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富士山×外国人×コンビニ⇒日本語教育?

少し前の話ですが、富士山とローソンが織りなす風景の一件があったので驚きと複雑な気持ちが入り混じっています。

今人口が減っている日本においては外国人の消費活動は非常に大切です。マクロ的には決してぞんざいな扱いはできないのですが、オーバーツーリズムの1つとして、さらに迷惑行為として話題になりました。最終的に強硬手段で目隠しをしましたが、私の中ではどう考えたらよいのだろうかと思わせる事件でした。

外国人には不思議な光景

「富士山」×「ローソン」という組み合わせ、つまり日本らしさの中にある「歴史」×「現代」が外国人に刺さる風景になったことが今回の騒動を生むきっかけになったのですが、バカにするために写真を撮っていたのではなく、日本らしさが重なる面白みに外国人が共感したから。すごいのは最初にその風景に気づきその写真を撮った人なんですが、結果的に地元の人が迷惑を被ることになってしまったのは残念でした。

個人的な経験としても寺とビルを一緒に撮っていた外国人を見たことがありますし、他にも古いものと現代的なものが同じエリアに同居している風景がなぜか外国人にウケていたことをこの事件で思い出しました。

片側一車線の狭い道路で、向かいの歯医者も貼り紙してあったことを考えると危ない横断もあったのだと推察されますが、駅からも近く観光客が立ち寄りやすい場所でもあったために、何か売りにできなかったのかなぁと思うばかり。

自分自身が外国に行って面白いなと思うことがあったら一枚パシャっとしたくなる気持ちはよく分かりますし、外国人には自文化にはない不思議さ、非日常的な体験というのが観光においてはあって当然なのでうまいことお金にできなかったのは惜しいです。結果的には地元も観光客も双方が非日常的だと感じた一件ですね。

見たものを見たい

テレビでニュースを見ていて「Instagramで見たから自分も撮りたいと思って来た」という観光客のコメントがありました。

こんなに情報が溢れすぎている時代でも現地に行って見るというコト消費、体験は今も昔もあり続けるんですね。これは国籍を問わずある欲求だと思っています。

アニメの聖地巡礼からも推察できますが、日本は歴史、自然、文化、その他コンテンツが豊富にあるため、このような現象は今回に限ったことではないはずですし、これからも発生してしまうでしょう。聖地巡礼で言えば踏切で写真を撮る問題とか、もう少し大きな視点で言えば京都の交通手段問題なんかも似たようなことだと思います。

裏を返せば自治体がフィクション作品の舞台として推薦したり、メーカーであれば自社製品をアニメやドラマに登場させたり、コンテンツ発信で日本に引き込める可能性もあるということです。個人的には自治体と一緒になってご当地ローソンがどんどん増えて観光客を繋ぐ新たなコト消費が生まれないかなぁと思っています。

外国人が見たいものに気付けるか、欲を言えば外国人が見たいものを創り出せるかこのような視点が迷惑行為とウェルカム行為を分けるところなのかもしれません。

日本人には見えない魅力

理想を言えば自治体やローソンがいち早くこの情報をキャッチしわが町をPRする、ローソンの商品を買ってもらうきっかけにしてほしかったですし、それ以外の自治体、企業もどこかで気付くことができたならビジネスチャンスが生まれたかもしれません。「歴史」×「現代」そんなところがいいなんて目からうろこ。時代の移り変わりで意識することもなく自然発生的に生み出された風景は景色と化した街なかのポスターのように目に入るけど気に留めない、まさに日本人には見えない魅力なんですよね。

逆に日本人の視界に入ってきたのはごみの問題、事故の問題という観光客のマナーですが、繰り返しになりますが自治体と協力して仕組みを作れば何とかならなかったのかなぁというのが正直な思いです。地元の方には当たり前すぎて魅力に気づかないどころが目の前に起きてる現象に生活が脅かされている心境だったと思います。でもシンガポールはガムも落ちないわけですから何かwinwinの方法が見たかったです。。。これからが期待されます。

発見と破壊。今回の一件で思わされたこととして、外国人にとっては発見だったものが、日本人にとっては当たり前をぶち壊された事件でもあったということです。私としてはこの問題の本質はごみでも事故でもなく、当たり前だと思っていたことが当たり前にいかないことへの怒りなのではないかなと思っています。注意書きを無視する。迷惑なことをする。ごみを捨てない。自分ならやらないことを平気でやる人間に対しての怒りです。魅力が見えないからこその苦しみですかね。。。

日本語教育がもたらす副産物

話を日本語教育と無理やりくっつけてみようと思います。外国人観光客数って日本語教育も少なからず貢献していると思うんですよね。ビザの要件などの緩和など制度的なところが大きいとは思っていますが、少なからず影響あるはずです。

特に日本語学校に通い日本の大学、就職を目指す外国人は長い目で見ると休みの日にどこかへ出かけることもあるため、下短期滞在者の観光客よりもお金を落としている可能性があります。そう思うと外国人留学生を日本に呼び込むことも悪くない気がしてきます。

個人的には日本語教育とは個人のニーズに応えながらも日本経済に貢献する一大事業だと捉えています。それは非正規の労働力としてではなく、若い力を集め、日本に留め、日本語力をつけ、単純労働だけではなく、より多くの税金を納めさせるためにもバリバリ稼いでもらい、そこからさらに観光にもお金を落としてもらう。さらには外国人の若い力が自国の人間を観光客として日本に呼び込む。そんな事業です。こういう副産物をもっと日本語教育内外で意識してほしいなと思います。

副産物にメディアは注目しない

話は戻して今回の富士山とコンビニの一件は全国的にも取り上げられています。どちらかと言えば外国人のマナーが悪いというイメージが残ると思います。コロナ明け円安の影響もあり観光客は増え、外国人留学生も増えていく一方で日本の多文化共生は危ういという危機感が募っていくばかりです。
日本は観光ビジネスのポテンシャルがまだまだあると思いますが、これ以上外国人を呼び込むだけの寛容さみたいなものがあるのか、本当の本当におもてなしビジネスとして今後一般社会に取り入れられるのか不安がいっぱいです。今まさにオーバーツーリズムとして一部の観光地では支障が出ているわけですから、今後観光以外にも長期的に日本に滞在する人が増えてきたらそういった外国人は日本人の視界から外れ見えなくなってしまうのでしょうか。
結局北関東、愛知、静岡、大阪、富山には特定の地域の外国人が、全国的には中国、フィリピン、ベトナム、ネパールあたりの人たちがコミュニティを形成しながら住んでいると思いますが、視界から消えてますよね?

もしかしたらここ最近の円安で安い国のイメージに拍車をかけ、外国の少しマナーの悪い人が本当に日本に来ているのかもしれません。でも日本人にもそんな人いますし、あえてそればかり報道しても感情的に訴えるだけで発展性がないですよね。

日本にお金を落としていることによってご飯を食べさせてもらっている人もいること、税収あることなどもう少しメリットも伝えた方がいいかもしれないです。

東京の超高級高層マンションを外国人のお金持ちに買ってもらうというニュースを流したら、日本にお金を落としてくれてありがとうとなるんでしょうか。中国人が買うと日本が占領されるということなんでしょうか。あなたが乗っている自動車の部品生産ラインには外国人労働者も関わっていたり、中国工場で作っていたりすることには何も思わないんでしょうか。メディアの難しさもあると思いますし、そんな単純でもないんだとは思いますが結局モヤモヤしたままです。

日本語教育業界に期待する周知力

今回は富士山とローソンの一件を題材につらつら書きましたが、観光客に加えて、日本で学ぶ若者を増やして稼げる労働力が増えて日本の税収だったり、企業の収益が増えたらいいなと思った話。それは留学生の多い日本語学校や専門学校、大学が儲かるという独占的な話ではなくて、今回のような観光業にとっても副次的に影響すること、さらには日本語が話せれば話せるほど企業にとっても人材不足の解消に止まらず、生産性の向上、ダイバーシティへの寄与、発展にもつながるということを日本語教育業界からも、もっともっと周知していってほしいなと思います。

国から動くのを待つというより、都道府県、市区町村から、さらには各日本語教育機関からバンバンやってほしいなぁ。外国人を呼び込むだけではなく、その先も見据えた教育を。

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