瞑想を始める方へ 瞑想は「する」ものではなく「なる」もの

あなたが興味を持って始める瞑想が、マインドフルネス瞑想であっても、ヴィパサナ瞑想であっても、OSHOスタイルの瞑想であっても、座禅であっても、内観瞑想であっても、本山式ヨーガであっても、瞑想を始める方、取り組まれている方に、ぜひ心にとめておいていただきたいことがあります。
それは、瞑想は、「する」ものではなく、「なる」ものであるということ。

私たちは、目を閉じて坐り、呼吸に集中すれば、それが「瞑想」であると思いがちです。
しかし実はそうではない。

日々の生活を整え、体を整え、呼吸を整え、ある1点に集中するうちに、ふと「瞑想状態」になる瞬間が訪れる。
このプロセスは、古典「ヨーガスートラ」に以下のように記載されています。

1 ヤマ Yama(禁戒)
周囲の環境と調和するために心がけたいポイント。
「暴力をしない、嘘をつかない、盗まない、欲望に振り回されない、執着しない」

2 ニヤマ Niyama(勧戒)
自身のうちを安定させるための基礎となるポイント。
「身の回りを清浄に保つ、足るを知る、日々鍛錬を行う、よい教えを学ぶ、感謝の気持ちを持つ」

3 アーサナ Asana(ポーズ・坐法)
ヨガの正しいポーズや、坐り方をとること。
ここで、そのポーズを「努力して」行っているうちはそれはアーサナではなく、快適にポーズをとれるようになってはじめてアーサナになると言っている点が奥深い。
そこまでのレベルにはなかなか一朝一夕には到達しないにしても、いきなり瞑想をするのではなく、その前に体の調子を整える必要があるということは留意したい点だ。
ちなみに、本山式ヨーガで、集中法や呼吸法の前に経絡体操法を行う意味もここにある。

4 プラーナヤーマ Pranayama(調気)
ここでようやく呼吸になる。
呼気と吸気により動揺を取り除き、心に平穏を得る。

5 プラーティヤハーラ Pratyahara(制感)
呼吸が落ち着くに伴い、外的刺激(体感覚)から離れていられるようになる。

6 ダーラナー Dharana(集中)
心をある1点に固定する。

7 ディヤーナ Dhyana(瞑想)
固定した1点への気づきが絶え間なく続く状態、これが瞑想状態。

8 サマーディ Samadhi(三昧)
心の中が完全なる静寂になる。

ここまでがヨーガスートラで紹介されている8つの段階でした。
このうち、3 以降を完全な状態で行うのは相当難易度が高いので、「そういうプロセスなのか」という概要をとらえる程度にしていただくにしても、このステップを一から重ねることが効果的であることを知っておくと、せっかくの瞑想に投下する時間を無駄にせずに済むと思うのです。
(「禅寺に休日に行ってみたけど、足が痛いだけで終わってしまった」のような経験は、瞑想ではない)

私自身も、経絡体操を日々続け、体の調子を整えるにしたがって、なぜが心が落ち着いていることが多くなった、不思議な体験があります。
この体験からしても、おそらく「ヨーガスートラ」で語られている「八支則」は瞑想実践の上のヒントになると感じます。

また、気に留めておきたいのは、このプロセスは、数の少ないほうから、多いほうへ順に移行できるという点です。
(ですので、体のあちこちにコリや疲れが残っている状態で、ただ目を閉じて呼吸に集中しても、それは瞑想にはならない)

とはいえ、八支則は「日常心がけたい倫理的なポイントから入る」ため、説教臭い、抵抗があり取り組みづらいという方もいらっしゃるかと思います。
そんな方には、ケン・ウィルバーのインテグラル・ライフ・プラクティスがわかりやすく取り組みやすくお勧めです。以下記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?