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ZOMBB 8発目 これだけは言える、オレの名はアイ〇ンマンだ―――

坂原兄———アジアのランボー、坂原弟———山猫、
貫井源一郎———パットン、丸川信也———音速の重戦車、
久保山一郎———静かなるパトリオットの5人は、
互いに背を合わせて、円陣を組んで、
ゾンビたちを迎撃している。
その中にララが走りこみながら、両手のUSPを
ゾンビの頭に撃ちこんでいく。

アジアのランボーは相変わらずの海兵隊装備だ。
M4アサルトライフルが的確に、
ゾンビの頭を吹き飛ばしている。
彼の実弟、山猫は
スナイパーライフルV10のスコープを覗き、
その十字の照準の中心にゾンビを捉え、
1発で仕留めている。
ワンショットワンキルだ。
パットンは中華製ドラグノフの改造版で、
山猫と同じように
ゾンビをスナイプして確実に倒している。
音速の重戦車は、ダットサイトを乗せた
東京マルイ製G36Cカスタムで、
ゾンビたちを瞬殺していった。

さすがは<モーニングフォッグ>の精鋭たちと
いいたいところだが、
相手の数が多すぎる。
BB弾の弾数もあと残りわずかだろう。
ゾンビの数は数百体。彼らを中心に取り囲んでいる。
逃げ場はどこにもない。

「おい、ダンボール!そのスゲー装備なんだ?」
アジアのランボーが期待に顔をほころばせている。

それはいいとして、さっきは
パワードダンボールって言ってたじゃん?
パワードつけようよ、せめてさ・・・。

「おい、泣いてんのか?ダンボール」

パットンが追い討ちをかける。
・・・おめえもかい!

へへへ・・・そうさ、オレはダンボールさ。
しがないダンボールさ。
注文したのは電動ガン用のラージバッテリー1個なのに、
その何倍もの無駄なまでの
大きさのダンボールで送ってくる、
amazonのダンボール箱のような存在さ。
無駄にでかいダンボールは、面倒くさそうな顔されて、
カッターで切り刻まれて、
燃えるゴミ袋行きなのさ。えへへ・・・
次郎の涙が止まった。
代わりに彼の顔は鬼のような形相に変わった。

この怒りを何にぶつければいい?
いるじゃないか、ぶつける相手が。
ワラワラと、オレたちを囲んでるじゃねえか!
やってやるぜ!ゴルァアアアアアッ!

山田次郎は左腕のプレデターパネルを開いた。
放射状にの赤い光を放つ、
3本のタッチパネルを押した。
シュァアアアアアアアア!
凄まじい音ともに、背中に背負った圧縮空気ボンベ2本から、
強烈な圧力で空気が噴出された。
パワードスーツを着用した次郎の体が、
天高く上昇していく。

「おおおおおおおッ!」
<モーニングフォッグ>の5人も、
感嘆の声を上げる。

上空30メートルで停止した次郎はの顔は、
邪悪な目で群がるゾンビを睨む。

「さあァ!はじめっかァ~!」
次郎はタッチパネルを押した。

ポコン!

次郎のヘッドギアの顎下にある部分から、
カロリーメイトが飛び出した。

「これじゃあねぇえええええッ!」

次郎は残りのタッチパネルを連続して押しまくった。
両手からは東京マルイ製
ハイサイクルH&K G3 SASマシンガンが
狂ったようにBB弾を、
眼下のゾンビめがけて連射された。
それと同時に、左肩に装備された電動式ガトリング銃が
回転しながら12000発のBB弾を放った。
そのパワーで、次郎の体は横回転を始める。
それが効を奏して、
無数のBB弾がばらまかれ、
ゾンビ共を撃ち倒していく。

「す・・・すげえ!まるで<アイアンマン>だ!」

<モーニングフォッグ>のメンバーたちは
驚きと歓喜の声を上げた。

地面を埋め尽くしていたゾンビたちが、次々に倒れていく。
かろうじて立っているゾンビも、<モーニングフォッグ>の
メンバーが撃ち倒していく。

そこで次郎の背負った圧縮ボンベの残量が少なくなった。
落下する山田次郎。地面が瞬く間に近づいてくる。

「うわあぁああああッ!」

次郎は地面に激突した。
だが、パワードスーツのおかげで
かすり傷程度で済んだ。ゆっくりと立ち上がる。
あれだけいたゾンビたちは、放射状に倒れている。

「はあ、やったな」
次郎はメンバーたちの所へ、歩み寄った。

「スネークのダンボール、それどこで手に入れたんだ?」
パットンが訊いた。

「あ、これ?<エチゼンヤ>の店長が造ったんだよ。
 応援に行けってさ」

「今日から次郎のコードネームは、
 アイアンマン・ダンボールだ」
リーダーのアジアのランボーが、満足そうに言った。

結局、ダンボールかいぃいいいい!

「まあまあだったわよ。初めてなのに、
 よく使いこなしたわね」

ララが、巨乳をぶるんぶるんと
揺らしながら近づいてきた。
次郎の視線は、ふたつのポッチに釘付けになる。
彼女は汗を掻いたのか、
タンクトップが体に張り付いていて、
巨乳の形がくっきりと浮き上がってた。

「あんた、さっきからどこ見てんのよッ!」
ララは次郎を殴り飛ばした。
次郎の顔面から飛ぶ鮮血。
その中には、
殴られたこととは別の鼻血も含まれていた。

パワードスーツごと、横倒しに倒れる次郎。

「店長~。これってパワードスーツだよね・・・」

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