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思い出ひとつ、秋の短歌

林檎りんご病床びょうしょうへ運ぶ毎日の車窓しゃそうに浮かぶあの顔この顔


秋の日の芸術散歩六甲山ろっこうさんチケットくれたあの日なつかし

 神戸の六甲山では、野外展示の芸術祭を毎年開催している。


赤蜻蛉あかとんぼ交尾こうびしようとせまるのは夏に遅れた塩辛蜻蛉しおからとんぼ

 昔、トンボ釣りをよくした。
 糸に結んだトンボをふりまわすと、オスのトンボが交尾しようとくっついてくるので、それをつかまえる。これがトンボ釣りだ。まず、つかまえやすいムギワラトンボに糸をつけてふりまわすと、たまにギンヤンマがつかまることがある。
 トンボ釣りの目的はギンヤンマをつかまえることだ。赤トンボやシオカラトンボは、どこかにとまった時に網でつかまえられる。でも、ギンヤンマはいつも高い空を飛んでいるので、網ではつかまえられない。そこでトンボ釣りをするのだ。
 やったー。これでギンヤンマがつかまえられる。ギンヤンマが1匹いれば他のギンヤンマをつかまえることができる。そのギンヤンマはオスだけど、糸をつけてふりまわすと、別のオスがつかまる。オスにとっては、とにかくくっつきたい。オスでもメスでもなんでもいい。時には別の種類のトンボでもいいのだ。(交尾はできなくても、まずは試してみようとする)
 なにがなんでも交尾しようとする生き物の本能。
 本能に従って生きているだけかもわからないが、それが美しく見えてくる。輝いて見えてくる。


 俳句に続き、十六夜杯短歌に参加します。創作しようという気持ちを与えてもらい、ありがとうございます。


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