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ニート、東北へ行く~東日本大震災ボランティア記~⑥ 二十二~

以下の文章は3度のボランティア体験について2011年5月~12月にかけて当時書いたものです。

二十二・町を見る

 最終日の作業は1時間早めに終わり、我々は初の外出。石巻の商店街へ連れて行ってくれるらしい。お買い物して地域への貢献をしようってんだ。そこで何かしらイベントがあるという。

 バスに乗ってさぁ出発。初めて、カスカ周辺以外の町の様子が見えた。カスカにある地図でインターナショナルLLさんが何故か無駄に笑、教えてくれたローソンを通り過ぎる。ほんと近いじゃないか・・・まだいろいろ足りなかったりするのだろうか?ローソンでの買い物による貢献は・・・?どうなんだろうか?

バスは進み、僕らは帰宅途中の小学生を見たんだ。はしゃいで走って、転んでる。そんな普通の姿がたまらなくうれしかった。
 だけど、町に目を移せば・・・だ。カスカ周辺で見た景色が続いている。ガレキで溢れた町を。倒れた電信柱を。片付けるための重機を。人の姿を。
 駅が見えた。その周辺には汚れへこんだ貨物ボックスたちが倒れた電信柱やブロックたちともにたたずんでいた。
積み重なったぐちゃぐちゃの車の向こうに、学校が見える。グラウンドがあっただろう場所にがれきが散乱している。

 バスは石巻の商店街へ到着。ピースボートの他のボランティアが泊ってる春潮楼でバスを降りる。目の前に斜めになってひび割れ崩れかかってるビルが見える。その向こうにテントが見えた。隣に自衛隊のトラックが止まっている。よく見ると、「きたかみの湯」って書いてある。そうか、ここが簡易のお風呂なんだ・・・。

つづく

二十三・商店街へ

商店街を行く。まだまだほとんどの店が開いてない。信号はまだ動いていない。やってくる車が止まってくれる。僕らは横断歩道を渡る。開いている靴屋さん。その隣のお店でお買い物。特別に開いているの?いろんな商品が置いてある。近くの石ノ森章太郎漫画館で売っていただろう画集とかタオルとかグッズや、名産のわかめ等水産物、震災の写真等、炊き込みご飯だっけ?その場で食べられるもの、いろいろなものが小さなフロアーに机並べて売っていたんだ。


 「がんばろう石巻」
 そう達筆で書かれたポストカードがあった。「がんばろう。」ってことばはあまり好きじゃない。使いやすさにうっかり使ってしまうからまた困る。もちろん出会った方々に、すでにがんばりすぎている方に、俺ら部外者が言えるはずがない。それでも、ご自身たちの踏ん張りを応援したっていいだろう?なんて詭弁にすぎないのかな?ただ、僕はそのポストカードセットを買った。
帰って来て次の日の中日新聞(5月31日)に、このポストカードセットのことが載っていた。石巻の主婦の方が制作し、石巻の書家千葉蒼玄氏が書かれたもので、通販発売もしているようだ。収益金は市に寄付するとのことだ。
それから、かわいいカメタオルを買いました。今いるかめ七呉服店のもの。 開運タオルだそうだ。何色が何にいいんだっけ?このたびの震災を受けて作ったものみたいです。

丁度かめタオルを持つかめ七呉服店の米倉夫婦の記事があったのでここに。
https://note.com/hibishinbun/n/n66d1436f6b9a

(追記:あれから石巻を訪れるたび、かめタオルを買っていくことになったし、米倉さんにも何度かお話を聞いたりして。一昨年、仮店舗で一緒に写真撮っていただいたことが嬉しかったり。)

 帰ろうとしたとき入口でおじいさんがハーモニカ(ゴールデン)で「ふるさと」を演奏してくれた。歌詞なんかなんとなく私の頭を巡る。山は青きふるさと、とか、海は清きふるさと、とかさ。ここがふるさとであることの意味を、わかる?いや俺にはわかるはずもない。ただ泣きそうになった。演奏終わったおじいさんに精一杯の拍手をしたんだ。

 春潮楼のあたりに戻る。炊き出しが行われている場所。住民の方々が並んでいる。イベントってのは民謡歌手の方のコンサート。我々ボランティアにも別にとん汁と焼肉!を用意していただいた。ボランティアの有志が歌に合わせてソーラン節を踊った。
 焼肉を食べた。こんなに美味しい豚肉はない。なんだろう?僕らは・・・。

 風が強くて、この町の夕暮れはまだまだ寒い。曇り空から少し太陽の光が漏れて美しかった。空はいつだってこんなにも美しい。


十字架You and I:Base Ball Bear




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