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【最終戦ドキュメント】2021年10月26日

8時30分 選手球場入り

前日からの雨が上がった。グラウンドの大半が人工芝に覆われている南港中央野球場。外野の芝に若干の水分が残っていたが野球をする分には申し分ない。

選手、審判が続々と球場入りをしていく。

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これから行われる変則ダブルヘッダーで優勝チームが決まる。

第1試合の堺シュライクス対和歌山ファイティングバーズの試合に堺が勝つか引き分ければ堺が優勝。和歌山が勝つと、第2試合の堺対06ブルズの結果でブルズが勝つか引き分ければ和歌山が優勝する、というものだ。

試合前の調整が終わり、円陣が組まれる。

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堺は白水大雅が一発芸を披露し場を盛り上げた。

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(「ここまで選手たちはよく成長してくれましたよ」今年1年を振り返る川原昭二監督)

和歌山は川原監督の指示のもと、選手に瞑想の時間を作り、気持ちを落ち着かせた。

対照的な試合前のチーム。そうして、第1試合が始まった。

9:50 第1試合プレイボール

1回表、堺の先発を任されたのは吉村樹。しかしプレッシャーからかストライクが入らない。
先頭の丹羽竜次が四球で出塁すると、榎本隼人もヒット。
3番の深谷力がきっちりレフト前にヒットを放った。

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二塁走者だった丹羽はホーム手前からヘッドスライディング。判定はセーフ。和歌山が1点を先制した。

なおも、4番の生島大輔が犠飛、7番の西河洋樹がタイムリーを放ち、初回に一挙3点を先制した。

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(生還し、ベンチから出迎えられる丹羽)

10:09 マウンドに上がる西垣

和歌山の先発は西垣彰太。
この試合までに11勝、133個の三振を積み上げてきた投手だ。

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(マウンドに上がるときの精神統一)

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「初回から飛ばす」という言葉通り、堺の先頭打者・平岡楓を三振に切って取り、そのまま3人で片づけた。

10:31 堺が動く

3回表、先発の吉村から投手を中村拓へ交代。

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前回の登板では8失点したが、この優勝のかかったマウンドで和歌山打線を抑えていく。ランナーは出してもホームに返さない。いつも通りの直球主体の攻めの投球で追加点を許さなかった。

11:19 堺打線の逆襲

ここまで西垣に抑え込まれていた打線がついに西垣をとらえた。
5回裏、先頭の折下光輝が三塁を強襲する二塁打を放つ。
続く山田偉琉もヒット。無死一三塁となり、8番の杉森慎太郎がセンターへタイムリーヒットを放つ。

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さらに今井寿希也のボテボテの当たりが内野安打となり2点目。

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そして平岡のバントがエラーを誘い、同点となった。
続く大神は倒れるも、樋口公二郎、大橋諒介の連続タイムリーなどもあり、一挙6点を奪い、逆転した。

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(盛り上がる堺ベンチ)

12:13 西垣の涙

7回表、西垣はなおもマウンドに上がった。

しかしアウトを一つ取ってから大橋に四球、佐藤将悟にヒットを浴びた。
ここで川原監督が審判に向かって歩いて行った。交代だった。

ベンチに戻る西垣をナインが出迎える。悔しさなのか、涙が止まらない。

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155イニングを投げ切ったエースのシーズンが終わった。

12:36 決着

8回表、12時30分を過ぎた。ダブルヘッダーの時間制限のため、このイニングで決着する。

マウンドには吉田亘輝。シュライクス草創期のメンバー。昨年は優勝を決める試合で先発。またも優勝を決める局面で登板することになった。

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アウト一つを取ったところで甘露寺仁房に四球を与える。ランナーを背負うが落ち着いていた。
佐藤大介をショートゴロに打ち取ると、同じく「シュライクス草創期メンバー」の丹羽を迎えた。

丹羽が打った打球はセンターへ。吉田がセンターのほうを向く。センターに入っていた藤野恭平が追いつく。その瞬間ベンチからナインが飛び出してきた。

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ヒーローインタビューの後、マウンドで胴上げが行われた。

大西監督、河内山拓樹、吉田、そしてキャプテンの山田。

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第1試合終了後、大西監督に話を聞いた。

「優勝できたことがすべて。ほっとしている。本当はもっとできる実力を持った選手たち。だからこの展開(最終日に優勝が決まる)というのは私の指導や采配が至らずもどかしかった。チームとしてもNPBに選手が送りこめなくて悔しい」

最後の1試合が残っている。その試合のプランを練り、ベンチのほうへ向かった。

16:30 新たな道へ

第2試合は06ブルズの勝利となった。こうしてさわかみ関西独立リーグの1年が終わった。

(最終順位)

この試合では堺もブルズも今季で退団、引退する選手が多数出場していた。

試合後、大西監督からのあいさつで「創設メンバーの5人が退団することになった」と発表があった。

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(急に話を振られて苦笑いする創設メンバー佐藤将悟、平岡楓、吉田亘輝、岸本敦貴、関口聡)

一方06ブルズも5年間チームに在籍していた虎弥太、白戸颯、宮前晴輝の3名が任意引退となった。


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(試合前の円陣から涙が止まらなかった白戸)

最終日に優勝が決まったこともあり、余韻に浸る間もなく、次のことが始まっていく。
来年もこのリーグでプレーする選手も、引退する選手も、次のステップに進む選手もいる。

また来年、それぞれの球団がどんなドラマを見せてくれるかが楽しみだ。

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(文・写真 SAZZY)

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