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2019年9月の記事一覧
フィクションを書くことのメリット
小説はフィクションの物語です。もっといえば、事実をそのまま書いたとしても小説として発表すればフィクションの物語として読まれます。私小説や誰かをモデルにした小説は限りなく事実に近いですし、多くの小説は作者自身の思想や経験がふんだんに混じっています。ですが、小説のなかに一部事実と違うことが書かれていたとしても、そのことに怒る人はいません。
逆にノンフィクションと銘打ってあるものに事実ではないもの
現実とフィクションをつなぐ小説の技術
本音を書いても白い目で見られず、しかも何でも自由に書けるフィクションの物語。そんなフィクションのメリットだけ見ていると、取材して事実の裏付けをとるノンフィクションを書くのが馬鹿らしくなりそうです。が、フィクションには最大のデメリットがあります。それは読者に信じてもらいにくく、説得力をもちにくいことです。当然ですね。なぜなら、読者は、これはフィクションの物語だと思いながら読み始めるわけですから。
小説だからできること
フィクションの物語を伝える方法は小説だけではありません。映画やテレビドラマのような映像作品、漫画、演劇、落語など多岐にわたります。その中で小説が他のジャンルよりも優れているのは「心の動き」を詳細に伝えることができる点にあるとわたしは考えています。
人の心の動きは複雑です。喜びの中に絶望が潜んでいたり、表面では怒りながらも心の中では泣いていたりすることもあるでしょう。たとえば、驚き、絶望し、その
心の描写がないと魅力的な人物は書けない
講座や授業で「自分の気持ちを表す文章を書いてください」というと、たとえばこんな文章を書く人がいます。
さあ、この文章のなかに気持ちを表す言葉が書かれているでしょうか。実は書かれていないのです。「すばらしい」というのは本の性質を表す言葉です。2文目、3文目も本の特長の説明です。最後の文は意見ですが、書き手の気持ちは書かれていません。
そう説明すると、書いた本人は心外だという顔をします。本を