小説家でいられる場所を作ってみた
4月1日。毎年嘘をつくべきか、スルーすべきか、ちょっと悩んで落ち着かない。そして、結局、毎年、何もしない。そろそろ昭和の遺物として滅びてもよいのではないか、エイプリルフール。
朝からオンライン取材をし、音源をAI文字起こしにかけながら、金曜日に取材した音源の聞き直し、AI文字起こしされたテキスト原稿に小見出しを入れていく。
行き詰ったので、ジムに行く。自転車をこぎながら、原稿を構成する。スポーツバックを担いで、ジムに向かって歩いている過程で頭が整理されたのか、道筋が見えて記事の形に骨組みが出来上がった(場所を移動すると書けることがある。どういう仕組みなのだろう)。
ちなみに、粗々の下書きである。ジムの機器が置いてある隣のスタジオのダンスの音楽が大音量でかかっていたので、声を出しても気づかれないと思い、音声入力で原稿を書いた。大音量に負けずにサクサク入力される。Googleドキュメントはなかなか優秀である。
そして今も、スマホに向かってしゃべりながら、音声入力でnoteを書いている。飼い猫のおもちがデスクを占領して少しもどいてくれないので、キーボードが打てない。仕方ない。
(音声入力は精密さには欠けるが、流れを作るときには有効。後でキーボードで修正し書き足していけばいい)
そんなこんなで上出来な年度始まり。いつも年末年始が忙しくてなかなか仕事を収められないので、わたしの年(度)明けは4月1日だなんて思ったりするのだけど、なんだか4月1日はいつも、ぬるっと始まってしまう。多分エープリルフールが悪いのだと思う。滅びたらよいと思う(2回目)。
新年度心機一転みたいなことでいえば、小説家用のホームページができました。というか3月末に出来上がって、ぬるっとスタートしております。自分のホームページをプロに頼んでお金を払って作ってもらうということを初めてやって、どんなのを作るか、そしてそもそも作るのかどうかも散々悩んだのだけど、作ってみると、何だかひとつけじめができたような、自分の立ち位置が定まったような気がして、作ってよかったなと思いました。
最初にホームページについて考え出したのは2022年11月だから、ずいぶん引っ張ってしまった。
2つめの日記に、ホームページの料金のお見積りにフリーズしてしまった自分を分析している。
お金だけじゃなくて、労力もだ。作品紹介のページや、日々を綴るブログページや、ごあいさつや、小説への想いを綴る場所など、ツムさんがいろいろ提案してくれるたびに、そんなにたくさん書けない!と、びびってしまっていた。
だけど、形が出来上がってみると、いじらずにはいられなくなって、夜遅くまで夢中になって言葉を綴ったり、作品へのリンクを載せていったりしていた。まだまだコンテンツが少ないけれど。
このnoteとどう違うのかは、できあがってみて初めて分かった。noteはフリーマーケットのような感じ。いろんな人が出店していて、いろんな人が行き交っていて、よかったらうちの店を覗いてみてくださいと呼び込みをしているような感じ。おすすめ記事に選ばれるかどうか、いいねの数が何個集まるか、そんなことを無意識にいつも気にしている。
一方でホームページの方もアクセス解析はついているけれど、更新してもお知らせがいくわけでもないし、通りすがりに誰かがやってくるわけではない。わざわざ来てくれないとたどり着かない、小さな隠れ家カフェのような感じ。
作る前は、そういうものを作って意味があるのかとわたしは疑っていた。作ってからは、そういう場所があるのはいいなと思えるようになった。
作る前のわたしは、知らない人にたくさんの人に読まれることや、他の人よりたくさんの反響を得ることがよいことだと思っていた。でも作ってみると、何か夢から覚めたような気がした。何でそんなレースに参加していたのだろう、と不思議になった。
SNSではない、誰とも横並びで競争しない、ポツンと一軒立つ自分のおうちを整えて来客を待つ。いや、待ちもしないかもしれない。
わたしはこういうふうにわたしを生きています、と、たぶん、わたし自身に見せるための場所。お気に入りの服を買うように、納得のいく自分だけの家を建てるように、わたしは言葉で自分の場所を作って育てていく。
ホームページができあがる前のわたしは、小説家としてのホームページなんかつくって、元が取れるのか、と考えていた。元が取れるかどうかというのは、このホームページを作ったときと、作らずに無料のSNSや無料HPだけで今まで通り続けた場合とで、どのくらいの収入に差があるかということだ。費用対効果というやつだ。
何もかもを、お金に変換する価値観。そんなものを適用したら、小説を書くこと自体が否定されてしまうのに。今は、そんな考え方をしていた自分がちょっと嫌だし、そうじゃなくなって良かったと思っている。
お金を何に使うのか。それは自分を選ぶことだと思う。わたしは、小説を書くわたしにおうちをあげた。ゆっくりと育てていく場所にしようと思う。たぶんそれによって、わたしも少しずつ変わっていく。誰とも競争しない場所で。
こちらです。作品紹介のページにもそれぞれブログ記事を書けるので、作品についてのもう少し長い紹介も書いていこうと思っています。
素敵なページを作ってくれた包むデザインのツムさん、ありがとうございました!