日本のキャッシュレス決済
はじめに
キャッシュレスが進むことで、普段の買い物や、お金の受け渡しがよりスムーズになり、私達の日常生活はもっと便利なものになるだろう。さらに、海外では既にキャッシュレス決済が主流となっている。しかし、日本ではそれほど利用者が多くはないのが実情である。諸外国と比べて、日本はまだまだ「現金主義」な国民性が見られるのである。
実は、キャッシュレス決済の普及により、気軽に買い物や投資できる機会が増えることで、結果として世の中で循環するお金が増え、経済も健全に発達していくことになる。従って、「お金の流れをなめらかに」するため、本稿では今後、キャッシュレス決済がどうすれば持続的に成長するかについて研究した。
一、 キャッシュレス決済の意味・種類
①意味:キャッシュレス決済とは、お札や小銭などの現金を使用せずに代金を支払うことである。 キャッシュレス決済には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイド)や スマートフォン決済など、様々な手段がある。
②種類:キャッシュレス決済の種類は大きく分けて「クレジットカード」「デビットカード」「QR決済」「電子マネー」の四つ。
二、 今の日本におけるキャッシュレス決済の普及と種類
経済産業省のデータによると(図表1)、日本国内におけるキャッシュレス比率は、2010年の13.2%から2020年では29.7%と普及している傾向にある。しかし、キャッシュレス決済比率について、政府は2025年6月までに40%、さらに将来的には80%を目指しているが、現状は30%未満となっている。では、なぜ、政府はキャッシュレス決済率を重視しているのか?また、キャッシュレス決済は我々の生活にとって、どのようなメリットがあるのか?
三、 キャッシュレス決済のメリットとデメリット
① メリット
国の立場から見て、キャッシュレス決済比率を高めると、インバウンド消費の拡大、消費者の利便性向上、店舗の効率化、更には決済データの利活用による生産性向上が考えられる。
店舗の立場から見て、レジ業務の効率化、売上管理の負担を軽減できる。
消費者の立場から見て、決済がスムーズになる事による利便性の向上や、クローズドキャンペーンへの参加、ポイント獲得等による恩恵を受けられると考えられる。
② デメリット
スマホやカードを紛失したり盗難にあったりすると、不正利用される恐れがある。高齢者を中心にデジタルに不慣れな人もいる。
導入していない店舗では使えない。
クレジットカード決済はポストペイタイプであるため、使いすぎる恐れがある。
四、 キャッシュレス決済の世界の普及率
2019年時点で韓国96.4%、イギリス68.6%、中国65.8%、オーストラリア58.2%、カナダ56.3%、日本26.8%,世界各国と比べると低い水準となっており、日本では現金決済の割合が依然として高いことがわかる。
なぜ、日本のキャッシュレス決済比率は低いのか?
海外と比べ日本国内でキャッシュレス決済の普及が遅れている理由としては、以下のような消費者の考え方が挙げられる。
現金支払いでも特に不便は無い
使える場所がない
セキュリティ性への不安
キャッシュレス決済の利便性の高さを分かっているのにも関わらず、キャッシュレス決済移行の手間やセキュリティ性への信用の低さがキャッシュレス決済普及の障害となっていると考えられる。
②事業者側の原因
日本国内においてキャッシュレス決済の普及が遅れている原因は、消費者側だけでなく、事業者側にも存在する。原因の一つとしては、キャッシュレス決済の利用者が少なければ、店舗側としてもキャッシュレス決済の導入の必要性が低くなる点である。また、キャッシュレス決済による支払い時に発生する手数料の負担がネックになっているという事業者も少なくない。
しかし、事業者の場合、日本人よりもキャッシュレス決済比率が高い訪日外国人客への販売機会を逃す可能性もあるため、キャッシュレス決済対応の重要性はますます増加していくことが考えられる。
五、 キャッシュレス決済は今後どうすれば拡大するか?
まず、現在キャッシュレス決済の手段から分析する。
図表3のデータから見て、普段の支払い方法は「現金」84.8%、「クレジットカード」69.6%、「スマホ決済」43.6%。デビットカードを使う人は少ないので、現金、クレジットカード、QR決済、電子マネーの4つの方面から分析する。
図表4の通り、現金は信頼感が高いが、持ち歩く際と決済時の点において利便性が低い。クレジットカードは情報漏えいや不正利用される恐れがあるので、信頼感は中程度である。高額決済でも利用できるし、キャンペーンやポイント特典もあるので、利便性が高いはずだが、支払日までに支払いを忘れてしまう可能性があるので、普通だと考える。
より決済スピードの速い電子マネーは、使う前にチャージしないといけないため、店舗や店員の負担になる。そして、支払うたびに残高を覚えないといけないので、利便性は中程度よりは低い。信頼感の上では、クレジットカードのように情報漏えいや不正利用の可能性がある。そして、利用する場合は記名をしていないと、万が一紛失した場合の損害があるので、信頼感は中程度より低いと考える。
QR決済の場合、支払い方法のランキング3位の位置におり、利便性が高いが、信頼感が低い。このような現象がなぜ起こるのかというと、スマートフォンさえあれば、子どもでも利用できる。決済アプリが起動し、QRコードまたはバーコードを提示して決済ができるので、便利性が高い。しかし、他のキャッシュレス決済と比べると、広がり始めてからの年月がまだ浅い。クレジットカードは日本でもっとも普及しているキャッシュレスであり、成熟期を迎えている。電子マネーは、交通機関やコンビニ、自動販売機などいろいろなシーンで利用できるのが一番の長所である。さらに審査不要なので、利用のハードルが低く老若男女に広く使われている。しかし、QRコード決済は新たな決済手段として2019年7月から政府の呼びかけ3年未満を実施していたので、過疎化した地方へはまだ普及していない。一方、信頼感を獲得する必要もある。日本は高齢化社会である。利用者を拡大するとしても、高齢層が新たな決済手段としてQRコード決済を使い始める事に期待するのは難しい。このような問題も信頼感に影響があると思う。
上記4種の決済手段の分析から見れば、キャッシュレス決済が普及するとすれば、その利便性は利用者にとって最も検討される事であるはずだ。つまり、QR決済が普及するようになる。なぜなら、普及の基準は全国の人が利用できるようになることである。大人だけでなく、低く老若男女でも使えるようになるべきだ。QR決済は利用するためのハードルという面では、クレジットカードのように厳しい審査がなく、年齢制限を設けているアプリもほとんどない。スマートフォンにアプリをダウンロードし各種情報を設定するだけで利用可能なため、誰もがアクセスできるキャッシュレス決済といえる。
六、 QR決済はどうすれば拡大するか
SWOT分析からわかること:
高齢の利用者を獲得するため、まずセキュリティを確保するのが前提条件である。
次は高齢層に向けたキャンペーンを多く展開する。最後に、高齢者がよく行く場所でQR決済のキャンペーンを行い、QR決済を店舗に導入してもらう。
参考文章:
日本のキャッシュレス決済の比率は?世界との比較や今後の課題https://www.smbc-card.com/kamei/magazine/knowledge/settlement_rate.jsp
QRコード決済市場は4兆円超!今後数年で10兆円規模に成長の予測も
https://media.aupay.wallet.auone.jp/articles/67#ペイペイ ホームページ https://paypay.ne.jp/
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