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【 #球春到来 】06ブルズ全体練習~コミュニケーション~

テーマはコミュニケーション

2月10日。この日、06ブルズの練習は龍間ぐりーんふぃーるどで行われた。

この日は投内連携やシートノックが予定されていた。練習前に桜井広大監督が選手を集めてポイントを説明した。

「しっかり声を出して連携を取っていこう。言葉でしっかり伝えていこう」

桜井広大監督

昨年リーグワーストの89失策を喫した守備の立て直しは急務。
藤井秀悟投手コーチも「野手がしっかり投内連携を盛り上げて、投手も刺激を受けてほしい」と注文を付けた。

ウォーミングアップと実戦意識

投手陣が、風船を膨らませながらアップをしている光景が見られた。

発案者は藤井コーチ。
「風船を膨らませながら動作をすることで、体幹やコアと言われる場所を意識したり、腹圧をかけたりするのにつかっています。私も現役最後のほうかこれを使ってアップをしてました」

風船を膨らませる藤井コーチ
こちらは風船を落としてしまい、苦笑いする中村雅友投手
プランクをしながら実践する藤井コーチ
ブルペンに入ったときに風船を膨らませた状態で動きを確認する今村友星投手

その他藤井コーチ自ら体を動かし選手に体の使い方を教える場面も

体幹トレーニングはそれなりにきつく、悶絶する選手が続出

笑っているように見えるが相当きつかったらしい遊馬ジェシー選手

その後、ベースランニングが行われた。
ホームから一塁までのランニングはいたって普通なのだが、ランナー一塁からは牽制を想定する内容になっていた。

牽制を想定して帰塁する檜垣和季選手

進塁するときはきっちりスライディングまでする。ベースまでの距離と感覚をつかむためにスライディングのタイミングを図っていたのが印象的だった。

三塁に滑り込む奥田一弘選手

課題の投内連携

そして投内連携が始まった。藤井コーチが打球を打ち、動きを確認していった。

ノックを打つ藤井コーチ
逸れかけたボールを飛びついて捕球する引木拓己選手
声を出して指示を出す木村勇太選手
投手ゴロを捌く中村雅友投手

一通り投内連携が終わった後に、「やっぱり準備は大事。慎重になりすぎるのもよくないけれど、1回でできないこともある。でもこれが試合だったら1点が入ってしまう。普段からしっかり言葉でコミュニケーションを取って、瞬間瞬間を大事にしていきましょう」

桜井監督がそう言うと、選手からも「もう少しここをこうすればもっと良くなるんじゃないか」という意見が出てきた。

気づいたことを確認しあうナイン

メンバーの中で共通認識を作っていけば、共同作業でのミスは減っていくはず。今はミスをしないための練習。今後も練習メニューに投内連携があると思うが、一回一回よくなっていけるように、選手たちの間でコミュニケーションを取っていってほしい。

キーとなるのは投手陣

「今年は投手の顔ぶれが一気に変わったし、実力もある。去年みたいに大差で負ける、なんてことは減ると思う」
桜井監督がそう言うと、「今の段階だけでも去年の投手陣より実力ははるかに上」と谷口功一GMもそう話した。

昨年から投手陣で残留したのは井阪功大、中村雅友、松村慶太の3人のみ。
しかし今季は投手だけでもチームの約半分を占めることになる。
出番を求めるサバイバルは必至。

そんな中、谷口GMから「なかなか面白い」と評された投手に話を聞いた。
古田青依(ふるたあおい)。アルビレックス新潟BCから移籍してきたアンダースローの投手だ。

古田青依投手

ブルペンで間近で投球を見てみると、低いリリースポイントから投げられたボールがそのままの軌道でビタっとキャッチャーミットに吸い込まれていった。浮き上がるのではなく、低めいっぱいに決まっていくようなイメージだ。

手元のスピードガンで130キロを計測した。本人曰く、自己最速は137キロ。この時期で130キロ台が出ていることについては手ごたえを感じるようだった。

「どうしてもアンダースローというと技巧派のイメージが付くんですが、真っすぐで押して戦える『本格派』の投手になりたいです」

大学から始めたアンダースロー。もちろんその他多彩な変化球も使うことはできる。しかし、理想は「強いストレートで押す」ことだ。

藤井コーチからの指導もあり、しっかり体を使いながら投げるという動作を確認している。少しずつ実になってきているようだ。

「このリーグで1番の成績、そしてアンダースロー界の1番を目指したいです。そこを目指さないとNPBとかは難しいと思うので、絶対に負けないものを作っていきたいと思います」

昨年、巨人との交流戦で2イニングで3つの三振を奪った古田。たくさんいる投手の中から一気に抜け出せるのか注目したい。

激戦区の捕手に飛び込んだ男

もう一人話を聞いたのは「捕手転向後1か月」という男だ。
原野功太郎(はらのこうたろう)。関西学院大学から入団した選手だ。

原野功太郎選手

外野手として入団発表されたが、捕手に挑戦することになったのは入団テストでの谷口GMからの一言だった。

「ファーストとサード守れるか、と聞かれたんですが、やってなかったのでできないって答えました。キャッチャーは?と聞かれたので、中学の時にやっていたのと、セカンドへのスローイングがその時は自信があったので、やります!と答えました」

しかし、捕手の練習を始めて1か月ほど。待っていたのは想像を絶する捕手の大変さだった。

桜井監督の見守る前で投げる原野

「考えが甘かったなと思いました。できるだろうと思ったことができなかったり、自分の技術のなさや、周りを見る余裕が無かったり……」

現状、ブルズの捕手は栗本皐生、堅木康生の2名。ただし、昨年は2名とも一塁や指名打者としての出場がほとんどで、「捕手」としての出場機会が非常に少なかった。
原野を加えた3人は投手、野手のウォーミングアップからも外れ、ひたすら捕手としての練習を繰り返している。

ワンバウンドの捕球を繰り返す原野。ボールが体にあたったときに「腕が痛てぇ!」と悶絶する場面も

「栗本さんも堅木さんもすごくアドバイスをくれます。やっぱり二人とも経験しているのでうまいなと思ってます。まだまだなので頑張らないといけないなと思います」

捕手3人。左から栗本、堅木、原野

なぜそこまでして捕手に挑戦するのか、それは「試合に出たい」という意欲だった。

「高校大学とほとんど試合に出れていないんです。肩やバッティングに自信はあったのですが、外野手だと打てて当たり前、という風になりますので、キャッチャーなら『打てる捕手』というプラスアルファになるじゃないかと思っています。昨日(2月9日)に目標を設定して15本塁打と設定したのですが、そのぐらい高く目標を作らないと実際に打てないと思いますし、試合にも出られないと思うので、試合に出て自分の力を出せるようにしたいと思います」

キャッチングやワンバウンドの処理は発展途上。しかし肩には自信がある。
盗塁阻止率リーグ1位は狙いたいと最後にアピールした。

スローの動作を繰り返す原野

3人の中で抜け出すのは誰か。この点にも注目してほしい。

チームを盛り上げろ!

「(堅木)康生あたりがもっと前出て盛り上げてくれたらええのになぁ……」と桜井監督が一言。

今季投手も野手も選手は格段に増えた。そんな中で若い選手がどれだけ盛り上げられるか、実力をつけられるかがキーポイントになってくる。

孫入優希選手は「今年はぶっちぎって優勝したい」と息巻いている。
そのためにチームの一体感の醸成・そしてコミュニケーションが優勝へのカギとなる。チームの中で意見を出し合っていい形を出せるように、開幕まで準備を進めていく。

ファーストのノックで何度も飛び場の空気を盛り上げた遊馬ジェシー選手(取れず)

(文・写真 SAZZY 取材日:2月10日)


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