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ジュビロ磐田 藤田俊哉SD就任記者会見

9月15日、ジュビロ磐田のフットボール本部新体制の記者会見があった。スポーツダイレクター(以下SD)として藤田俊哉さんが17年ぶりにジュビロに帰還した。

ジュビロ磐田の公式YouTubeチャンネルでは、藤田俊哉SDの会見部分をノーカットで公開、更にはジュビロサポーターへのメッセージも。

今回の記者会見について感想をまとめたいと思います。

小野社長コメント

まずは、去る8月18日に行われた、渋谷洋樹監督就任記者会見での新生フットボール本部に対する小野社長のコメントを振り返る。

――フットボール本部が今後どういう風に機能していくかというところの現段階での考えは?
フットボール本部という大きなくくりにしながら、トップチームの下に育成・普及がいて、我々としてはジュビロのフットボールをピラミッドのなかでどういう風に考えていくのか?と。トップチームからスクールまでをこの地域の中でしっかり根差しながら、どう広げていくのか、その大きなプランニングができる人材、ここの人材は数年単位で代わっていくレベルではだめなんです。
長い視点で自分で絵を描きながら、なおかつ下についた人間とともに5年10年かけて階段を一歩ずつ登っていかないと先には到達しません。そういうプランニングができ、それがDNAとして残っていく。そういう組織と人材をうまくもっていきたいと考えています。

2022年8月18日 小野社長記者会見コメント

5~10年単位の長期視点でのチーム再建を強調しており、長期間任せられる人物を思い描いた発言をしていた。

それを踏まえ、以下が今回の小野社長のコメント。

(藤田俊哉さんは)ジュビロのレジェンドとして、そして非常に色々な国、色々な場所で様々な知見を蓄えています。その藤田さんが、今回我々の要請、ジュビロをどう変えていくんだ、本当に強いジュビロをもう一回作るためにどうあるべきなんだということを、本気で考えてくれる、それを実行するという覚悟を持ってこのポジションに就いていただきました。
(中略)
藤田俊哉さんに関しては、まずはトップチームマネジメントのスポーツダイレクターという立場でスタートしていただきますが、この先はもちろんジュビロのフットボール全体を見ていただくポジション、フットボール本部、ここを統括していく立場になってもらうつもりで、この度この職に就いていただきます。

2022年9月15日 小野社長記者会見コメント

フットボール本部の本部長は大石倫裕さん。ゆくゆくは俊哉さんが本部長になって統括する方針であることがうかがえる。

強化本部長もここ数年は入れ替わりがあった。

2020年は鈴木政一さんが強化本部長としてスタートしたが、フベロ監督がシーズン途中で解任になって、政一さんが監督と強化本部長を兼任するという異例の体制。
2021年末に政一さんが勇退し、2022年は鈴木秀人さんがトップチームマネジメント部長として強化のトップになったが、8月に伊藤彰監督と共に解任された。

今度こそ俊哉さんに、それこそ5~10年単位での腰を据えたジュビロの再建と強化を進めて欲しい。

着々と成績が上がればよいが、上手く進まない事の方が多いのが世の常だ。その時に腹を括って乗り切ることができるか?
フベロ元監督、伊藤彰前監督、鈴木秀人前トップチームマネジメント部長のような悲劇的な解任はもう見たくない。

藤田俊哉SDコメント

2026年

最初に話したクラブからの熱意あるオファーというのは、この話がスタートした状況は、もちろん今とは少し違うかもしれないですし、残り試合数も違いますが、色々と話をする中で、2026年にはもっと大きな目標があるんだと。大きく変えたいんだ、優勝を目指したいんだと。この言葉に僕は、今の状況を度外視して、やりがいがあると感じました。

藤田俊哉SD 記者会見コメント

個人的にはここに不安要素を感じた。

2026年って4年後・・・・。4年後のJ1優勝目指すの?J2優勝じゃないよね?

8月の記者会見で小野社長は5~10年というスパンを描いていた。時間軸に乖離があるのではないのか?

2026年という目標は、8月の記者会見後にクラブ内で精査され、新たなる目標を設定し直したのかもしれない。

俊哉さんは「今の状況を度外視して、やりがいがある」と言ってたのは嬉しい。でも、去年J2で優勝したものの、今年J1では歯が立たなかったジュビロ。J1は厳しいとは思っていたが、前回降格した2019年よりは善戦してくれると期待していたが甘かった。想像を超えていた。

J1で勝利すること、そして優勝争いするチームになるには、ジュビロは相当の実力を上積みしなければならないことを思い知った。その象徴的な試合が伊藤彰監督の解任に至った、ホーム浦和戦の大敗だった。

記者の人たちには「2026年」という目標設定の背景に、もう少し突っ込みを入れて欲しかった。

この「2026年」を目標とするならば、社長、フットボール本部、現場と意思統一して戦ってくれることを願う。

明日を見るのが好き

いつも明日を見るのが好きなので、あまり自分が良かった時代というのを語らないし、あまり思い出してもそんなにテンションが上がらないんです。明日何をするかの方が好きです。言ってもらうと凄く嬉しいのですが、皆さんが思うほどあまり自分たちのことや、自分の記録とかに対して執着がないんです。

藤田俊哉SD 記者会見コメント

ここのコメントが一番好きだった。

華々しい経歴を歩んだ人、ジュビロで言えば黄金期に活躍した人に対し、周りの人は「あの頃は」の話をとにかく聞きたがるだろうし、それを踏まえた発言を期待する。

でも俊哉さんはさらりとかわした。

私はジュビロサポーター歴4年目なので、残念ながら俊哉さんの現役時代のプレーを生で観ていないし、当時の言動を見聞きしてはいない。しかし、ここのコメントに俊哉さんの人柄や、仕事に取り組む姿勢が表れているような気がした。

「明日を見るのが好き」この発言ができる人ならば、長い目でこれからのジュビロの再生に取り組んでもらうのにうってつけの人材なのかもしれない。

縦に速いサッカー と 阿吽の呼吸

当然僕がやっていた時代よりフットボールは進化していて、縦にもの凄く速いサッカーに変わっています。そこのポイントというのは外して語れないと思っています。ですから、そのバランスをきちんと整えて、ボールを自分たちで自由自在に操りながら縦に速く、そして阿吽の呼吸でゴールを量産するというのがフットボールのプランです。

藤田俊哉SD 記者会見コメント

縦に速いサッカーというワード。
先日発行されたサポーターズマガジンvol.144にて小川大貴上原力也が同様の発言をしていた。

大貴にとって3年振りのJ1。以前のJ1との違いとして「以前より更に縦に速いサッカーになった気がする」とコメントしている。

上原力也は昨年仙台でJ1を戦っていたが、名波監督時代のJ1はリーグ全体がゆったりとしていたと語っている。

ジュビロがJ2を過ごした2年間で、J1のサッカーは変わっていたのだ。

2022年ジュビロが勝てなかったのは、J1のスピードについていけなかったのが大きな原因の一つで、選手もそれを実感していた。

ポジティブに捉えれば、俊哉さんも原因分析はできていて選手と同じ見解をもっていることだ。俊哉さんは戦術面では現場に託すとしているので、環境面、選手補強面でどのような対策をとるのか楽しみだ。

そして、阿吽の呼吸である。

このワードが出た時「鈴木政一さんのサッカー再び?」とかなり警戒してしまった。2021年の経験豊富な選手中心による鈴木政一監督の「大人なサッカー」はJ1では厳しいのでは・・・と思ったのだが、改めてコメントを読むと、ここでの阿吽の呼吸は、ゴールを量産するという言葉にかかっているのではないか?

J1で勝つためにジュビロも縦に速いサッカーを体現し、ゴールに至っては阿吽の呼吸で奪い取る。素人ながらそのように思えた。阿吽の呼吸という言葉のインパクトが強いので一見心配になってしまうのだが、単純なものではなく、俊哉さんもきっとわかっていての発言だと思う 。


まず、来年以降については今語るべきじゃないと思います。僕たちは今、ここからの6試合に全てをかける。

藤田俊哉SD 記者会見コメント

既に6試合の内、1試合を消化しドローで勝ち点1しか奪えなかった。

ドローだったセレッソ大阪戦はポジティブな点が多あったのだが、もう悠長なことは言ってられない段階だ。残り5試合。可能性がある限りJ1残留に向け必死に戦い、来季再びJ1で藤田俊哉SDのもとで再起をかけるジュビロが見たい。


最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。

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