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ZOMBB 6発目 コードネーム・ララ

新垣優実———コードネーム・ララ
彼女は不敵な笑みを浮かべていた。
相変わらずの<ララ・クロフト>の
コスチュームだ。腰まで伸びている長い茶髪は、
ポニーテールのように束ねている。
スポーツブラのような、
へそ丸出しの白いタンクトップを身につけていたが、
生地が薄いから、乳首のポッチが浮かび上がっている。
絶対ノーブラだ。
キュッとしまったウエストの下はブラウンの短パン。
その短パンの腰には、KSC製のUSPガスブローバックが、
黒いピストルベルトの両側の、
予備マグポーチ付きのホルスターに
収められている。
ムチムチの白い生足がまぶしい。
短パンから伸びている黒いサスペンダーが、
プルンプルンのおっぱいを寄せ上げて、
その二つの男の夢の隆起を際立たせている。
細い足首まで隠しているのは、
モスグリーンのトレッキングシューズ。
そんな姿でララは立っていた。
次郎もすでに勃っていた。

「次郎くぅん、言ってなかったね。
 新垣優実さんも来てたんだよ」

「ララよお、連れって言ってあげる~とか言ってもさ~。
 オレを相模原に連れて行くって、どうすんだよ。
 こんな装備じゃ、助手席にも乗れねえよ」
次郎はやや、中腰になって言った。

「店の裏の駐車場に、リアカーがあるんだけど、
 それに乗って行けばいいんじゃないかな?
 片方のタイヤがパンクしてるけど・・・」
と伊藤店長。

「でも、どうやってそのリアカー引っ張んの?車?」
と山田次郎。

「それなら問題ないわ。私のバイクで引っ張ってあげる」
ララが口を挟む。そうだった、
この女は大型バイクの免許持ってんだった。
それもYAMAHAのFJR1300ASっていう、
ばかでかいバイクだ。

「そうだね、フック付きのワイヤーあるから、
それでつなごう。
伊藤店長は、カウンター内のボックスの引き出しから、
直径20ミリ以上はある、
でかいフックつきのワイヤーを持ってきた。
長さは3メートル弱。

「優実ちゃん、これでつなげば大丈夫だ」
伊藤店長は、ララにワイヤーを手渡した。

「おい、店長。どーでもいいんだが、このパワードスーツ、
 重くて一歩も歩けないんだが」
次郎の声を聞いて、伊藤店長は答えた。

「腰の両側にバッテリーあるでしょ?
 その上のトグルスイッテを
 ONにしてみて」
と伊藤店長に言われて、
ほとんど動かせない頭をなんとか下に向け、
目線で探る。確かにあった。
次郎は両手で同時にスイッチをONにした。

ヴゥウウウウン———。腹に響くような振動がした。

「それで自由に動けるし、パワーも3倍になる。
 普通の自転車と
 電動自転車と同じ原理だ。本来の力を増幅してるんだよ。
 ただ走るスピードは3倍遅くなる。今後の課題だな」
伊藤店長はにこりと笑った。

試しに一歩、足を進めてみると、
これまでの重さが信じられないほど軽い。
動くたびに——ガチャウィーン、
ガチャウィーン——というような
<ロボコップ>のような音がして、
「オレの名はマーフィー」だと
言いたくなる。これは楽しい。

「スネークのダンボール、喜んでる場合じゃないわよ。
 相模原にいかなくちゃ」
とララが、あちこち歩いては
腕を振り回して遊ぶ次郎に向かって、
呆れ顔で言う。

「この店の裏口から出るといい。そこにリアカーもある。
 優実ちゃんのバイクは?」と伊藤店長。

「店長の言ってる駐車場に停めてるわ」

「だったら、あとはリアカーをワイヤーで結んで、
 スネークのダンボール・・・
 いやパワードダンボールを乗せるだけね」
とララ。

パワードダンボール?
略すならパワードスネークで、いいんじゃね?
やっぱり、オレを馬鹿にしてやがる、この女・・・
次郎はララを睨んだ。
だが、視線はララのおっぱいから目が離せない。

「さ、時間がないわ。急ぎましょ」
3人は裏口に向かった。伊藤店長がおそるおそる扉を開く。
駐車場にはゾンビが2体いた。その隙間から、
ララは堂々と出て行く。
その姿はパリコレのモデルのような歩き方だ。

「優実ちゃん、気をつけ・・・」
伊藤店長が言い終わらないうちに、両側のホルスターから
USPを引き抜き、1体目のゾンビの頭を撃ち抜く。
そして、反転してもう1体のゾンビの頭も撃ち抜いた。
それは華麗な動きだった。
反転する時、ポニーテールが彼女の動きに合わせて回転する。
と同時に、二つの巨乳も、ぶるんぶるんと
不規則に揺れまくったことを
次郎は見逃さなかった。確信した。
絶対、ノーブラだ。

ララはUSPをホルスターに収めると、
次郎と伊藤店長に言った。

「さ、リアカーをリアグリップに繋いで」

伊藤店長が、片方のタイヤが
パンクしているリアカーを引いてきた。
手早くララのバイクにつなげる。

「これでよし。山田くぅん、乗って」

山田次郎は仰向けに、リアカーの荷台に乗った。

「さ、行くわよ」
ララの乗ったマシン、
FJR1300ASが水冷4ストロークDOHC・4バルブ直列4気筒の
エンジンが心地いい爆音を吹き上げる。
バイクが発車した。<モーニングフォッグ>のメンバー、
5人が待つ相模原のバトルフィールドへ向かって———。

荷台に寝かされている次郎はパワードスーツごと、跳ねていた。
片方パンクしているリアカーでは仕方ない。
ときおり大きくバウンドしながら、
次郎は廃棄される冷蔵庫のような
気分だった。

オレは、粗大ゴミか・・・

次郎は不平顔で、独り言を言った・・・。

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