マラリア培養
経緯
マラリアの培養は修士に入った段階ですぐにやる予定だったのだが、色々あって(出張とか出張とか)できなかったので、今日、先輩に習いながら培養を開始した。
圧倒的な勉強不足で何をやってるのかわからなかったので、勉強メモとしてここにまとめてみる。多分、読んでくれてる人の大半はマラリアの培養をやったことがないだろうから、こんな風に育てるんだなーと楽しんでくれると嬉しい。
ちなみに写真はWikipediaから取ってきたマラリア感染している赤血球の顕微鏡写真(真ん中のザラザラした表面をしているのがP.f. 熱帯熱マラリアに感染している赤血球)
マラリアの生活環
<a href="https://www.cdc.gov/malaria/about/biology/index.html"><img src="https://www.cdc.gov/malaria/images/graphs/life_cycle/Malaria_LifeCycle_1.gif" alt="malaria biology CDC"></a>
(noteでリンクを貼る方法がわからないので(リンク機能してる?)画像もアップロードしました)
マラリアの生活環の説明はCDCの画像に任せるが、簡単に言うと、マラリアは媒介昆虫の蚊と感染するhost(人など)の2つの宿主をもつ真核生物で、そのため、複雑な生活環をしています。
培養に関わるところだと、人に感染した後、まず、マラリアは肝臓の細胞に感染し、その後、赤血球に感染します。赤血球でのサイクルでは(図のB erythrocytic cycleですね。因みに赤血球のことをerythrocyteと言ったりします)種によって異なるものの、24h*1~3(今回僕が育てる熱帯熱マラリアでは48Hです)で merozoites,ring,trophozoite,schizont と言う各ステージを辿ります。(適当に例えると精子、胎児、子供、大人みたいな感じでしょうか)
RBCsの用意
培養で赤血球のサイクル(erythrocytic cycle)が関係ありますよ、って書いた通り、マラリアの培養では他の細胞は使いません。(肝細胞とかとるの大変ですし、基本増えるのは赤血球なので研究的なメリットがないからだと思います)(種によっては赤血球だけだと培養できないものもあった気がする。気のせい?)
と言う訳で赤血球を用意する必要があります。今回は全血(取ったままの血)を遠心して、下の図の(これもwikipediaからです。ありがとう)一番下の赤いところが赤血球なのでそこを取ってきて、余分なもの(混じってしまった白血球とか)を除くためにWashをします。
https://www.egl-eurofins.com/support//Washed%20RBC%20Preparation.pdf をみると、NaClの入ったsalineでWashしているのですが、今回は余分なものを混ぜたくないと言うことで後に使う培地を使って2回Washしました。(遠心して上清を除く〜って言うよくやるやつ)
培地
PRMI(哺乳類の細胞培養で standrdに使う培地らしいです)にHEPESというPh緩衝剤やGentamicinって言う抗菌薬(コンタミ予防のため)を入れたものに、Daigo’s GF21(牛の血清から分離された細胞増殖因子の入った薬剤)(どれぐらい赤血球が増えるんだろう?)とHypoxanthine(核酸の原料みたいな物質でP.fを育てる時は核酸合成や代謝のための窒素源として必須らしいです)をくわえた完全培地で育てました。
マラリアの保存
Cryopreservationって言うグリセロールとかを細胞内に染み込ませて冷凍保存できるようにする方法があるのですが、それで保存してあったマラリア(と赤血球)を使いました。
培養条件
培養条件をしっかり模倣したい時は5% CO2,5%O2とかにするらしいんですが、そんな機械がないので、CO2濃度だけ5%に合わせて培養しました。(酸素濃度の高い状態=Hyperoxia での培養になっていますが、今回の目的ではOKと言うことでやっています)それでも増えるみたいです。
参考文献
全部きっちり読んだ訳ではないですが。。興味を持ったところを参考にしてもらえれば。
CDCのマラリアのページhttps://www.cdc.gov/malaria/about/biology/index.html
Malaria Siteからringとtrophozoiteの違いを知るため(結局ringはtrophozoiteの一部。若い状態。場合によっては別の状態みたいに書くからややこしいね。)https://www.malariasite.com/life-cycle/
マラリアのwiki https://en.wikipedia.org/wiki/Malaria
RBC(赤血球の分離法)Emory genetics Laboratoryから https://www.egl-eurofins.com/support//Washed%20RBC%20Preparation.pdf
buffy coat のwiki。全血の分離の画像のために https://en.wikipedia.org/wiki/Buffy_coat
初めてマラリアの培養系を確立したとされるTrager & Jensenの論文(のまとめ?)がWHOのサイトに乗ってました。https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/261146/PMC2366733.pdf?sequence=1&isAllowed=y
後書き
こんなのを書くのに2時間以上時間をかけてしまったので、次はもう少しライトに更新できるようにしたい。(勝手に研究室のプロトコルを公開するとまずそうなので適度に書く加減がわからなかったのもある)
多分、マラリア培養したことのある人はあまりいないでしょうし、実験ってこんな感じでやるんだなー、と感じてもらえると嬉しい。後々実験する人のやくに立てるともっと嬉しい。(ここは違うよ、と指摘してもらって自分の役にたっても嬉しい)
どんな風に書いたらいいかとかコメントもいただけると嬉しい。
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