「あの子はやんちゃだからね」-松原后-
深々とエスパルスサポーターに一礼する松原后の顔は涙で濡れていた。
10月22日、明治安田生命J1第31節(延期試合)清水エスパルス対ジュビロ磐田の「静岡ダービー」は1-1のドロー。
金子翔太と共に元清水エスパルスの松原后は、このアイスタでの静岡ダービーに特別な想いを抱いていたはずだ。
かつては清水エスパルスのユニフォームを着てジュビロ磐田を倒すために炎を燃やしていた。
2017年10月14日、アイスタでの静岡ダービー。
高橋祥平との競り合いで熱くなった松原后は、直後に肩でぶつかって高橋祥平を倒してしまいレッドカード。
当時私はまだJリーグを本格的に見ていなかったので、この退場劇をリアルタイムでは見ていなかった。しかし松原后が今夏ジュビロへの移籍が決まった時、当時のエピソードとしてこの退場劇があったことを知った。
Jリーグの公式YouTubeにも当時の様子が残っている。
レッドカードを出したレフェリーに対して目を見開いて「なぜ?」といった表情で感情をあらわにする松原后。
若さの中に闘志をみなぎる表情が溢れる。
当然、ジュビロサポーターはいい気はしない。
もし、当時私がジュビロ側の応援をしていたら「松原后!何してんだよ!」とメチャ腹が立っていただろう。
当時ジュビロに所属していた中村俊輔は、熱くなって退場した松原后を「やんちゃ」という言葉で評していた。
一方で中村俊輔は「すごくいい選手」とも語っていた。
あの退場劇の静岡ダービーから5年。
松原后はサックスブルーのユニフォームを着てアイスタのピッチに入った。かつて支えてくれたエスパルスサポーターからはブーイングも飛んだ。
しかし、5年前の血気盛んな松原后とは違い、闘志を内に秘めて戦っていたように感じた。
才能あふれるルーキーの古川陽介をアシストするなど、若手と共にジュビロの勝利に貢献すべく戦う姿があった。
ジャーメイン良の同点ゴールは、松原后の溜めからの古川陽介の折り返しパスがあってのもの。松原后の活躍無しに勝ち点0を1にすることはできなかったと言って良い。
松原后は試合終了後に人目をはばからずに泣いていた。
その真意は私には知る由もない。
でも一つだけ言えるのは、金子翔太と共に「100%ジュビロの男」として戦う姿を見せてくれたということ。
その姿を現地アイスタで見ることができたのはそれが本当に嬉しかったし、頼もしく思えた。
ジュビロ磐田は次節ガンバ大阪戦で引き分け以下の場合、J2降格が決定してしまう。何としても勝利をつかむには松原后の「内に秘めたやんちゃ」なプレーが必要だ。活躍を期待する。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田、そして松原后のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。
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