地方も都市も高齢者問題

NHKの高齢者問題の討論番組を見ていて思ったこと。

2050年には、人口の約半数(45%近く)が単身世帯になることを、国立社会保障・人口問題研究所が発表し、その際に、男性の約6割、女性の3割が生涯未婚で単身であると予測を出した。

25年後の話というより、今も大きな問題になっており、明確な解決がないのが現状である。

高齢者は、賃貸に移住することが難しい問題。
単身の場合は、死後の処理の対応や滞納の責任を誰が取るのかが難しい。
個人情報やペットの問題も加味すると、八方塞がりで外部からのサポートも難しい。
若者と高齢者で、家賃が一緒なら確実に若者のがサポートコストが低いという不動産側の話も分からなくもない。

また、単身高齢者は、地域とのつながりが希薄になりやすい問題。
ゴミを出すこともできず、家はどんどん汚くなり、より地域との距離ができてしまう。
男性は特に退職した場合、地域につながりがなく、趣味を作らなければ入るのが難しい。


また、お金や老後の相談窓口がNPOや自治体でバラバラで、結果相談できない問題。
これまでは家族がいれば、家族がなんとかサポートすることで生活できていたが、単身高齢者は、すべて自分でやらなければならず、そしてそこに漬け込んだ詐欺なども横行しており、非常に神経を使わなければいけない生活となっている。

また、受け入れ側も、必要性から制度や団体は存在するが、それらの仕組みを網羅して理解しているものが存在しないことで、結果たらい回しになってしまっているケースが多い。

倒れて病院に搬送されても、個人情報保護の観点から、身内以外には相談できず、病院としても対応が難しくなるため、結果として、受け入れを拒むような流れになってしまう。

このような八方塞がりのような高齢者問題に対して、どのような解決策があるのか。
討論番組では、大きく分けて2つの解決策が提示できそうだった。

1つは、元気なうちに備えて、もしこうなったらこうすると決めておくということ。
50、60を過ぎたら、介護の場合はこう、施設の場合はこう、この場合はどのような制度があるのかなどを無理なく相談し、調べておくことが大切だということ。

2つ目は、多くの人とコミュニケーションを取ること。
多くの人とコミュニケーションを取れば、自然とサポート体制が生まれる。
しかし、それが希薄になればなるほどハードルは上がり、結果として周りに迷惑をかけることになる。迷惑をかけたくないという想いが結果として迷惑をかけることになる、ということを知り、しっかりと頼ることが懸命であるということだ。

あと、議論の中では出てこなかったが、コミュニティナースのような役割が、市場経済の中で運用される仕組みが作れたら、上記の2つの解決策がより遂行しやすくなるかもしれない。

ただ、最後に難しいなと思ったのは、2つの解決策ができる人は、そもそも生涯単身ではない可能性が高い気がするし、お金にも困らないような気がする。

つまり、問題となるのは、そもそも上記の2つができない高齢者、そのような解決策も対応できない人たちをどのように包摂するか、が高齢者問題の本質だと思う。

高齢者だとしても、愛嬌のある人は住めるケースが多いという話があったが、それは明文化できない基準であり、非常に難しい。

結果として、人格ができている人は生きられるしそうでないと難しいということだとしたときに、その人格とは、世間に合わすことができることが良しとされるのか等、基準は多様であり、どこまで言っても主観である

社会全体で、高齢者を支えていくという意識をどれほど持てるだろうか。

高齢者との繋がりによって、自分のWell-beingが作られていると感じられる若者の原体験はどれほどあるのだろうか。

勿論、身内の祖父母は大切にしたい、近所の付き合いのあるおじいちゃんおばあちゃんも大切にしたい。でも、それ以外の高齢者をどこまで想定できるだろうか。

歴史上ほとんど存在しなかった社会構造から生まれた問いを、より多くの人が考える為にも、高齢者とそうでない人たちがもっと繋がる機会、原体験を作らなければいけないのではないだろうか。

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