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コロナと特定の知事だけよく見る地方自治について考える

 新型コロナに対して緊急事態宣言が発令された。と言っても各地域ごとの対応だ。
 今も新規感染者0に近い県もある。東京の人込みをニュースで流しても、人の出歩かない地域もある。逆に、東京の○○は人通りもなく、と言っても、地方の朝の通勤電車はギューギュー詰めだ。地方の中小企業で、リモートワークなんてできないからだ。

 テレビでは小池知事や吉村知事がよく出るが、これはそれぞれ東京都、大阪府の知事で、東京と大阪について発言をしている。「○○します」と言っても、東京でするだけで、全国でするわけではない。テレビで、知事の発言だけ流すと、それが全国的な行動かと思う人が多く出てくる。

 私は朝は地方局の番組を見る。天気予報を見るためだ。大阪のABC朝日放送の気象予報士は正木明さん(2006年「好きなお天気キャスターランキング」で、大阪だけの出演ながら全国9位)。神戸の朝の映像も流れるし、近畿の天気を伝えてくれる。
 ところが全国ネットの番組では、確かに全国の天気も伝えるが、「今、小雨が降っています」「午後からは暖かくなります」と言っても、それは東京の天気だ。「暖かくなる」と言っても、関西は午後から気温が下がることもある。この天気予報を見た人は、東京の天気を自分の地方の天気と同じに考えてしまいがちだ。


 新型コロナの死亡者数4,525名(NHK調べ2021.1.17現在)。
 コロナとは別に、少し古いが平成20年(2008)の死亡者数は、1位、がん(悪性新生物)342,849人。2位、心疾患181,822人。3位、脳血管疾患126,944人。コロナはまだだが、肺炎の死者は4位に出てくる。
 資料が見つからず、また年度が違うが、平成22年(2010)の死亡順位は、年齢別(5歳ごとに集計)1位は、15~39歳、自殺7,711人。40~89歳1位、悪性新生物(がん)320,225人。90~99歳、心疾患46,274人。40~49歳の2位は、自殺4,782人。55~64歳の4位、自殺6,057人。年齢別2位は、50~89歳の心疾患134,998人が多い。脳血管疾患は、55~79歳で3位41,110人。80歳以上で4位77,338人。肺炎は、90~99歳、2位35,873人。80~89歳、3位52,887人。65~79歳、4位23,233人。新型コロナ以前に肺炎が死因の人が、これだけいる。現在のコロナの死者より多く亡くなっている。そして、肺炎以外が原因の死亡が、これだけ多い。
 調査年度が違うので比較はできないが、コロナだけを見ていたらわからないことだ。
 今の報道は、コロナが一番恐ろしいように伝えている。確かに恐ろしいが、コロナの死亡者数と、他の死因による死亡者数を比べなければならない。ワクチンの安全性と同じだ。安全かどうかは、副作用との比較で決まる。比較しなければわからないこともある。

 今年のインフルエンザの感染者は減っているそうだ。2021年1週(1.4~1.10)の定点当たり報告数は73。昨年同時期は64,553なので、大きな違いだ。
 2018年のインフルエンザによる死亡者数は、厚生労働省の人口動態統計によると3,325人。この年、米国では1万人弱の死亡者数が報告されている。日米で死亡者数にかなりの差がある。日本だけを見ていたらわからないし、アメリカだけを見ていたら、これも違うだろう。
 死亡者数には、感染したことによって直接的に死因となった人だけでなく、インフルエンザにかかったことによって慢性疾患が悪化して死亡したものも含む(超過死亡概念)ことがある。日本では、この数値が毎年約1万人程度と厚生労働省は発表している。
 コロナに関しても、その違いを考えなければならない。コロナが直接の死因の場合と、他の何かが原因で亡くなった人を検査したら、コロナにかかっていたということもある。

 一つのことを見るとき、一方向だけから見ていては間違える。でも、共通することもある。

 感染症予防の基本は、手洗い励行、3密回避、マスク着用だ。これでインフルエンザも減っている。コロナも同じだろう。
 コロナに対する対策は、言葉を変えると、手洗い、マスク、ソーシャルディスタンス。原則を忘れず、その場その場の言葉に惑わされないようにしたい。


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