっかりしていないと難しいだろう。男性はバイク事故から下肢が不自由になり、クルマ椅子に乗るようになったのだった。
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