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日本の株価が上がっているのはなぜ? ~PBRとの関係とは?~

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

1月11日の日経新聞に「日経平均3万4000円突破 バブル後高値、連日更新」という記事があり、「日経平均株価は3日続伸し、前日比678円高の3万4441円と終値として1990年2月28日(3万4591円)以来、33年11カ月ぶりの高値水準となった」とありました。

ここにきて日本の株価が上がっています。なぜ株価が上がっているのでしょうか?

そこにはいくつかの理由がありますが、その中のひとつに「上場企業のPBRが改善されたから」というものがあります。そしてそこには「PBR1倍割れ」という言葉が取り上げられています。

では、このPBRって何なんでしょうか?
PBRが1倍割れというのはどういった状態なんでしょうか?

今回は「PBRとは何か?」ということから「PBRと日本の株価との関係」について整理をしてみたことをお伝えできればと思います。

■日本の株価が上がっている背景

2024年1月17日現在の株価は35477円。2019年ごろからの株価の推移をみると、2023年から上昇傾向にあります。

日経平均株価の推移

日本の株価が上がっている背景として、「中国景気の低迷」と「アメリカFRBの利下げ観測」があります。両国には投資のメリットが少ないと投資家は判断していて、そこで投資の矛先が日本に向けられているというわけです。

では、なぜ日本なのか?

海外向け(外需型)企業は好調。国内向け(内需型)企業もコロナ禍が終わり、訪日外国人客の増加もあり、業績が回復傾向。また、企業は賃上げ(ベースアップ)を続けており、先々に対して明るい兆しが見えています。

そして、もうひとつ理由があります。それが「上場企業のPBRの改善」です。

■PBRってなんだ?

PBRとは「Price Book-value Ratio」の略で、現在の株価が企業の資産価値に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。

割高であれば、企業の資産が付加価値を生んでいる状態と言え、割安であれば、企業の資産が付加価値を生んでいない状態と言えます。

後者を別の言い方で言うと、今後、事業を継続して得られる価値よりも、会社が解散した場合に株主に分配される金額のほうが高いということ。

つまり、株主から預かった資本の価値を損なっている、そんな会社は潰れてしまったほうがいいとなり、会社の評価が下がることにつながります。

ちなみにどうやって計算するかというと、

純資産は、会社の資産のうち株主全体で保有している資産。仮に会社が活動をやめて(解散して)、資産を分けた場合に株主に分配される資産(金額)でもあり、「解散価値」とも呼ばれています。それを1株当たりで表したのが「1株当たりの純資産(BPS)」です。

その金額と現在の株価を比べた時に、1倍を超えるかどうか。
超えれば割高、越えなければ割安と判断されます。

例えば、A社の1株当たり純資産が2000円の場合、この時点で会社を解散すると株主は1株当たり2000円を手にすることができます。A社の株価も2000円であれば株式市場で売却しても株主が手にするお金は2000円です。この場合PBRは1倍です。

その後、A社の株価が1600円になった場合、PBRは0.8倍になります。この状況では、会社を解散して手にする金額が2000円で、市場で売却して手にする金額の1600円のほうが低くなるので、今後の成長性が低いと見なされます。

■日本の企業のPBRは?

実際、日本の企業のPBRはどうなっているのでしょうか?

2023年3月時点で、東証プライム市場とスタンダード市場に上場する約3300社のうち、PBRが1倍を割っていた企業は約1800社と約5割ありました。そこには、日本を代表する企業であるトヨタ自動車やソフトバンクも含まれていました。

他の国と比べてみると1倍割れの企業の割合は、欧州では約20%アメリカは約5%で、日本は異常な数値とも言えます。

日本経済新聞より

そうした状況を受け、海外から投資マネーを呼び込むために、東京証券取引所は2023年3月末に、PBRが1倍を下回る上場企業に、株価水準を引き上げるための具体策を開示し、実行するよう要請したのです。

■どうすればPBRは高まるのか?

PBRが上がるポイントは次の3つ
①株数が減る⇒【改善策】自社株買い
②純資産が減る(純資産の活用)⇒【改善策】株主配当増額
③株価が上がる

そのひとつの「自社株買い」を例に見てみましょう。
「自社株買い」とは、市場に出ている自社の株を買い戻すという施策です。

では、どういったからくりでPBRが高まるのでしょうか?

自社株買いをすると、市場に出回る株数が減る。
株数が減ると、BPS(1株当たり純資産)が上がる。
BPSが上がると、株主収益が上がり、株価が上がる可能性が高まる。
株価が上がると、PBRが高まる。
という理由です。

しかし東証は、自社株買いによるPBRの改善策は一過性によるものとして奨励をしていません(株主配当増額も同様)

では、東証はどのようにBPRを改善してほしいと考えているのでしょうか?

それは「成長に向けての投資を行い、その結果として株価が上がる」というものです。具体的には、事業で稼いだ資金を原資に、人材投資や研究開発、設備投資などに振り向け、持続的な企業価値の向上を目指すことを東証は期待しています。

■日本の上場企業のPBRが低かった要因

現状は、上記のような背景があり、日本の株価は上がり始めましたが、もともと日本の株価が上がりづらかった大きな要因のひとつに「投資不足」があります。

上場企業の手元資金は2023年6月末時点で約98兆円と過去最高水準。投資家から見ると、「日本企業は成長投資をするだけの十分な手元資金があるにもかかわらず動かない=成長する意思がない」と見られているのです。

上場企業の現在の動きは、自社株買いや株主配当の増額による一過性の改善策がメインとなっている一方で、事例としてはまだ少ないですが、成長戦略に投資を振り向ける動きも出てきています。

ホンダは、2030年度までの10年で電気自動車(EV)やソフトウエアに5兆円を投資すると発表。日本生命保険は、介護最大手のニチイ学館を傘下に持つニチイホールディングスを約2100億円で買収すると発表しました。

今後、日本の株価がさらに上がり続けるかどうかは「成長戦略への投資」にかかっていると言えそうですね。

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