常々思っている「ジャンル分け」について
以前からよくマーダーミステリーのジャンル分け云々という話を見かけますが、ちょっと考え方として違うかなーと思っているので、つらつら書きます……なんか前も書いたような気もするのですが、改めて。
RP重視って何?
よく見かけるのが「RP重視」という言葉なのですが、これは一体どういう意味なのでしょうか?
恐らく「推理をみんなで楽しむより、役になりきって世界観を楽しむ」みたいな意味合いなのかなと思うんですが、好意的に解釈すれば「推理が簡単な作品」で、他方では「納得感のある推理ゲームになっていない」「故に役になりきって楽しんで」とも解釈できます。
前者の意味で捉えるなら、作品を紹介する際に推理の難易度を示せばよいだけですし、後者の意味で使っているなら、「既にそれはマーダーミステリーではない、ただの”おままごと”」です。故に「RP重視」というのはジャンルでもなんでもないと思っています。
本格推理も違うのでは?
同じような意味合いで「本格推理」という区分けもよく分からないなと。
どんな推理ゲームが「本格」なのか?
これは、シチュエーションで楽しむマーダーミステリー作品に対して、「そうではないクラシカルな推理作品」を指しているのでしょうか?或いは、本来?の意味合いに近い「トリックや知識を総動員した推理物」ということでしょうか?
前者は作品のイントロダクションの部分を見れば分かると思いますし(イントロダクションと実際の内容が違って、そのギャップを楽しむ作品もあるかもしれませんが、そういう作品はそもそもネタバレを示すことになるので、結局不要だと思います)後者であれば、推理の難易度で示せばよいと思います。
もし、難易度ではなく、個人の知識や、ゲーム中に示される情報以上の憶測や推測が必要なトリックを用いたものや、プレイヤーインタラクション(目的から成る情報公開のジレンマなど)が無い作品を指しているのであれば、それはマーダーミステリーとして成立していない可能性もあるので、一旦見直して欲しいなと。
免罪符に使っていませんか?
個人的には「RP重視」にしても「本格推理」にしても、これらを謳っている作品は「マーダーミステリー」というコンテンツに於いて「プレイヤーが想像するマーダーミステリーの要素の一部が欠落しているもの」という印象になっています。
RPは「RPしなくても楽しめる」「RPするとより楽しくなる」という要素だと思いますので、殊更に「重視」するものではありませんし、推理に関しても、これはあって然るべきですが、情報は全てゲーム中に盛り込む必要があるため、この枠の中で本格か本格じゃないかの定義は難しいですし、そもそもその分け自体がちょっとしたネタバレになる作品もあるかもしれないため、(私個人の想いとしては、そういう先入観は出来るだけ無い状態でゲームに臨んで欲しいと思っています)作品の傾向として示す必要はないのでは?と思っています。
正直「難易度」ですらメタ読みを促すので、無くても良いと思っているのですが、さすがに何も指針が無いのもアレなので、ウチで公演している作品は表記しています。
マーダーミステリーの冠脱ぎませんか?
ジャンル云々ではなく、たとえば「この作品は一部センシティブに捉えられる内容を含んでいます」とか、そういう情報はあった方が良いと思います。これもネタバレに繋がってしまうかもしれませんが、流石に仕方ないかなと。
あとは、提供側の思惑として「世界観も是非楽しんでください」とか「本格推理にこだわりました」と表明すればよいのではないでしょうか?
世界観だけ、推理だけ楽しむ作品はマーダーミステリーの体を成していないので、マーダーミステリーの体を成していないならジャンルで区切るのではなく、「マーダーミステリー」を冠さなければ良いと思っています。
また、「マーダーミステリー風」や「マーダーミステリ×○○」という謳い文句も認識の齟齬を生み、不幸な結果になるので辞めて欲しいと個人的に考えています。いくら「これはマーダーミステリー風です」と注意を促したところで、その認識には個人差がありますし、そんな注意を促すくらいなら、別ジャンルとして展開した方がお互いのためです。
本日、テレビを観ていると、某コメンテーターがこんなことを言っていました
流行は生まれた瞬間が一番美しく、段々と醜くなっていく
オリジナリティを出したいという気持ちはわかりますが、一過性の流行で終わらせないために、しっかりと、マーダーミステリーの要素を踏襲して「これは間違いなくマーダーミステリー」という「マーダーミステリーの楽しさを正しく伝えてくれる作品」が多く出てきてくれることを願います。
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マーダーミステリー白書
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