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ビジネスか否か

数年前(今も継続中?)TwitterやpixivにイラストをUPしている方々に、不当に安い報酬、または無償で「実績になりますよ」なんて提示して仕事を依頼しようとするDM爆撃みたいなのが話題になりましたが、正直、ボードゲーム界隈も結構そういう案件ちょこちょこあります。

イラストほど重い案件は私のところには来ませんが、そこまで親しくない方から「同人ゲームの推薦文を書いて貰えないか」とか、「店で遊ばれたゲームのランキングとランクインしたゲームに対するコメント貰えないか」とか、「youtube(登録者数3桁)で紹介するのでゲームを貰えないか」とか「同人誌で紹介するのでクーポン用意してくれないか」とか。

もちろん無償の依頼です。
いずれも細かいことですが、確実に工数がかかります。

そんななか、今回来たのは「ゲームパッケージや店舗ロゴを使った商品を作りたい」という案件で「(当方)儲かっていないので、報酬はなしで」とありました。

もうなんというか「ここまで来たか」って感じましたね。

許諾している方が結構多くてビックリしたんですが、まあ知り合いならそういうこともあると思います。でも面識のない相手にやってはダメだと思うんですよね。

友達や知り合いなら(私は)全然OK

誤解の無いように先に言っておくと、友人や知り合いであれば、大体OKします。(もちろん受けられないものもあるとは思いますが……)

こちらから頼んでしまうこともあるかも知れません。でも、あったとしてもかなり気を遣っています。だから良いってわけでもありませんが、おいそれとやってはいけないと思っています。

ある程度、面識があるのであれば「もちつもたれつ」じゃないですか。だから「私は」受ける。そういうものとは別の話だと思っていただければ。

あと、そもそも「ユーザに無償で提供されるサービス(物品)」なら、まあOKすることも多いと思いますし、お断りするにしても、今回のようなモヤモヤとした気持ちにはならないと思います。

過去には「戦闘破壊学園ダンゲロス ボードゲーム」のプロモカード企画や、「アノコロの俺らシリーズ ボの巨人たち」のカードにロゴを提供したりなど、特に報酬なく提供した案件もあります。(絶賛発売中なのでぜひ!)

これらは、無償提供のプロモカードだったり、数あるカードの1枚だけ(商材のメインではない)というものだったので参加させていただきました。絶対にダメというわけではないのです。

何が問題かと言えば、有償のサービス、あるいは当方著作物をメインとした商品制作の話だと言う事です。

依頼者は確実に金銭を得ています。
これが儲かっているかどうかは、正直関係ないです。

儲かっていないなら、儲かる(利益の出る)価格設定にすればいい。
利益の出る価格設定にしたら売れなくなるのであれば、そもそもその商品は「正当な価格で提供しても需要がない」、もしくは「製造コストがかかりすぎている」ということになります。要は「企画として失敗している」ということです。

「儲かっていないので無償で著作物を使わせてください」と今回言われましたが、これは要は

「社員に残業代を払ったら会社が潰れるから、サービス残業させました」

という、よくSNSで袋叩きに遭っているブラック企業の言い分と全く

まったく

まーーーーったく

一緒です。

なぜ、これを(面識のない人や企業に対して)平然と言ってのけるのか、私には理解が及ばないところです。

ビジネスにしましょ

ビジネスにしようとすると批判を受けることもありますが、諸々の問題を解決する手段として「ビジネスにする」は、非常に効率的であり、有用な手段だと思います。

「ビジネス」を「金儲け」ではなく「価値観の共有と等価交換」と捉えるわけです。

「価値観の共有と等価交換」とはどういうことか?
提供をお願いする著作物、サービス、工数といったものに見合ったものを提供するという、ごく当たり前なことです。

一番簡単で誰でも思いつくのは「報酬を設定する」ということでしょう。「儲けが少なくて報酬が払えない」のであれば、商品価格やサービスの代金を見直すしかありません。単価1,000円で商品を売って、著作権者に5%のロイヤリティが払えないなら、単価を1,050円にして払ってください。もしくは、原価を50円削る努力をしてください。(原価削るのは結構大変ですが)

「儲かっていない」は前述した通り、理由にならないどころか相手に対して失礼な言い訳です。あなたが儲かっているかいないかは、相手に一切責任はありません。

本当に儲けが少なく困窮しているなら、(依頼内容の規模感に合わせて)1%でも、1万円でもいいので「報酬を払う意志」を提示てください。それだけで相手の印象は全く違います。

金銭的に支払うのが難しければ、提供することのメリットをちゃんと提示してあげてください。

「宣伝になる」というのも立派なメリットです。

どのように商品やサービスを展開して、製造実績がどのくらいあって、これだけ販売していて、効果がこのくらい見込める(既に実績がこれだけある)という部分をちゃんとプレゼンして、「無償ですが、あなたの商品(御社)にこれだけ広報的メリットがあります」と示すことができれば、受けることもあるでしょう。

むしろ、報酬を出せないなら、これは必須です。

資料作りなど手間かもしれませんが、著作物などに付帯する権利や、人的工数は自然発生的にその人や企業が持っているわけではありません。全てはリソースを割いて作ったもの、あるいはリソースそのものです。

「頑張って作ったものを無償で使わせろ」というのは、本当に失礼であると認識できる世の中になって欲しいと思います。

断り辛い環境を作らないで欲しい

正直「他の人(企業)も参加してもらっています」みたいな文言で申請されると断り辛いです。この圧でOKする人や企業もあるかもしれません。

しかし、それって心からOKしているわけではなく、「あそこは許可しなかった」みたいな噂が立って「ケチ」とか「心が狭い」とか、あまつさえ叩かれたり炎上したりするのが怖かったり、面倒くさいという考えからの「消極的許諾」であることが少なからずあるのではないでしょうか?

言葉は悪いですが、これってちょっとした脅迫だと私は思っていて、もし、そのつもりなく前述した「他も~」って文言を使ってしまっている方がいれば、止めた方が良いと思いますし、断った人や企業があったとしても、「そりゃあ基本断られるでしょう」って認識が共有される世の中であるといいなと思います。

どんな人も企業も、当たり前ですが利益になることはします。いや「したい」です。相手に「したい」と思わせるような提案をぜひ、意識してもらえればと思います。

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